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japanese.china.org.cn |29. 07. 2018

中国人科学者、小天体「キャッチ」を構想

タグ: 小天体 キャッチ


 


 中国人科学者は星を「キャッチ」する大胆な計画を打ち出した。地球とすれ違い、さらには地球の脅威となる小天体を地球に連れ戻し、その資源を開発利用しようというのだ。


 この構想を打ち出した、中国科学院国家空間科学センターシステムシミュレーション・技術論証研究室の李明涛研究員は「SFチックに聞こえるが、これは実現可能と信じている」と話した。


 李氏のチームは近地球小天体にエンジンという「翼」を取り付けることで、安全に地球軌道の上空に入らせようとしている。小天体に耐熱・減速カバーを取り付け、安全に無人エリアに着陸させることで、同計画を実現する。



李氏のチームが設計した、小天体につける耐熱・減速カバー(新華社より)


 李氏によると、同計画はいくつかの重要技術を把握する必要がある。まずは、適切な目標の発見だ。小さい天体ほど発見が困難で、地上からの望遠鏡では地球に接近した時にしか発見できない。李氏は中国航天科技集団銭学森空間技術実験室と協力し、衛星数基を金星軌道に打ち上げネットワークを構築し、小天体の捜索とスペクトル測定に用いる計画を立てている。10メートル級の小天体の90%を発見し、その中から最適の目標を選び出す。


 次に任務の計画とコントロールプラットフォームの設計だ。いかに軌道を設計し、行き来し、小天体をキャッチし、その動きを正確に制御するかなど、すべてに詳細な計画が必要だ。


 李氏は小天体が大気圏に突入した後の防護・制御が最も難しいと考えている。耐熱・減速装置を設計し、速度を毎秒12.5キロから毎秒140メートルに落とし、最終的に指定された無人エリアに安全に着陸させるにはどうするべきか。


 李氏のチームはガス充填耐熱・減速カバーを使い、耐熱・減速・支えなどの機能を実現しようとしている。このカバーは打ち上げ時に直径5メートルだが、宇宙到達後にはガス充填で20メートルまで拡大する。その力を利用し、小天体は落下傘やロケット逆噴射制動がなくても着陸できる。


 李氏のチームは現在、初歩的な目標「2014 HB177」に狙いをつけている。これは地球から1−2億キロ離れた、直径約6.4メートル、重さ数百トンの小惑星だ。科学者はその主成分を把握しておらず、観測とスペクトル解析によって判断する必要がある。李氏の推算によると、2029年頃に捕捉装置を打ち上げ小惑星をキャッチし、2034年に地球に持ち帰ることができる。

李氏のチーム、小惑星の捕捉をこのように想定(新華社より


 李氏は「我々の構想は既存の小天体サンプル収集・帰還方法を覆し、キログラム級のサンプル収集・帰還プランの制限を打破した。1度で百トン級の小天体を持ち帰ることができ、大規模な宇宙採鉱及び資源開発・利用を促進する。地球の脅威となる小天体を、利用可能な宇宙資源に変える」と話した。



李氏のチームによる、小惑星捕捉の想定図(新華社より



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月29日