陶武先
 

全国人民代表大会、成都市党委員会書記の陶武先氏は今年の第九期全人代第三回会議と第九期全国政協第三回会議の会期中に、次のように記者に語った。

 
 

 

 

西部大開発戦略は政策レベルでは、改革・開放後20年を経て、党中央が全国規模で行うマクロ・コントロールであるが、具体的な実施レベルでは、経済法則と市場の原則に従ってこそ、党中央の戦略・政策実施の促進にプラスとなると言える。

西部地区は少なくとも次の三つの面で新たな構想と思想を打ち立てなければならない。

一、市場誘導の思想。開放し、事業を起こすのに必要なのは、市場誘導、競争の足場であり、資源誘導、商品の足場ではない。

二、効率性意識を重んじる。例えば、農業開発の中で水稲のムー当たり収量650キロが収量600キロに比べて必ずしもよいこととは言えず、投資と収穫の比率を見なければならない。その他の産業も同様の道理である。

三、強みくらべの原則。西部の強みは、次の3つの「イコールでない」点に見出せる。@従来の強みは現実的な強みとイコールではない。競争とは現実の競争であり、国と国、地域と地域、メーカーとメーカーの間のヨコの比較をすることで、例えば、どの程度の歴史があるか、どれほど豊富な経験があるか、前年に比べどの程度伸びたかなどを比較するのは、一つの目的のためだけである。つまり、自信を強め、士気を奮い立たせ、ヨコの競争の中で勝利を勝ち取るためである。A資源の強みは商品の強みとイコールではない。豊かな資源は西部の特徴であるが、資源はそれ以外の科学・技術、人材、資本および運行メカニズムと結合してはじめて、商品の強みに変わり、さらに経済の強みに変わることができる。従って、現代経済は資源への近さを競うのではなく、資源の最適な配置を競うのであり、資源がそばにあっても必ずしも資源の配置を最適化できるとは限らない。B科学技術の強みは産業の強みとイコールではない。科学技術の強みとは一般的に研究力、科学研究スタッフの人数、科学研究の成果を指すが、問題は成果を転化しなければならない点にあり、成果を転化させなければ、産業の強みには変わることができず、いつまでも論文の上、図面の上、実験室の中に留まっていては、金を稼ぐことはできず、とうていスケール経済を云々することはできない。

また、重要なのはメカニズムを構築し、人材を西部大開発に集中させることである。メカニズムの運行という面で、われわれに選択の余地はなく、市場経済の法則に基づき、市場経済メカニズムを構築し、さまざまな要素の市場を発展させ、入札制、監督・管理制などさまざまな市場の運行方法によって、限りある資金で最大の利益を獲得するしかない。
人材の集中に関して言えば、成都には多くの人材があるが、現在火急に求められているのは、先進技術、現代的管理、現代的経営つまり商品経営と資本経営の両方がわかるような人材で、時代意識を持ち、系統だった知識と実践能力を具えた現代にマッチした人材である。