魯冠球
 

全人代代表で万向グループ董事局主席の魯冠球氏は、第九期全人代第三回会議と第九期全国政協第三回会議会期中に記者に対し次のように語った。

 
 

 

 

西部大開発は東部と西部の双方に利益をもたらすだろう。いま西部大開発は時宜に適っている。その理由は先ず、改革・開放を進めたこの20年間に、東部と西部の格差が大きくなっているからである。この格差を縮めるために国ができることは東部の発展速度を緩めることではなく、西部の建設を加速する積極的な措置を講じることで、国はこのために外国業者の西部進出奨励策、特別融資策、税収の優遇策など多くの優遇政策を打ち出している。

 次に、昨年の国の財政収入が一兆元を上回ったからで、これは国がすでに十分な経済力を具えていることを物語っている。財力という後ろ盾がなければ、西部大開発は不可能である。東部地区では生産、物資が相対的に過剰になり、発展の場を見出す必要があるが、西部の発展は東部の生産と消費を促すことができる。中西部地区の発展を急ぎ、東部企業の中西部進出を奨励する以前のやり方は、貧困脱却扶助という側面を持っていたが、進出企業の中でそれなりの成果を出した企業は多くはなく、むしろ失敗したところが多く、「泥沼」から抜け出せない企業もある。現在の西部大開発は、方法、条件、考え方、背景、国の政策などが以前とは異なっている。

 西部大開発戦略の実施に伴い、東部ではきっと多くの企業が西部へ行って開発しようとするに違いない。政府の指導、政策的サポートがあり、西部の投資環境はソフト面でもハード面でも良くなるはずだからだ。そこで東部企業はそれぞれの産業分野で自らの特徴に基づいて西部へ進出するはずで、西部は資金、プロジェクトが不足していても、「駆け足で前進」することができ、国のプロジェクトを獲得するだろう。

 西部開発は東部の経済にマイナス影響をもたらすことはなく、西部も東部もともに利益を得ることができるだろう。西部大開発は国に十分な財力があるという基礎の上に行われるのであり、東部地区の税収が引き上げられることはあり得ず、市場という視点から見れば、東部企業の発展をさらに促すことができる。西部への投資は西部市場を始動させ、消費を促し、東部の強みを西部に流動させることができる。東部企業はこのチャンスをつかみ、わずかな旨みにもありつこうとするはずだ。西部の投資環境が良くなれば、東部企業が進出することによって良い結果を生むことができる。だが、東部地区は東部の遅れたものを西部に持ち込んではならない。上海は早い時期に、立ち遅れた紡錘を新疆に持ち込んだことがあったが、市場の変化によって、すぐに淘汰された。浙江省の紹興市も立ち遅れた紡績機を西部に持ち込み、間もなく市場の懲罰を受けた。西部に必要なのは、先進的な技術と設備なのである。

 万向グループは西部大開発に寄与できることを望んでおり、早くも五年前に西部進出の意向を持っていたが、実質的な進展はなかった。万向グループは河南、湖北などに一部の企業があるが、今年は江西、広西、吉林、湖北などの省・自治区で、現地の主だったメーカーと協力関係を結び、企業を興す計画である。万向グループは、マーケットさえあればどこへでも出向いて、その生産・企業を発展させる。今のところ西部に投資してはいないが、いいプロジェクトさえあれば、西部へ進出するつもりで、その突破口を探しており、今年は十六億四千万元を投資することになるだろう。万向グループは投資する上で、次の三点に目をつける。一、国の産業政策に合致しているか否か。二、発展の見込みがあるか否か。三、金を儲けられるか否か。この三点を前提に、自社の力量、素質、リスクを考えて投資を行う。投資してこそ、企業は発展をとげることができるのである。