チワン族

 チワン族は中国の55の少数民族の中で人口が最も多い少数民族である。チワン族のほとんどは広西チワン族自治区に分布しており、雲南省にも人数は少ないが分布している。

 

『火のネコ踊り』

 毎年、豊作の秋になると、広西チワン族自治区梧州地域のチワン族の人たちはユニークな祭祀の儀式『火のネコ踊り』を踊り、ネコの神様にネズミなどを退治してくれるよう願い、豊作の成果を守ってもらうことにしていた。

 この頃になると、「ネコ」たちに扮した約20人の若い男女が色が鮮やかなふさ状の装飾物を幾重にも飾り立てられている三毛ネコの毛皮のような服とスカートを身につけ、ワラで作った輪を頭にかぶり、形がネコの尾のようなワラの辮髪が背後に垂れ下がり、その上にゆらゆらと煙の立つ線香がたくさん差し、人々のひたいの上部にさらに「大きなネコの頭」の仮面をつけて『火のネコ踊り』を踊るのである。

最初は、踊り手はたえずさまざまな隊形を切り換える中で、ネコの歩き、跳躍、生きたエサを捕まえ、腰を伸ばし、背中を盛り上げ、毛を舐めてかゆいところを掻き、互いに戯れ合うなどさまざまな動作を真似る。続いて、二人で扮した大きな神様のネコが登場し、そのうちの一人は両手で黒白模様の「ネコの頭」を挙げ、いま一人は黒い色の「ネコの毛皮」を羽織って「ネコの身」と「ネコのしっぽ」に扮する。このネコの神様は歩き回って四方八方に目を向けたり、木によじ登り、輪の中央部に立てられている高いさおの上によじ登って遠方を眺め、ネズミのお化けたちが隠れているところを探し、そのあと、木の上から降りてそばでネズミのお化けたちが現れるのを待ったりしている。

この時、口の尖った「ネズミの頭」を頭にかぶって、灰色の「ネズミの毛皮を羽織っている大きなネズミのお化けがおっかなびっくり周りを覗いて回る誇張した動作で登場し、留守番がいないのを見て有頂天になって直ちに倉の壁を掘り崩し、穀物を盗み始めようとした。そこへ、そばに隠れていた大きなネコの神様がミャオーと飛び出して、ネコとネズミの取っ組み合いは『火のネコ踊り』をクライマックスに押し上げ、場内の猫たちが気が狂ったように踊り、場外の観衆が口を揃えて歓声をあげ、どらや太鼓やチャルメラの音が一斉に響きわたり、最後にネズミのお化けが大きなネコの神様の爪の下に押さえ付けられるという筋書である。『火のネコ踊り』は人々が思う存分張り上げる歓声とネコたちの跳ねたり回ったりする踊りの中で終りとなるのである。

 

「チャイナネット」2005年6月10日




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