人類に取って代わることも脅威になることもない
AIは感性的思考ができず、意識の領域に入ることはできない
では、AIは本当に人類に取って代わるのだろうか。さらには我々の脅威になるのだろうか。取材先の何名かの専門家は軒並み、それを否定する。
まず専門家は、現在のコンピューターの枠組みやプログラミングモデルには本質的な弱点があると指摘する。AIは人間の頭脳が持つ情感、意思、気持ち、感情、経験などを自由に交流させることはできない。本質的に、AIは物質世界の範囲の概念であり、意識領域に踏み込むことはできない。
1981年にノーベル生理学賞を受賞したロジャー・スペリー博士はかつて、有名な「左脳と右脳の分業理論」を発表している。つまり人間の脳は左右で異なる仕事をしているという考え方だ。左脳は分析やロジック、演繹、推理などの理性的、抽象的思考に長けており、右脳は直観、情感、芸術、インスピレーションなどの感性的思考に長けている。現在までにAIの人工知能化は全て、人類の左脳の理性的思考モデルの模倣をしているのに過ぎない。右脳の持つ感性的思考は全く備えられていない。