トウチャ族

トウチャ族は主に中国の湖南省と湖北省の一部地域に分布している。

 

『手を揺り動かす踊り』

 1000年もの歴史がある『手を揺り動かす踊り』はトウチャ族の最も代表的な民間の踊りである。新年を祝い、先祖を祭るかまたは団らんして交歓するたびに、トウチャ族の人々は必ず『手を揺り動かす踊り』を踊るのである。

『手を揺り動かす踊り』は「大幅に手を揺り動かす踊り」と「小さな幅で手揺り動かす踊り」に分かれている。

「小さな幅で手を揺り動かす踊り」はトウチャ族が住んでいる村で自発的に小規模の祝賀集会を開催する時に踊る比較的簡単な踊りである。「大幅に手を揺り動かす踊り」は豊作の季節において隣接する数県が合同で大がかりな豊作祝いの集会と祭祀行事を行う時に踊る踊りであり、規模が大きく、雰囲気があり、千人以上の人が一緒に歌ったり踊ったりすることもある。

「大幅に手を揺り動かす踊り」を踊る時、それぞれの村を単位としての老若男女が輪をつくるか隊列を作って、どらや太鼓の伴奏の下で、歌いながら踊る。各村の人たちが披露する物真似の踊りの内容はまちまちで、そのうち、種まきから収穫までのすべての農作業の過程を表わす「労作踊り」も、軍事・戦闘ものの「戦闘踊り」も、トウチャ族の日常生活の情景と動物の表情と姿を表現した「情趣踊り」もある。一般に一周踊ってからはじめて動作を変え、数々の動作をつなぐことでまとまったストーリーを構成し、例えば、代掻き、田植え、除草、太陽を眺めるなどの動作をつなぐなら、春季の農作業の過程を表現することができる。

これらの踊りは二つの物真似の動作の間にいずれも手を揺り動かす動作があり、基本的な揺り方は両足で一定の法則に従って前へ一歩または半歩進み、両手を足の勢いに伴って前後へと小幅に揺り動かし、重い拍子の時には前へ揺り、軽い拍子の時に後ろへ揺り、同時に両手と上半身が一回震えるようにする。一般に踊り手は踊りの全過程において、両膝はやや曲げる姿勢を保ち、特に一つの動作の最後の拍子の時には膝をさらに深く曲げる。

手を揺り動かす踊りを踊る時、人々は踊りながら「手を揺り動かす歌」を歌う。「手を揺り動かす歌」はトウチャ族の言葉で歌うもので、斉唱、リード、独唱などさまざまな形がある。歌の内容は歴史、軍事、生産、愛情など多岐にわたるものである。

手を揺り動かす踊りは大きなどらと大きな太鼓の伴奏を主とし、リズムは軽快かつ簡潔で、チューバとチャルメラを伴奏楽器とすることもあり、踊り手の動作の変化はどらと太鼓の「リード」に従い、太鼓の縁をたたく音を指令とする。

 

『お悔やみ太鼓踊り』

 湖南省北部のトウチャ族が集まって住んでいる地域に古い葬送の歌と踊り『お悔やみ太鼓踊り』が伝わっている。老人が死去した場合、喪主は必ず踊り手たちを招いて霊柩の前で『お悔やみ太鼓踊り』を踊ってもらわなければならない。踊る時、太鼓たたきは太鼓を打ち鳴らし、歌手は歌を歌い、踊り手は歌に続いて踊り出す。一般に二人以上の偶数の踊り手で柩の前で向かい合って踊り、クライマックスになると、踊りに参加するかまたはそれを観賞に来た人の数は少なくとも約100人、多い場合は約1000人に達する。当日の夜、チャルメラを高らかに伴奏し、どらや太鼓ではやし立て、爆竹の音が響き続け、人々は高らかに歌ったり思う存分に踊ったりし、これによって生きている人たちを慰め、死去したお年寄りがあの世に行ったことを喜び安心することを示す。踊り手は交互に登場し、夜明けになってはじめて踊りをやめてその他の儀式に移るのである。

『お悔やみ太鼓踊り』の歌詞の内容は非常に豊かで、トウチャ族の先祖たちが郷土を開拓したことをうたい、民族の歴史を顧みるものも、先祖のトーテム崇拝、漁労・狩猟活動、農業生産、愛情を反映したものも、死者の一生の業績を歌ったものもある。

『お悔やみ太鼓踊り』の踊り手はすべて男であり、女性はそばで観賞するとともに、踊り手のテクニックを評価するか大声で喝采するだけである。踊り手は踊りながらお酒を飲み、もろ肌脱ぎになってほしいままに踊り、充分に彼らの勇壮な美しさを誇示する。トウチャ族の人たちは白トラをトーテムとしているため、踊りの中にはトラが顔を洗い、しっぽを振り、のそのそと歩き、エサを捕えるなどの動作を真似た動きがたくさんある。そのため、『お悔やみ太鼓踊り』は「白トラの踊り」とも呼ばれている。『お悔やみ太鼓踊り』は文武の二種類に分かれ、前者はスローモーションで、歌詞はもの悲しいもので、後者は民間の武術を結び付けた踊り方であり、動作の幅は大きく、勇壮で荒々しさがある。今ではさらに、即興的に創作した「喪を弔う踊り」のようなものも現れ、節回しは民謡を直接取り入れたもので、歌詞は自作の笑い話を取り入れ、きわめて誇張的な道化役の動作でステップを引き立て、ユーモラスで面白く、悲しみを喜びに変えるものである。   

 

「チャイナネット」2005年6月10日




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