新しい世紀に入って、国際情勢に深刻な変化が現れている。世界多極化と経済グローバル化の趨勢が曲折しながら発展しており、科学技術が日進月歩し、総合的国力の競争が日に日に激化している。人類は新しい発展のチャンスとチャレンジに直面している。
平和と発展は依然として今日の時代のテーマである。各国経済の相互依存が深まり、世界と地域の経済協力機構の役割が強まり、経済的安全がいっそう重視されている。経済と科学技術の発展、総合的国力の増強は、各国の主な戦略的趨勢である。大国同士は互いに力を借り、協力し合いながら、互いに制約、競争しあっている。2001年9月11日、アメリカにテロ事件が発生してから、大国関係の中で協調と協力が強化されている。広範な発展途上国は公正かつ合理的な国際新秩序の確立を積極的に推進し、世界の平和と発展を促す上で重要な役割を果たしている。新たな世界大戦は予見できる時期内に起こることがない。平和を擁護し、発展を促進させることは各国人民の共通の願いである。
アジア太平洋地域は全体として平和と安定を保っており、依然として世界で経済活力と発展の潜在力を最も多くもつ地域である。対話と協力の強化、地域の安定の維持、共同の発展の促進は、すでにアジア諸国の政策の主流となっている。
アジア太平洋経済協力機構(APEC)はより緊密な協力の方向に向かって邁進している。東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国、日本、韓国(10プラス3)を主なルートとする東アジアの協力はいっそう実務的なものとなった。中国とASEANは10年内に自由貿易区を設置することで認識が一致し、非伝統的な安全分野における全面的な協力を始めた。メコン川流域の開発と協力はまもなく全面的に展開される。ASEAN地域フォーラムの信頼措置の確立から予防的外交段階への移行は実質的成果をあげている。上海協力組織は互いに信頼し、パートナーにはなるが同盟を結ばないという国家関係を樹立し、反テロリズム協力を実行する面で著しい進展をとげている。アフガニスタンでは再建がスタートしている。朝鮮半島では全体として緩和に向かう趨勢が保たれている。南中国海地域の情勢が基本的に安定し、関係諸側は「南中国海各側行為宣言」に調印した。
しかし、平和と発展に影響をおよぼす不確実要素も増えており、世界はまだ非常に不安寧である。不公正、不合理な国際政治・経済旧秩序は根本的には変わっていない。世界経済の発展は非常にアンバランスで、南北の格差がいちだんと拡大され、経済グローバル化の過程で発展途上国の得られる利益がわりに少なく、瀬戸際化されるおそれのある国もある。国際関係の民主化はまだまだ実現しておらず、覇権主義と強権政治は新しい行動をとっている。一部の地域では、民族、宗教、領土、資源などの問題によって引き起こされる紛争が起伏し、武力衝突と局地戦争が絶えず発生している。テロリズム、国際犯罪、環境悪化、麻薬など非伝統的な安全の問題が日増しに突出し、特にテロリズムは国際と地域の安全に対し現実的な脅威となっている。
世界の軍事的変革は急速に進み、軍事力の対比に新しい深刻なアンバランスが現れている。情報技術を中心とするハイテクが軍事分野で広く応用され、戦場は陸、海、空、宇宙、電気など多次元の空間に拡大され、中・長距離の精確な打撃は重要な作戦形式となり、戦争の形式は情報化の方向に発展しつつある。世界の主要国はほとんど軍事的戦略を調整し、ハイテクを基礎とする軍隊の現代化建設を速めている。発展途上国と先進国との軍事技術面の格差がいっそう拡大され、発展途上国の国家主権と安全を守る闘争は厳しいチャレンジに直面している。
アジア太平洋地域には依然として不安定な要素が存在している。歴史的に残された在来の安全問題がなくなっておらず、その上新しい情況が現れ、新しい安全問題は一部の国で日ましに突出している。テロリズム、分裂主義、極端主義勢力の地域の安全に与える危害は短期間内に根絶するのが難しい。南アジアの緊迫した情勢に根本的変化が見られない。アフガニスタンの情勢はまだ完全には安定していない。朝鮮半島の和解プロセスは依然として曲折の状態を呈している。一部の国は引き続きアジア太平洋地域で軍事的配置と軍事同盟を強化し、絶えず武装力の機能と行動範囲を拡大している国もある。
台湾海峡両岸関係の基本的枠組みと発展の趨勢は変わっていない。台湾同胞の平和を求め、安定を求め、発展を求める願いは日増しに強まっており、両岸の経済貿易、文化などの分野における交流と人的往来は日ましに盛んになり、両岸の直接の通信、通航、通商は民心の向かうところ、大勢の赴くところである。しかし、両岸関係の緊張の根源はまだ取り除かれていない。台湾当局の指導者は一つの中国の原則を受け入れず、「台湾独立」の立場をかたくなに固持し、海峡両岸が「一辺一国」という分裂の主張さえ打ち出し、しかも漸進の手法で各種の分裂活動を行っている。「台湾分裂」勢力は台湾海峡地区の平和と安定に対する最大の脅威である。ごく少数の国は台湾問題で中国の内政に干渉し、引き続き台湾に兵器・装備を売却し、台湾との関係を昇格させているが、これは、台湾分裂勢力の気炎を助長し、中国の平和的統一の進行過程を損ねている。
当面の世界の安全に対する脅威は多次元、グローバル化の趨勢を呈しており、安全面における各国の共通の利益が増えている。対話を通じて相互信頼を増進し、協力を通じて共同の安全を促進し、相互信頼、互恵、平等、協業の新しい安全観を樹立することは、今日の時代発展の要請である。中国は永遠に世界平和を擁護し、共同の発展を促進する確固とした力である。中国はあくまでたゆまずに新しい安全観を実践し、各種の形式の覇権主義と強権政治に反対し、あらゆる形式のテロリズムに反対する。中国は世界各国と共に、長期にわたって安定した、安全で頼りになる国際平和環境を作り出すことに努力する。
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