チャイコフスキー国際コンクールで最年少優勝した経歴を持つ日本のバイオリニスト、諏訪内晶子さんが26日午後、上海音楽学院の808号教室を訪れた。諏訪内さんは、中国のバイオリン協奏曲「梁祝(梁山伯と祝英台)」を50年前に初演奏した兪麗拿教授に演奏上の教えを請うた。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
中国の「文化シンボル」と讃えられるバイオリン協奏曲「梁祝」は、間もなく「50歳の誕生日」を迎える。諏訪内さんは今回、「上海の春」国際音楽祭の初日に行われる「梁祝」50周年記念コンサートにコンサートミストレスとして招かれた。
「公開レッスンです」--。37歳の諏訪内さんは愛用の世界的名器「ドルフィン」を慎重に取り出すと、兪教授に教えを請うた。一方の兪教授は、49年間使用しているバイオリンを手に取り、有名な「梁祝」の主旋律を奏でた。
「なぜここでこんな音階が出てくるのですか?」「この低音は何を表現していますか?」--。諏訪内さんが英語で質問する。
「ここで表現されているのは、古代中国の女性の泣く様子、一種のむせび泣きです」「水袖(京劇等の衣裳で袖口についている長い白絹)を知っていますか?中国の伝統劇では、日本にもあるようですが、舞台上の女性が泣く時、水袖で顔を覆います。バイオリンでそうした音を奏でたのです」--。兪教授は説明しながら、越劇「梁祝」の仕草と泣声を真似して見せた。そばで目を見張る諏訪内さん。
兪教授は、古筝など中国民族楽器の音色もこの曲に巧みに融け込んでいることを説明した。兪教授が実演すると、諏訪内さんも悟るところあってか模倣する。
「楼台会」「哭墳」など重要な箇所では、中日のバイオリニストともに手を抜かず、そこには互いに弓を持ち、一方が弾けばもう一方もという具合に、見事に呼応する2人の姿があった。
短い切磋琢磨が終わると、兪教授は諏訪内さんと記者に「将来はもっと多くの外国人演奏家に『梁祝』を好きになり、研究してもらいたい」と語った。(編集NA)
「人民網日本語版」2009年4月27日