孫英
 

全人代代表で甘粛省党委員会書記の孫英氏は西部大開発問題について記者に対し次のように語った。

 
 

 

 

西部大開発はシステム・プロジェクトであり、甘粛省はインフラ建設を先行させ、科学技術で先導し、調整によって開放を促し、開放によって開発を促すという考え方に基づいて、開発のプランニング・実施および関連業務を真剣に行わなければならない。

甘粛省は西部大開発の中で主に次の五項目の措置を講じることにしている。

一、少なくとも10年かけてインフラ建設を進める。生態環境が脆弱で、インフラが立ち遅れていることが、長年にわたって甘粛省の経済発展を制約してきた主な要因である。そこで生態環境の面では、今年から、耕地を森林、草地に戻し、荒れ山を緑化し、むやみな伐採を禁じて植樹し、500万ヘクタール以上のところで風を防ぎ砂を固め、初歩的な効果があがるようにする。また2050年ごろまでに、生態整備面積を全省の総面積の30%を占める1400万ヘクタールにする。インフラ建設の面では、主に自動車道路、鉄道、天然ガスパイプラインの建設に力を入れる。甘粛省にはまだ真の意味での高速道路はないので、今後6年かけて、国道の主要幹線を基本的にハイグレード道路に建設し、二、三年かけて、すべての村へ通じるようにする。蘭州、白銀、天水を主とする都市建設に重点的に力を入れ、国家クラスの通信光ケーブルが6本通っている蘭州の強みを十分に生かして、現代的通信を大いに発展させると同時に、水利建設に力を入れ、西部開発の際の水不足問題を解決する。基礎をしっかり固めてはじめて、経済発展が保障されるが、これを成しとげるには、少なくとも10年はかけなくてはならない。

二、科学技術・教育による省の振興という方針を貫く。甘粛省は30万人以上の科学技術者を擁し、蘭州の科学研究者の人数は北京、上海などの都市に次ぎ、しかも全国ないし世界で一流の研究所を擁しており、これが西部開発の何よりの強みである。今後、技術イノベーションを強化し、ハイテクを発展させ、新素材、バイオ薬品、光学・機械・電子一体化、電子情報、新エネルギーなどの分野で飛躍をとげるようにする。具体的には科学研究応用機構の企業への転換もしくは組み入れを推し進め、科学研究院(所)、大学と企業が共同で技術開発センターを設立することを奨励する。今年、甘粛省はすでに在来産業の改造に100億元を投入しているが、今後はハイテクにより甘粛省の都市化、工業化レベルをいっそう高めていく。

三、経済開発は人が資本である。甘粛省は今後、新しい人材政策を実施する。人材育成の面では、高等教育を一つの産業としてその構造を調整し、専門課程の設置、学制年限などを西部大開発のニーズに合わせるようにする。人材活用の面では、新旧交代、適材適所を進める。昨年、甘粛省は一部の副庁クラスの幹部を公開選考し、優秀な青年を指導ポストにつかせたが、今後も引き続き新しい採用方式を検討し押し広める。人材導入の面では、弾力性のある優遇政策を策定し、より多くの有能な人材を甘粛省に引き寄せる。

四、引き続き投資環境を最適化する。西部大開発に適応するため、さらに思想を解放し、メカニズムを転換させ、政策を革新し、政府部門の業務能率を高め、市場、法制、娯楽、世論など各方面の環境造りに努める。昨年、蘭州市は外資導入・国内連合プロジェクト合同弁公室を設立し、手続きの簡略化、業務効率化の面での試みを成功裏に行ったが、今後は甘粛省全体にこれを押し広めていく。

五、観光を支柱産業とする。甘粛省の観光業はインフラが立ち遅れていて、観光収入は全国で下位にあったが、ここ一、二年は急速に発展している。例えば、生態環境のもろい定西地区のしょう(さんずいに章)県は、貴清山、遮陽山を開発して観光業を発展させ、昨年は延べ20万人の観光客が訪れた。これは、甘粛省の観光潜在力が非常に大きいことを物語っている。資源の面から見れば、甘粛省は観光資源の豊富な省で、自然景観も人文景観も非常にユニークで、しかも敦煌という目玉を持っており、観光業はきっと大きく発展するはずである。西部大開発の中で、第三次産業の重要な産業としての観光業を、向こう10年間で支柱産業に成長させ、GDPに対する貢献度を少なくとも10%以上に引き上げる。今後、観光インフラの建設に力を入れると同時に、大手旅行社グループを創設し、それを上場させるよう努力すれば、観光業は必ず甘粛省の新たな経済成長ポイントになることができる。