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本家の孫悟空に人気が集まらないわけ |
発信時間: 2009-05-05 | チャイナネット |
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浙江省杭州市で4月28日から5月3日にかけて行なわれた第5回中国国際アニメ漫画フェスティバルでは、いつもの年のように「ウルトラマン」が多くのアニメファンを魅了し、日本漫画の「ドラゴンボール」に出てくる孫悟空も見学者の絶大な支持を得た。 1960年代に中国で作られたアニメ「美猴王」の孫悟空は、「ウルトラマン」や「ドラゴンボール」にインスピレーションを与え手本にされたが、その輝きは今もう見られない。
「美猴王」の孫悟空 40年以上活躍しているウルトラマン 孫悟空は中国でもよく知られる神話の中の登場人物で、仇のように悪を憎み、どんな困難にも屈せず、飛びぬけた能力を持つ。こうした孫悟空のキャラクターは世界に伝わり、多くの文学や映画を創作する際のモデルになっている。 上海映画制作所は1961年にアニメ『大鬧天宮(騒がしい天宮)』を製作した。この作品はチェコで行われた第13回カルロヴィ・ヴァリ映画祭の短編映画特別賞、第22回ロンドン国際映画祭の最優秀映画賞、中国第2回映画百花賞などに輝いたが、その後、『三打白骨精』や『西遊記』、2009年の『美猴王』以外、アニメ界で孫悟空の姿を見ることはなくなった。 それに比べて日本の「ウルトラマン」はどうだろうか。1966年に円谷プロダクションが初めて「ウルトラマン」を制作してから、『ウルトラマンタロウ』や『ウルトラマンガイア』など、約30の「ウルトラマン」が登場し、40本余りの映画が作られた。 「ウルトラマン」シリーズが中国の市場に入ったのは1993年から。北京テレビ局など26の省レベルのテレビ局が全296回を放映し、最長放送時間は1500時間、最高視聴率は42%に達した。 杭州の中国国際アニメ漫画フェスティバルでは、アニメ産業博覧会の展示館に「ウルトラマン」の大きなポスターが貼られ、怪獣とウルトラマンが戦うショーには多くの人が押し寄せた。 また子供たちが手に取ったら放さないウルトラマンのおもちゃやコスプレ用の衣服や装備、専用の武器などは、多くの大人の足も止めさせる。ホールの最も目立つ場所に作られた中央テレビのアニメ展示ブースでは、国産アニメ『美猴王』が放送されているスクリーンに足を止めて見入る人は少なかった。 展示ブースで見学に訪れた人たちに、正義感があり悪人を戒め善を知らせ、力が大きいアニメは何かと質問した。すると12人のうち8人が「ウルトラマン」と思わず答え、ほかの3人は他のアニメと答えた。ただ1人、孫悟空と答えた40歳代の男性は、しばらく考えた後に答えた。 国産アニメの弱点は想像力や子供の視点の欠如 広州市歓楽反闘城玩具有限公司市場部の馮暉さんは、「『ウルトラマン』のイメージ作りは非常に成功しており、今の多くの子供はスーパーマンなどのアニメを見ると、すぐに『ウルトラマン』と叫ぶ」と話す。 浙江伝播メディア学院を卒業した尹潔銀さんはこう話す。「孫悟空のイメージは、『ウルトラマン』に比べて全国民が熱狂的になる力やきっかけが足りない。アニメに出てくる孫悟空に関するものは、全て『西遊記』が基本。革新力や想像力、子供の視点に欠け、新たな境地にも欠ける」 中国国際アニメ漫画フェスティバルのフォーラムに参加したアニメーション学会の欧陽逸氷副会長は、「アニメの本質と特徴は豊かな想像力だが、国産アニメは想像力が足りない。米国の『カンフー・パンダ』はそのいい例を示してくれた。ストーリの中では豊かな想像力を発揮し、物語の筋も複雑で生き生きしていた」と、中国アニメの弱点を指摘する。 そのほかにも市場の間違った位置付けも、国産アニメの弱点の一つだ。中国のアニメは総じてテンポが遅く、時代の息吹や鮮明なスタイル、ユーモアに乏しい。 『アニメ週刊』の鐘路明編集長は、「国内のアニメ産業には、芸術家やクリエーターは多いが、市場や管理、アニメ製作の法則が分かっている人材は少ない。大衆に受け入れられる作品は、よい創意に富んだアイデアと開放的な考えが必要で、さらに強いイメージ作りの能力や、発展しながら変化する作品を作り出す自由な力が必要だ」と言う。 |
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