・「利益」と「損」
上海万博のような大規模なイベントを準備する上では、利益を得る人もいれば住宅や土地を失うなど損をする人もいるのではないか。
周漢民氏:上海万博のような大規模なイベントの準備の中では、全ての人の要望を満たすことはできない。実際、土地を立ち退いた1万8000世帯の中には、新しい住宅に満足していない世帯もいる。その人たちは、もしかしたら仕事場が新しい家から遠くなったかもしれない。しかしほとんどの人たちは、こうした移住や新しい住宅に満足している。これは非常に重要なことだ。立ち退きになった人たちには、2カ所の大きな住宅地を提供した。そのうちの1カ所はイタリアの非常に有名な建築家が設計したものだ。この住宅地を訪れば分かるように、だれに聞いてもどんな取材をしても、移住の結果に満足しているという同じ答えが返ってくるだろう。
・極端なケース
ニュージーランドに移籍したある女性が、自分の持ち家を改築するために上海に戻ってきた。しかしこの家は虹橋空港の拡張計画範囲にあり、取り壊されることになっていた。政府の立ち退き補償に納得いかなかったこの女性と夫は、火炎びんや石弓でブルドーザーに抵抗した。しかし2人は結局、態度を軟化させ、家は取り壊された。
周漢民氏:このケースの詳細を私は知らない。事実であれば、私たちはこの件に対して真剣に対処するだろう。上海万博の中心は人である。もし不満な人がいれば、この人たちの利益を満すために努力する。上海万博を主催する目的はみんなを喜ばせることであり、このケースについては同僚によく話を聞き、この人に何か手助けができるかどうか考えてみる。
・メディア対策
前述のような極端なケースが西側のメディアに利用され、北京オリンピックの時と同じように、上海万博や上海市、ひいては中国を非難するツールになるかもしれない。上海万博の組織者は、このような極端な出来事を報道するメディアに対して、何か措置を講じるつもりのか。
周漢民氏:注意してくれてありがとうと言いたい。私たちはみんなのために盛会を開催し、このような極端なケースが上海万博のプロジェクトや上海市、中国を非難する理由にならないように努力する。それは上海万博の中心は人だからだ。このような出来事が上海万博のトータルなメカニズムや進展を壊すことは許さない。
・政府活動報告と上海万博
ネット利用者から、開催中の「両大会」で温家宝総理が行った政府活動報告の中に、なぜ上海万博が提起されなかったかという質問が寄せられたが、これは上海万博がそれほど重視されていないということなのか。
周漢民氏:「両大会」で上海万博のことが提起されなかったことが、上海万博を重視していないと結論付けるのはどうかと思う。政府活動報告の中では、提起しなければいけない重要なことが数多くある。中国政府にとっても、上海万博は重視すべきイベントだと思っている。例えば胡錦濤国家主席が韓国を訪問した時、上海万博の準備活動や2012年の韓国万博が議事日程のトップだった。また温家宝総理が2月11日に開いた国務院の特別会議では、経済回復にとって上海万博は非常に重要な要素であると強調している。
・上海万博の成功
2010年上海万博が閉幕した時、上海万博の成功のシンボルは何だと考えるか。
周漢民氏:私にとって上海万博の閉幕は、非常に感動的な時だと思っている。招致が成功してから、いろいろな感情が入り混じっているだろうが、それらの感慨を私の回想録に書き入れる時間はない。上海万博の閉幕は私を満足させる。そして私にとっての栄誉は、職業人生の一番重要な10年間を費やした上海万博が意義ある出来事として歴史の中で記録されるという人々の評価だろう。
「チャイナネット」 2009年3月11日
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