筆者はトーマス・フリードマン。「フラット化する世界」からの抜粋。

米国でのクリーンエネルギー技術は、政策決定システムや利益集団の妨害で迅速に普及することができない。それに比べて中国の行政体制の高い効率は、環境保護や省エネで優位を占めるキーポイントである。そういう意味では、米国が一日、中国という国になることができれば、クリーンエネルギーの普及には決して悪いことではない。

クリーンエネルギー普及には政府の支持が必要

ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルトCEOを2007年1月に取材した当時、イメルト氏は、生産ラインのクリーンエネルギー技術導入を担当し、「クリーンの発想」をブランドの名前を冠していた。イメルト氏は、市場を刺激してエネルギーの利用効率を向上させるために、政府はいかにすばらしいメカニズムを構築するべきかについて語り、最後に「米国政府はなぜエネルギー市場の規範化のための合理的な政策を実施しないのだろうか」とため息をついた。

エネルギー産業の関係者たちに最も好むものが何かとたずねれば、それは2025年までに石炭や風力エネルギー、原子力の生産量の目標を提出する大統領の声明だと答えるだろうとイメルト氏は言う。もしそれが現実になれば、エネルギー産業の関係者たちは大統領に感謝しながらクリーンエネルギーの開発に着手し、「商業組織は明確で長続きする長期的な価格のシグナルを得れば、国内のクリーンエネルギー発展の方向がはっきりする。そして国が今後、実施する一連の奨励する省エネ制度とインセンティブ政策で、ビジネスチャンスははっきりと浮かび上がる」は話す。結局のところ投資者も、長期的で明確な政策の下で冒険をするのだ。

その時には米国が有している資産である大学や図書館、発明家、冒険家、ベンチャーキャピタル、自由市場、GEなどの多国籍企業などが、全力で新興の再生可能なエネルギー産業に力を傾け、クリーンエネルギーシステムの建設が動き出すだろう。もし米国が一日だけ中国になったらどうだろうか、ただ一日だけでも･･･。