中国の拡散防止の政策と措置


四、拡散防止輸出管制の具体的措置




    核の分野 中国は核輸出と核材料管制などの面であくまで厳格な管理とコントロールを行っている。核材料管理の面では、中国は「国際原子力機関」に加盟してから、「核材料の評定判断と抑制システム」および「核材料防護条約」の要求に合致する「核材料安保システム」を確立した。中国政府は1987年に、核材料に対しライセンス制度を実行し、核材料監督管理部門とその職責、核材料管制規則、核材料ライセンスの申請、審査、発給、核材料の会計管理、核材料の評定判断、核材料防護および関係ある奨励と懲罰措置などを明確に規定する「核材料管制条例」を公布した。

    中国の核輸出は国務院の指定した機構が独占経営するとともに、核輸出が平和の目的にだけ使用するのを保証する、「国際原子力機関」の保障監督を受けいれる、中国政府の認可を経なければ第三国に譲渡してはならないという三原則を断固貫徹している。1997年、中国政府は「中華人民共和国核輸出管制条例」を公布した。同条例は中国政府の上記原則および核兵器拡散を主張せず、奨励せず、それに従事せず、他国の核兵器開発を援助せず、「国際原子力機関」の保障監督を受けいれていない核施設に援助を提供するのを禁止し、それと核輸出および人員、技術の交流・協力を行わない政策を解明している。同条例はまた核輸出に対し厳格な審査制度を実行し、規則違反行為を厳しく処罰すると規定するとともに、全面的、詳細な管制リストを制定した。

    1998年、中国政府はまた「中華人民共和国核両用品および関係技術輸出管制条例」を公布し、核兵器不拡散という国際義務を厳格に履行し、核両用品と関係ある技術の輸出を厳格に管制し、関係輸出に対しライセンス管理制度を実行することを再確認するとともに、輸出経営者登録制度、輸出審査認可手続きおよび規則違反行為処罰規則などを確立した。2001年12月に可決された「中華人民共和国刑法」改正案は、放射性物質の不法製造、売買、運送行為を犯罪に定め、刑事処罰を与えると規定した。

    生物の分野 20数年来、中国は「中華人民共和国刑法」(1979年制定)、「獣医微生物菌種保存管理に関する試行規則」(1980年制定)、「獣薬管理条例」(1987年制定)、「中華人民共和国伝染病予防治療法」(1989年制定)、「出入国動植物検疫法」(1991年制定)、「獣用生物製品管理規則」(1996年制定)、「農業の生物遺伝子エンジニアリング安全管理実施規則」(1996年制定)、「獣用生物製品品質基準」(2001年制定)など一連の法律、法規、規則を公布、実行し、関係ある菌(毒)種、ワクチン、生物製品などの生産、管理、使用、保存、携帯、譲渡などに対し厳格な規定を行った。2001年12月に可決された「中華人民共和国刑法」改正案は、伝染病病原体など物質の不法製造、売買、運送、貯蔵または投下の行為を犯罪に定め、刑事処罰を与えると規定している。

    2002年10月、中国政府は「中華人民共和国生物両用品および関係設備・技術管制条例」と管制リストを公布し、生物両用品および関係設備・技術の輸出に対し輸出ライセンス制度を実行し、輸出経営者に対し登録制度を実行するとともに、関係輸出を生物兵器の目的に使用してはならず、中国政府の許可を経なければ、中国の供給する生物両用品および関係設備・技術をその公表した最終用途以外のその他の用途に使用するかあるいはその公表した最終ユーザー以外の第三者に譲渡してはならない原則を確立した。このほか、条例はまた輸出については報告して認可を求める厳格な手続きと規則違反行為に対する処罰措置を規定している。

    化学の分野 1995年から1997年にかけて、中国政府は相前後して「中華人民共和国監視化学品管理条例」、「各種監視化学品リスト」、「中華人民共和国監視化学品管理条例実施細則」などの規則と制度を公布し、監視化学品管理部門とその職責を明確にし、監視化学品を詳しく分類するとともに、敏感な化学品の生産、経営、使用および輸出入を厳しく監視している。規定によると、監視化学品の輸出入は指定された機構が経営しなければならず、他のいかなる機構と個人もこの種の輸出入業務に従事してはならない。1998年、中国政府は「各種監視化学品リスト」を補充し、監視化学品を10種新規増加した。2001年12月に可決された「中華人民共和国刑法」改正案は、毒性物質の不法製造、売買、運送、貯蔵または投下の行為を犯罪に定め、刑事処罰を与えると規定している。

    2002年10月、中国政府はまた「化学品および関係設備・技術輸出管制規則」と管制リストを公布した。同規則は「監視化学品管理条例」に対する効果的な補充であり、付属リストの中に10種の化学品を新規増加しただけでなく、特に関係設備・技術に対する輸出管制を増加した。同「管制規則」は、管制リストに列せられた品目と技術の輸出に対しライセンス制度を実行し、輸入側が中国の提供する関係化学品および関係設備・技術を化学兵器の貯蔵、加工、生産、処理あるいは化学兵器を製造する化学品の生産に使用しないことを保証し、中国政府の認可を経なければ、関係品目と技術をその公表した最終用途以外の用途に使用するか、あるいはその公表した最終ユーザー以外の第三者に譲渡しないよう要求している。同「管制規則」は輸出経営者に対し登録管理制度を実行するとともに、相応の輸出審査認可制度と処罰措置を制定している。

    ミサイルの分野 中国は一貫して慎重かつ責任を負う態度でミサイルとその関係技術の輸出に対処している。中国政府は、1992年にミサイルとその関係技術輸出の面では「ミサイルとその技術コントロール・レジーム」の準則と主なパラメーターを参照して事を運ぶと発表した。1994年、中国は「ミサイルとその技術コントロール・レジーム」が主なパラメーターを制限している地対地ミサイル、即ち内在性能が少なくとも射程が300キロに達し搭載重量が500キロに達する地対地ミサイルを輸出しないことを承諾した。2000年、中国は一歩進んで、いかなる方式でいかなる国の核兵器運搬に用いられる弾道ミサイルの開発を援助する意思がなく、ミサイル輸出抑制分野の条例とリストを制定、公布すると発表した。

    2002年8月、中国政府は「中華人民共和国ミサイルおよび関係品目・技術輸出管制条例」と管制リストを公布した。同条例とリストは、国際通用の方法を参照し、中国の実状と結び付けて、ミサイルおよび直接ミサイルに用いる品目と技術、およびミサイルと関係ある両用品目と技術の輸出に対しライセンス管理制度を実行し、輸出の受け入れ側が、中国政府の許可を経なければ、中国の提供するミサイルの関係ある品目と技術をその公表した最終用途以外のその他の用途に使用しないかあるいはその公表した最終ユーザー以外の第三者に譲渡しないことを保証しなければならないと規定するとともに、厳しい輸出審査認可手続きと処罰措置を規定している。

    軍用品輸出の分野 上記の専門法規のほか、軍用品の輸出管理を強化し、軍用品の輸出秩序を整頓するため、中国政府は1997年に「中華人民共和国軍用品輸出管理条例」を公布し、2002年にそれを改正した。同条例は、受け入れ国の正当な自衛能力に有利である、関係地域と世界の平和、安全、安定を損なわない、受け入れ国の内政に干渉しないという中国側が軍用品輸出の面で一貫して堅持している三原則を再確認している。同条例はまた、軍用品の輸出は、軍用品輸出資格を取得した軍用品貿易公司しか経営できない、軍用品輸出に対しライセンス管理制度を実行する、最終用途が軍用である両用品を軍用品と見なして抑制すると規定している。2002年11月、中国政府は「中華人民共和国軍用品輸出管理条例」の付属文書「軍用品輸出管理リスト」を公布し、初めて軍用品輸出に対しリスト管理を行った。同リストは、通常兵器・装備を詳しく分類し、兵器の定義、兵器の種類、兵器の主な系統または部品および兵器・装備と直接関係ある部品、技術、サービスの四つの方面を主体とする枠組み体系を構成し、軍用品の貿易輸出管理を強化するために科学的な力強い法的保障を提供している。

    このほか、中国政府が2001年に公布した「技術輸出入管理条例」も、核技術、核両用品の関係技術、監視化学品の生産技術、軍事技術などの輸出に対し厳格な管制を行うと規定している。「中華人民共和国税関法」、「中華人民共和国行政処罰法」なども、関係ある拡散防止輸出管制に法的根拠を提供している。