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クリエイティブな都市を目指して
発信時間: 2010-10-28 | チャイナネット

 

どんな都市が調和の取れた住みよい都市なのだろう。「より良い都市」を位置づけるとき、クリエイティブな文化の発展と都市のブランド力を結びつけることが、都市の国際競争力を左右するうえで重要な指標の一つになってきていることを理解しなければならない。

都市が一定の規模になったあとは、文化的な創意性のうえで独自のブランド力を持つことが、都市競争力の要点であるともいえよう。中国メディア大学文化創意産業研究院院長の范周氏は次のように分析している。「地球規模で都市化が進む世界情勢は、私たちに都市の新しい位置づけを要求している。国際間の競争が日増しに激化している今日、文化・クリエイティブ産業発展の規模と程度が、国家と都市の総合的な競争力をはかる重要な指標の一つになっているのである」

 

イギリス・ロンドンのテート・ブリテン現代美術館の展示品。さまざまな造形芸術が並ぶ(東方IC)

 

クリエイティブ産業の重要性

英国のクリエイティブ産業を代表するジョン・ホーキンスは、その著『クリエイティブ・エコノミー』の中で、次のように記している。

「現在、全世界のクリエイティブ産業の生産額は一日に220億ドルにも達し、しかも5%の率で成長を続けている。クリエイティブ産業がリードする新しいタイプの経済が国内総生産(GDP)に占める割合は、アメリカでは70%にのぼり、カナダでも60%を占める。『資本の時代は終わった。創意の時代が幕を開けたのである』。この定言をすでに世界の大多数の国々が受け入れているのである」

アメリカは世界で最も文化・クリエイティブ産業が発達している国である。アメリカの文化産業は、最初から「高コスト、高収益」を投資のモットーにして、製品の開発からグローバルな販売網づくり、そして宣伝や販売における独特で多様な方法まで、すべて最大の利潤を上げることを企業理念として進められてきた。その典型としてはディズニーを挙げるのがふさわしいだろう。ディズニーは、映画の興行収入、ビデオやDVDの発行、ディズニーランド・ディズニーシーなどのテーマパーク運営、キャラクター製品など関連グッズの認可販売、テレビメディアとの提携という5分野での経営で巨額の利益を上げているのである。データによれば、ディズニーの全収入に占める割合は、映画の興行と上映作品のテレビ放映が30%、テーマパークが20%、残りの50%はDVDを含む関連グッズの販売収入である。

1997年のアジア金融危機は韓国政府に産業構造の改革を迫ったが、韓国政府は災いを転じて福となす「文化振興戦略」を立ち上げるのに成功した。1999年から2001年にかけての3年間に、中国では、ほとんど「一夜にして」韓国のサブカルチャーを中心とするいわゆる「韓流」が文化・娯楽市場を席巻したが、その主力商品は、ゲーム、テレビドラマ、そして映画だったことはまだ記憶に新しい。

独創的で魅力的な都市建設

都市建設にあたって、クリエイティブ産業の発展と都市経済の構造をどう調和が取れた有効なかたちでマッチさせ、経済の活性化と魅力ある都市づくりを進めるかが、ますます重要になってきている。今日の中国では、新しく誕生する都市であれ、いっそう巨大化する都市であれ、どこも似たような姿になってしまい、特徴にも魅力にも欠けるという「同質化」の問題が深刻化している。外国ではどうなのだろう。

イギリスのテート・ブリテン現代美術館は、テムズ川の南岸にあった火力発電所の建物を改造してつくられたが、高さ35メートル、奥行き152メートルという巨大なタービン室は彫塑作品の展示ホールに改造され、同時に参観者が共有できるコミュニケーションの場としても活用されている。ロンドン市のこうした都市改造計画からは学ぶべき点が多い。古い建物は取り壊して、跡地にどこにもあるような新しい建物を建てるだけでは都市改造とは言えないのである。

パリのオルセー美術館も、元は鉄道の駅舎だった。さすが芸術の都だけあって、見事な改造を施し、パリの街の都市の性格と精神が十分に生かされ、また美を追求する面でも成功している。

魅力ある都市づくりのためにはクリエイティブな産業を興すと同時にハード面でも独創的で魅力的な建設を進めなければならないことが分かる。

イギリス・リバプールに現れた巨大なクモロボット。(東方IC)

パリ・オルセー美術館の外観(CFP)

香港のクリエイティブ産業パークで開かれた「クリエイティブ・エコロジー活動展」(CFP)

都市に厚みと独自の特色を

文化的でクリエイティブな産業は都市住民に多くの就業の機会をもたらすと同時に、付加価値の高い製品を開発・製造して富を生むという利点を有している。そうした商品開発では、台湾が1歩も2歩も先を行っていることを認めなければならないだろう。

台湾のみやげ物として有名なパイナップル菓子は、単なる菓子としてだけではなく、台湾の人文文化の香り高い名物として、その包装には一工夫も二工夫もされている。また純天然の手作り石鹸は、その造形にも工夫がなされているが、多くの人々から歓迎されているのは、それが環境保護に一役買っているという創意性のためである。

台湾では現在、食品に「物語性」を強調するレストランや食品店がますます多くなっている。店や食品、料理にクリエイティブ性を加味し、文化要素を強調することで、一段と付加価値をつけようという「文化戦略」であるとも言えるだろう。

世界の都市文化をリードする国際都市は、どこもクリエイティブ産業が集中し、発達している。中国は豊富多彩でしかも底の厚い文化を有し、創造性の高い人材とその創造物を享受する莫大な数の消費者がいる。クリエイティブ産業を発展させるためには、中国自身の発展条件をよく見極めると同時に、独自の特色ある発展を目指さなければならない。クリエイティブな文化と都市の発展を結合させてはじめて、都市の厚みと独特の持ち味というブランドを獲得できるのである。

 

人民中国インターネット版 2010年10月