春節の詩
春節は中国のいちばん重要な伝統的な祭日で、また、春が大地によみがえり、万物が更新する時期なので、古今の詩人墨客は多くの春節を詠じる詩を残している。前述の王安石の『元日』の詩のほかに、清の詩人の葉燮にも『迎春』と題したすぐれた詩がある。

律転鴻鈞佳気同  律は転じ鴻鈞として佳気を同にし

肩摩轂撃楽融々  肩を摩し轂を撃し楽融々たり

不須迎向東郊去  東郊に去きて迎えることなし

春在千門万戸中  春は千門万戸の中に在り

(大意――公正太平の盛年は喜びに満ち、行人、車両は和気あいあいと道にあふれている。東郊に行って迎えることはないよ、春はすでに家々の中に満ちているから)

唐の詩人の孟浩然は、何回も官吏試験を受けたがおもわしくなく、故郷の鹿門に戻って隠居していた。春節を迎えた時、彼は『農家の元日』という詩を書いて、自分が田舎で春節を迎える心境を訴えた。

 昨夜斗回北  昨夜斗は北に回り

 今朝歳起東  今朝歳は東より起きる

 我年已強壮  我れ年已に強壮たり

 無禄尚憂農  無禄にして尚農を憂う

 桑野就耕父  桑野にて耕父に就い

 荷鋤随牧童  鋤を荷いで牧童に随く

 田家占気候  田家気候を占いて

 共説此年豊  共に説う此年は豊なりと

(大意――昨夜、北斗星は北を指していたが、今朝は東を指して新年を迎えた。私はもう壮年に達したが、いまだに官禄がなく、農業についている。畑では耕夫と一緒に働き、鋤をかついで牧童と行を共にする。農夫が気候を占っているので、尋ねてみると、みな声をそろえて今年は農作といった)

北京は昔、春節にいろいろ面白い行事があった。つぎの生き生きとした童謡から、その一端をうかがうことができる。

 小孩小孩你別饞  子供よ、子供、がまんをしなよ

 過了臘八就是年  師走の八日越しゃ正月はまじか

 臘八粥、過幾天  臘八粥をのみ、幾日過ぎては

 漓漓拉拉二十三  忙しい中に二十三日になった

 二十三、糖瓜児粘 二十三日にゃお菓子をつくり

 二十四、掃房日  二十四日にゃ家ごと大掃除

 二十五、炸豆腐  二十五日にゃお豆腐揚げる

 二十六、燉羊肉  二十六日にゃ羊の水炊き

 二十七、殺公鶏  二十七日にゃニワトリしめる

 二十八、把麺児酸 二十八日にゃ小麦粉の発酵

 二十九、蒸饅頭  二十九日にゃ饅頭ふかす

三十児晩上熬一宿 三十日にゃみんなが徹夜

大年初一去拝年  元旦迎えてお年始まわり

「您新禧、您多礼 「早ばやとお年賀有難うさんよ」

一手白麺不攙你  料理に忙しく手が離せない

到家給你父母   家に帰ったら父さん母さんに

道――個――禧」   私がよろしくと伝えておくれ」

 


 

 

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