このところ、一部の感染症が先進国と発展途上国でまん延する勢いにある。サルモネラ感染症は今、米国の43州で猛威を振るっており、すでに400人余りが感染した。急性呼吸器感染症のはしかも欧州でまん延しており、世界保健機関(WHO)は2010年までに欧州ではしかを撲滅するとの目標実現は恐らく難しいと発表。ジンバブエでは、コレラ感染者が4万人近くに達し、昨年8月以来の死者は2000人を超え、99年のナイジェリアでのコレラ死亡者2100人に迫る最も深刻な事態となった。同時に、エジプトやベトナムなどでも鳥インフルエンザが発生、数人が感染し死亡している。
感染症の猛威は、気候の異常と無関係ではない。国際野生動物保護協会が発表した声明は、気候が変動することで、鳥インフルエンザやコレラ、急性感染症など12種の「致命的な疾病」は広範囲で流行する可能性がある、と指摘している。英国の一部の気象学者も早くに、人類の活動による気候の異常は人類に害を及ぼし、それは核兵器などの大量破壊兵器にも決して劣らない、との警告を発している。WHOの推計によれば、毎年約15万人が気候変動によって生命を奪われているという。
流行病の再発生は人類の健康を著しく脅かすと同時に、地球範囲で気候変動への警鐘を再度鳴らすものとなった。気候変動がもたらす負の影響は生態システムや社会経済に波及するほか、人類の健康に及ぼすその影響はより持続的かつ深刻である。ある研究で、地球温暖化は一部の種を消滅させると同時に、多くの新たな変異した品種を生み出すとともに、新たなウイルスを活性化させることが証明されている。過去20年を見ただけでも、世界で少なくとも30種の新たな感染症が頭をもたげ始めた。極端な気象の頻発によって、疾病はより拡散しやすくなる。ある研究報告によれば、地球温暖化が新旧のウイルスをより活発化して猛威を振るわせ、病虫害もますますまん延しやすくなり、感染症媒体の数もそれに伴って増大し、人類の健康は日増しに害を受けつつある。近年、一部の熱帯病が高緯度地帯へと拡大したことで、コレラやマラリア、デング熱の伝染範囲が広がり、世界人口の半数に害が及ぼうとしている。
疾病のほか、人類が正視しなければならない深刻な問題は、気候変動がもたらす損失である程度、経済成長のメリットが相殺されていることである。大まかな試算によれば、経済損失は世界の国内総生産(GDP)の20%にも達している。温室効果ガスの排出を確実に削減しなければ、深刻さを増している気候問題は世界経済を一層低迷させるだろう。英国のチャールズ皇太子は「もし地球温暖化の問題が解決されなければ、当面の経済危機を徹底的に解決することはできない」とすら述べている。
地球の非温暖化は焦眉の急を要する問題である。だが現在、各国政府は金融危機への対応に追われ、気候問題に配慮する暇はなさそうである。しかし、「気候変動のリスクを軽視した結果は、金融システムのリスクを軽視した結果よりかなり大きい」。世界各国は協力を深め、実際的な行動を取って、地球温暖化と感染症まん延が人類の生存に害を及ばさないようにすることが肝要である。
「チャイナネット」2009年1月24日 |