「南京!南京!」の撮影期間中、陸川監督は3回盲腸炎にかかって入院したが、毎回点滴と薬で治療してきた。3回目の盲腸炎は長春での撮影中にかかった。当時、撮影しながら城壁の外にある堀に倒れ込み、スタッフが振り向くと「監督が消えた」ということがあった。
こういった生理的な痛みのほかに、陸川監督は心理的なプレッシャーにも耐えなければならなかった。「私の役目はいかに人をはぐらかすか。人が崩壊しないように」と監督は笑いながら話す。
「チームのメンバーの多くが発狂していた」。撮影が長引き、心理的にも、生理的にも耐え切れなくなる人が多かったという。例えば高円円について監督は「私が見ても彼女はちょっと怖かった。こんなに善良で、若々しい天使が魔女のようになっていた。誰かを捕まえてはケンカを売り、顔をゆがめていた。かなり不安定な状況だった」と語る。監督はこのことに非常に心がとがめているという。
「南京!南京!」の撮影が終わると、キッパリしていた監督がもろくなったという。この映画を見るたびに涙を流し、今でもなかなか見る勇気がない。気持ちが脆くなったほかに、監督の趣味も戦争への関心からミュージカル映画に変わり、前までは戦争ゲームが好きだったが、「銃声が耳にさわる」ことから今は戦争ゲームを全部削除したという。陸川監督が次に撮るものは決まっていないが、「とてもシンプルに素敵なことを表現したい」という。
「人民網日本語版」2009年4月23日