日本人俳優「南京!南京!」出演で多くの涙①

発信時間: 2009-05-08 | チャイナネット

映画「南京!南京!」で日本人兵を演じた日本人俳優・中泉英雄さんにずっと注目が集まっている。映画「カミュなんか知らない」に出演するなど、日本でも知られている中泉さんが、北京の新聞「信報」のインタビューに応じた。

角川の地獄の旅の始まり

 

「撮影が始まった時から、終わった今でも心が疲れていて、まるで戦いのようです」と話す中泉さんは、中国を侵略した日本軍の中でも若い兵士の角川役を演じた。

角川は、南京から2キロ離れた塹壕の中で南京城に入るのを待っていた。それは地獄の旅の始まりでもあった。南京では人生で初めて日本人慰安婦の百合子を愛するようになり、戦争と人間性に対しても初めて徹底的に反省する・・・。

「南京!南京!」では、角川の視点で多くの細かい場面が描かれているが、角川にとってその全ての「最初」が人生の「最後」になった。

ある女性客の言葉に涙

撮影中は日本人俳優として非常に大きなストレスに耐えたという中泉さん。しかし我慢できずに涙を流したこともある。「こんなにスケールの大きな映画で、うまく自分が演じられるかどうかと考えていました。そして撮影が終わったあとは、この映画を観客はどう見るかということがプレッシャーになったのです。ですがこうした気持ちは他の俳優も同じだったようです」

杭州の試写会では、中泉さんに怒りをぶつける観客もいた。しかしすぐに立ち上がってをサポートする女性も現れ、「日本から中国に来てこのような役を演じるのはなかなか勇気がいること」と言う言葉を聞いた中泉さんは、声を上げずに泣いた。

「今まで自分はこんなに感情的だとは思わなかった」と、中泉さんは当時のことを思い返しながら話し、休憩室に戻ってから声を上げて泣いた理由をこう説明する。「こういう感覚は言葉では言い現せない。心は本当に複雑です。確かにある言葉を聞いた時には確かに辛くなったけれど、泣いたのは罵られたためではなく、ある女性客の『ありがとう、あなたは勇敢な俳優』という言葉を聞いたからです」

共感した陸川監督の一言

中国に来て「南京!南京!」に出演するのを決めたときから、中泉さんは覚悟していた。「2006年に東京で陸川監督と会い、それに陸川監督の『ココシリ』を見て、非常に真実を描いている映画だと感じました。そしてこのようなグローバルな映画に出るチャンスはとても貴重だと思ったのです」

陸川監督と初めて会った時の様子についてはこう話す。「監督に初めて会い、その時に監督が話した一言に共感しました。それは、人と人との間の気持ちを描きたいという言葉です。この映画は心を描くシーンが多く、演技をするにはいいチャンスだと考えました」

家族や友人がこの映画出演を支持しているのかと質問すると、「多くの友人が今回の出演を応援してくれ、自分自身や映画に対して自信を持つことができました」と答えた。

「チャイナネット」2009年5月8日