『USAトゥデイ』ウェブ版によると、テスラとスペースXのCEOであるイーロン・マスク氏は、傘下のスーパー高速鉄道のテストを実施し、目標速度を音速の半分にし、1.2キロ内での停止を目指すと発表した。
時速約613キロで走行し、わずか14秒で停止し、減速度は重力加速度の1.2倍に相当することになる。
マスク氏はこの短距離テストに興奮しているが、多くの人は「一瞬で停止する」ことの実現可能性に興味を示している。 「十三五」(第13次5カ年計画)国家重点研究開発計画「中速磁気浮上交通システムコア技術研究」課題責任者で、中車チーフ専門家の楊穎氏は、「14秒で停止するという構想は車両の技術的には問題ない」と話す。
国防科技大学磁気浮上技術工程研究センターの李傑教授も、「マスク氏のスーパー高速鉄道と中国の高速鉄道のブレーキの原理はほぼ同じ」と同様の見解を示す。
楊穎氏は、「マスク氏は車両を数百キログラム前後にするとしている。エネルギーは質量と速度の自乗の積。速度が速いが質量は小さく、停止に必要なエネルギーはそれほど大きくない。現在のロングスターター駆動技術で瞬間停止を実現するのは大変なことではなく、回生ブレーキも可能」と話した。
瞬間停止は簡単 商用化
マスク氏の実験について、「それほど興奮してはいけない」と楊穎氏。中車株洲所研究院の陳高華副院長によると、スーパー高速鉄道の開発の最終目的は大衆的な乗り物にすること。起動加速度と制動減速度は普通の人が耐えられる数値以下でなければいけない。普通の人が耐えられる減速度は約0.5グラムで、現在の乗り物の減速度は0.5グラム以下に抑えられている。
「速度が速いほど、減速度は小さくなる。バスが緊急停車すれば人は転倒し、航空機が激しく着陸すれば乗客は着地時に衝撃を感じる。パイロットなど特殊体質の人はこのような減速度にも耐えられる」と陳高華氏は補足した。
中国の時速350キロの高速車両「復興号」は緊急停止するのに約6.5キロ必要である。正常時の制動距離は8~10キロ。時速613キロの場合、制動距離わずか1.2キロの限界に挑戦するのは非現実的といえる。専門家は、この「スーパー高速鉄道」は原理的論証の段階にあり、工学実験にはまだ時間がかかると見ている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年4月16日