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japanese.china.org.cn |14. 05. 2024 |
砂:流失防止し太陽光を産業化
李家祺=文
砂漠化の防止は全人類が直面する共通の課題だ。中国での砂漠化の主な状況の一つは、土地の砂漠化である。砂漠化の防止・管理と国土の緑化は、砂漠化に対処する中国の国家的な行動である。
「第13次五カ年計画」(2016~20年)の期間中、中国の砂漠生態系の保護と砂防対策の成果は著しく、砂漠化の防止・管理の任務を達成した面積は累計で1097万8000㌶に及ぶ。砂漠エリアの生態状況は全体的に好転し、生命力を象徴する緑が絶えず広がっている。
緑化を進め砂漠化を退ける
青海省海西モンゴル(蒙古)族チベット(蔵)族自治州の烏蘭県は、中国の砂漠化の被害が最も深刻な地域の一つであるチャイダム(柴達木)盆地の東部に位置する。10年前、ここで砂漠化された土地の総面積は15万4540・9㌶に達し、同県の総面積の10%を上回った。
「泉水湾」は烏蘭県のシリゴー(希里溝)鎮に位置する。地名だけ見ると清涼感あるこの地方だが、かつては風が強く砂が空を覆い、干ばつと水不足の地だった。烏蘭県の砂漠化防止・管理プロジェクトの技術者・孟全菊さんは2009年にこの仕事に参加、泉水湾が砂漠から緑地に変わる過程をその目で見てきた。「当時、ここには道さえなく、輸送手段も不足していたため、基本的に人が背負ったり、担いだりして苗木を山に運びました。条件は非常に厳しく、最初の苗木の活着率はわずか30%でした」と、孟さんは当時の砂防活動を思い出し、砂漠に苗木を植えるのは子どもを育てるより難しいと嘆いた。
「これは全て私たちが植えたものです。ほら、あそこの新しい苗木は、つい最近植えたばかりです」。高い坂の上から眺めると、かつての荒れた山は草木がうっそうと茂っていた。孟さんは、「植樹の成否は『3割が種、7割が保護』です。いま至る所で見られる砂防効果のあるイヌマキや低木、人の手で格子状に埋め込んだ草は、砂の流失を食い止める『切り札』です」と語った。
また泉水湾管理・保護ステーションのスタッフ・馬占軍さんは、「ここでは、どの木も『千金』に値します。私たちは毎日巡回して、自分の子どもに対するように心を込めて接しています。木がよく育っているのを見ると宝物を見つけたときよりもうれしいです」と顔をほころばせた。
灶火国立砂漠化土地閉鎖・保護区は、烏蘭県ココ(柯柯)鎮の砂漠化が深刻な地域にある。烏蘭県は23年7月、この閉鎖・保護区でヘリコプターとドローンを組み合わせた初めての空中散布による造林を行った。
烏蘭県自然資源・林業草原局の生態修復・二酸化炭素吸収弁公室の任正凡主任によると、「この時は、空中散布の効果を確実にするため、散布の前に種をペレット加工しました」と明らかにした。ペレット加工とは、特製のペレット化材料で種の表面を包むことで、種一粒の体積・重さを増やし、風や寒さに強い種にし、種の活着率を高めることだ。同時に、この技術は種が飛ばされたりまいた位置がずれたりするのを減らすのにも役立ち、より正確に必要な場所に種をまくことができる。
空中散布は、烏蘭県が絶えず模索してきた干ばつ地域の砂漠化の特徴に適した、砂漠化防止技術・管理モデルが見事に組み合わさった実践の縮図だ。データによると、昨年末までに烏蘭県の森林被覆率は16・62%、草原の総合的な植生被覆率は40・68%に達した。こうして、「砂漠化が進み人が後退」から「緑が広がり砂漠が後退」するという美しい新たな絵巻が、この地でゆっくりと展開繰り広げられている。
太陽光で砂を金に変える
大空の下、440万枚の整然と置かれた太陽光発電パネルの青い「海」が広がっていた。風が吹くと、太陽光発電パネルの下の緑が湧き上がる。この壮観な光景は、内蒙古自治区にある中国第7位の砂漠・クブチ砂漠の中で起きている。
その拠点となる蒙西基地クブチでは昨年11月29日、200万㌔㍗の太陽光発電の砂漠化防止プロジェクトに成功し送電網に組み入れられた。同プロジェクトの建設担当者である趙金泉氏は、「太陽光発電と砂防にはもともと資源の補完という優位性があります」と話す。さらに、「砂漠は面積が広く、日当たりも十分なので、太陽光発電に必要な土地と光の資源を提供しています。ソーラー発電パネルは太陽光を吸収する一方で日光を遮り、砂漠の水分蒸発を減少させ、風速を下げることに効果的で、植物の生態環境を改善することもできます」と紹介した。
プロジェクトの建設期間中、ヨシによる砂防と流砂の固定工事も同時に展開され、現在、太陽光発電エリア全域が全てヨシの砂止めに覆われている。
ソーラーパネルによって発電し、パネルの下には大量の良質な牧草や漢方薬材が栽培されている。また、1000ムー(東京ドーム約14個分)の砂漠牧鶏養殖プロジェクトも進められ、一つの土地が三つの形で利用されている。太陽光発電による電気は、砂漠化の防止・管理とグリーン産業発展のエネルギー需要を解決し、また砂漠地域の太陽エネルギー資源の効率的な利用と砂漠のオアシス化という二つの収益も実現できる。
太陽光発電による砂防プロジェクトが行われている内蒙古自治区オルドス(鄂爾多斯)ハンギン(杭錦)旗のドゴイタラ(独貴塔拉)鎮に暮らすお年寄りの劉さんは長年、畑作と放牧をなりわいとしてきた。環境の制約があって収入に余裕はなく、出稼ぎに出ようともしたが、面倒を見なければならない家庭を手放せなかった。だが、太陽光発電砂防プロジェクトの開始後、劉さんはソーラーパネルを取り付ける仕事に加わり、一生懸命働いて収入を増やした。
統計によると、同プロジェクトは建設期間中、延べ1000人を超える農牧民の雇用を実現した。送電事業が始まると、同プロジェクトは毎年延べ500人を安定的に受け入れ、パネルの取り付けや洗浄、パネル下の農作物の栽培・管理、牧畜業などの仕事に従事させる見込みだ。
春の暖かい日差しの下、クブチ砂漠の太陽光発電パネルの「青い海」は、パネルの下の波のような緑と相まって、この土地により多くの希望と活力を加えている。
「人民中国インターネット版」2024年5月14日