蒙古族は中国の北東部地域に暮らしており、昔から歌と踊りに長じている「騎馬」民族である。
『安代踊り』
『安代踊り』は蒙古族のグループになって踊る踊りであり、約300年の歴史がある。言い伝えによると、それは病気を治療することのできる踊りでもある。
この踊りは一般に、一人が音頭をとり、みんなが輪を作って、どの人の両手もそれぞれ一枚のカラー・スカーフを持ち、足で調子をとって歌いながら踊るものである。踊り手からなる輪はたえず方向を転換し、ペースもスローからクイックへと変わる。踊りの動作は簡単で、リズム感があり、叙情的であったり豪快であったりする。
絶えず充実の努力が施される中で発展を遂げ、自分たちで踊って自分たちで楽しむためのこの民間の踊りはすでに劇場にも進出している。しかし、『安代踊り』は依然として民間で幅広くはやりつづけるとともに、いくつかの都市では蒙古族の保健の踊りへと発展を遂げている。
『太平鼓踊り』
太平鼓はロバの皮を張った、握るところのある小さな銅製の太鼓であり、円形またはだ円形を呈しており、太鼓の皮の上に山、水、花または人物が描いてあり、ふわふわとしたまりと手細工のふさで飾られており、握りの上に小さな鉄の輪がついている。一般に豊作の年の祭日に女性によって太平鼓の踊りが披露され、演技形態はグループによる太平鼓踊りとシングルの太平鼓踊りの二種に分かれている。踊る時には、左手は太鼓の握りをヨコに握って、右手のふさのついている木の棒で太鼓を打ち鳴らしながら踊るのである。太鼓を打ち鳴らす動作は変化に富み、表現する内容の多くは蒙古族の伝統的な生活と密接なかかわりのあるものである。基本的な踊りの動作の多くは腰を軸としての仰向き、俯き、傾き、横向きである。踊りのステップは開放的で力強く、弾力性に富むとともに、跳びはね、見回しなどの技巧もあり、技芸の優れるものは同時に4、5個の太鼓を使って踊り、これらの太鼓を体の異なる部位をめぐって旋回させ、曲芸のようになっている。
『灯踊り・盅碗踊り』(ランプと茶碗の踊り)
祭日やめでたい日に宴会を催し、親戚や友人たちの団らんのひとときに蒙古パオ(テント)の中で踊る女性のソロダンスであり、主にオルドス草原ではやっている。
この踊りは基本的に一つの場所で跪いたり、坐ったり、立ったりして踊るものである。踊り手は手に茶碗またはランプをささげて踊り、主な動作は手、手首、腕、肩の動作と腰を軸とする前への俯き、後ろへの仰向きである。技芸の優れたものは両手でそれぞれランプをささげて走りながらランプを体の周りを回る流星のように扱い、この時ランプの炎がゆらめき、踊りの動きは軽快かつ流暢で、ユニークな魅力に富むものとなる。
『はしの踊り』
『はしの踊り』はイクチャオ盟に伝わるもので、一般にめでたい宴会の場合に男の人がひとりで踊るものである。踊り手は片手または両手で一束のはしを握って迂回して進むか直線を進退する過程で、足を曲げたり伸ばしたりし、体を左右へ揺り動かし、両肩を速く振り動かしながら、自由自在にはしで手、肩、腰などを叩くというものである。踊りの動きは大らかできびきびとしたもので、はしで叩くの動作はすばやくて変化に富む。クライマックスになると、踊りながらリズムのある叫び声を出して興を添えるのである。
『ユフル(育呼爾)の踊り』
フロンベイル盟に伝わっている踊りで、伝統的な祭日またはめでたい時にグループの形で踊る。踊る時、男女それぞれ半分からなり、互いに手に手を取り合って列を作るか輪を作り、歌いながら踊る。主に「足を引きずって地面をこすり」、「すばやく地面を蹴り」、「走って跳びはねる」などの動作がある。体を左右へ揺り動かしたり、前に俯いたり後ろに仰向けになったりし、自然でバランスが取れ、しかも「ユフル」という叫び声に合わせてクライマックスに押し上げるのである。この踊りはさわやかで明るく、自由自在に、のびのびとした特色がある。
『チャマ踊り』
『チャマ踊り』は宗教の経典の物語を演じることを内容とする仮面踊りであり、ソロダンス、ペア・ダンス、多人数の踊り、グループ・ダンスに分かれており、演技は様式化、規範化したものである。さまざまな人物が登場し、姿がそれぞれ異なっている。踊りの語彙の運用の多くは演じられる人物の個性によって色分けされ、例えば、エンマ様の踊りの動作は力強くて荒々しく、きわめて彫塑性に富んでおり、シカの神の踊りの動作は力強くて豪放で、テクニカルで、競技の性格を帯びており、ドクロ踊りの動作はすばやくて大らかで、太鼓のリズムに合わせて上下に揺れ動くように走ったり、跳びはねたり、堂々と戯れたりおどけて見せたりするものである。
『チャマ踊り』は内蒙古自治区では非常に広く伝わっており、ほとんどの寺では宗教の祭日になるといずれもこの踊りを踊ることになっている。
「チャイナネット」2005年6月10日