ホーム>>エンタメ>>映画>>レビュー
『台北に舞う雪』
発信時間: 2010-02-23 | チャイナネット

監督 霍建起(フォ・ジェンチイ)

2009年 中国・日本合作 106分

2010年1月 日本公開

あらすじ

台湾で歌手としてデヴューした青島出身のメイは音楽プロデューサーのレイに恋をしていたが、声が出なくなったことを相談しようとしてレイを訪ね、誤解から拒絶されたと思いこみ、行方をくらます。ふと、電車を降り立ったのは菁桐という小さな町。そこで町の人々の雑用係として働くモウという気のいい青年と知り合い、メイはモウの助けで下宿先やバイト先を見つけ、次第に心優しいモウに癒されていく。

一方、有望新人歌手の失踪を特ダネとして追いかける新聞記者のジャックは菁桐を探し当て、町の喫茶店で働くウェンディからモウとメイのことを知る。「失踪するのは捜し出してもらいたいからだ」と言うジャックの言葉に、幼い頃に失踪した母を思って、モウの心は揺れ動く。

町を挙げての春節(旧正月)のお祭りの舞台で、町の漢方医の馬さんの薬のおかげで声が治ったメイが歌っているところに、ジャックの知らせでレイが駆けつけてくる。一旦はレイと台北に戻ったメイだったが、再び菁桐に帰ってくる。「2人で孔明灯を飛ばそう」というモウとの約束を守るために。

解説

日本の元アナウンサー出身で韓流ライターとして活躍する田代親世さんの原作小説を、田代さん自身と中国の思蕪が脚色、繊細な演出で日本人に人気のある霍建起が映画化した。台湾オールロケにあたっては、台湾の製作会社が全面協力、今後はますますこうした形のアジアの合作作品が増えていくことだろう。喜ばしい限りである。

さて、作品は霍監督らしく、見終わったあとの余韻が何ともすがすがしく、心地よい出来に仕上がっている。実はストーリー自体はどことなく監督のかつての作品『歌手』をほうふつとさせるもので、『歌手』よりさらに他愛ないのは、主人公たちの年齢が若返っていることとも関係があるのかもしれない。

監督の夫人である思蕪のこれまでの脚本はナレーションが多すぎるのが欠点だったが、今回はまったくナレーションがなくなっているのも良い。実は元の台本にはあったものが、編集段階でバッサリと思いきり良くカットされたらしいのも、ひょっとすると合作が良い方向に働いた結果かもしれない。

見所

何と言っても見どころは小チャン・ツィイーと評判のメイ役の童瑶だ。映画の中でも「似てるでしょ」という台詞があるぐらい、ふとした表情が瓜二つ。彼女以外の役者は全て台湾の役者で、日本でも活躍する陳柏霖がデヴュー作『藍色夏恋』に戻ったような爽やか青年を好演している。兵役を終えたばかりのトニー・ヤン(楊祐寧)もイメージをガラリと変え、松田優作ばりのアフロ・ヘアーで登場、この3人のアンサンブルの妙が効いている。さらに準主役や脇に台湾の人気若手とベテラン俳優を配置して、なかなか豪華なキャスティングになった。下手に日本人を登場させなかったのが賢明だった。監督が現地でスカウトしたという物真似芸人の、ジェイ・チョウ(周傑倫)やジョナサン・リー(李宗盛)など台湾有名芸能人の歌真似も楽しい。

テーマソングとして使われているのは90年代に活躍した孟庭葦の『冬季到台北来看雨』だが、92年のバージョンと2005年に出したセルフリメイクバージョンの両方が使われている。劇中でメイが歌っている声は童瑶自身の声ではなく、今、台湾で人気のチア・チェン(陳綺貞)で、彼女の『旅行的意義』も使われている。主な舞台となる菁桐は台北から車で2時間ほどの町で、かつては日本の占領時代の炭鉱町だったという。日本風の建物と町並みがまるで日本の地方都市のよう。その反面、台北のいかにも大都会といった景色が映し出され、しかも台湾の監督作品よりも台北が美しく撮られているのは、大陸の監督が異郷人の目でその魅力を伝えようとしているせいかもしれない。

人民中国インターネット版

 
  関連記事