趙公卿
 

重慶市の趙公卿副市長は今年6月8日に開かれた「重慶・中国西部開発国際シンポジウム」で、「重要なのはシステム」というノーベル経済学賞を受賞したコース氏の名言を引用し、西部大開発のシステムの重要性と地方政府の役割に対する見方を表明し、次のように語った。

 
 

 

 

「システム」は、理論面と実践面で適用のしかたが異なるので、重慶および西部地区のすべての地方政府は西部大開発において「重要なのはシステム」という言葉を銘記すべきである。この言葉をいかに理解するかが地方経済の成長の成否にかかわっている。

西部大開発で、重慶市は第一に資金、第二に人材が不足しているが、これは表面的な現象にすぎず、さらに掘り下げるなら不足しているのは整備されたシステムと良好な環境である。

科学技術イノベーションの能力は一地区の発展にとって非常に重要なカギであるが、その効果の有無は科学技術そのものではなく、科学技術のシステムと環境によって決まる。ここで言うシステムと環境とは、もちろん、市場メカニズムによる資源配置の機能を十分に発揮できるシステムと環境のことである。社会主義市場経済建設という現在の大きな時代背景の下、西部大開発は西部地区の市場化のプロセスだと理解していいだろう。

実際には、重慶では科学技術の人材、研究成果は決して不足しておらず、例えば「麗珠得楽」(胃腸薬)、「潔爾陰」(女性衛生用品)の二つの著名な商品はもともと重慶の研究成果であったが、結局それぞれ珠海と成都で生産することになってしまった。このことは重慶市の人びとが深く考えるに値する。

昨年、重慶市政府が一部の専門家を組織して東部地区と重慶市の経済発展状況について比較研究を行った結果、沿海地区の市場化指数は60〜80で、重慶市はわずか30〜40にとどまっていることが明らかになった。重慶市の1999年の商品小売総額のうち、地元製造商品はわずか18%を占めたにすぎない。これは重慶市の地元製造品の多くが市場とうまくリンクしていないことを物語っている。

西部の未発達地区の市場化プロセスにおける地方政府の最も重要な役割は、条件をつくり出し、各社会分野で市場メカニズムのはたらきを積極的に引き出せるようにすることである。

まずはっきりさせるべきことは、計画経済時代のように政府が「全能政府」となり、大開発のすべてを引き受けてくれるなどと期待してはならないということである。実際、地方政府にできることはわずか二つしかない。一つはインフラ建設に直接参与すること、もう一つはシステムを完全なものにし、環境をつくり出すことである。このシステムとは個人の仕事の意欲と創意性を十分に引き出せると同時に、各人の行為の責任範囲を効果的に定めることができる系統だった規定のことである。もちろん、これは原則と目標であり、具体的なシステムを完全なものにするには、こうした大原則のほか、現実の市場の条件に基づいて進められるさまざまなイノベーションに依拠する必要がある。

加工貿易に依拠して発展した深せんは、もともと大学が一校しかなかったが、中国のハイテク産業基地の一つになった。その原因は、個人の創意性を十分に引き出すことのできるシステムにある。

西部大開発における地方政府のもう一つの重要な役割は、地域経済成長モデルおよび経済構造の最適化を指導することである。「モデル」と「構造」を形成する基本的要素も市場メカニズムにあるため、政府が行うことは政策を決定し、さまざまな利益主体を誘導し、各種の受益者を協調させることであるという点から、指導と言うのである。そのため、政府が地元の実情に基づいて、たえず政策の革新を進める必要がある。

重慶市が西部地区の重要な成長の極になるには、産業をグレードアップし、新たな経済成長要素を育成する必要がある。そのため、ハイテク産業を発展させ、在来産業に大いに新技術を導入しなければならない。しかし、これは技術の先進性を産業構造調整の唯一の基準とするということではない。重慶市は労働力資源が豊富な地区なので、強みという観点から言えば、労働集約型産業を大いに発展させるべきである。