中華人民共和国の武装力は中国人民解放軍、中国人民武装警察部隊、民兵からなっている。中華人民共和国中央軍事委員会は全国の武装力を指導し、統一的に指揮する。
中国人民解放軍
中国人民解放軍は中国共産党が創建、指導する人民軍隊であり、中国武装力の主体である。人民解放軍は現役部隊と予備役部隊からなり、総人数は250万人以内に保っている。現役部隊は国の常備部隊であり、陸軍、海軍、空軍、第二砲兵からなり、主に防衛作戦任務を担当しているが、必要のある場合、法律の規定に従って社会秩序の維持を助力することができる。中央軍事委員会は総参謀部、総政治部、総後方勤務部、総装備部を通じて全軍の作戦を指揮し、業務を指導する。
人民解放軍は1927年8月1日に創建され、創建当初は陸軍しかなかった。陸軍は主に陸上作戦を担当し、今のところ独自の指導機関がなく、指導機関の機能は4総部によって代行され、瀋陽、北京、蘭州、済南、南京、広州、成都の7軍区は所属する陸軍部隊を直接指導する。陸軍は歩兵、装甲兵、砲兵、防空兵、陸軍航空兵、工兵、対化学戦兵、通信兵などの兵種および電子対抗兵、偵察兵、測量・製図兵などの専門兵種からなっている。歩兵は徒歩であるいは装甲輸送車、歩兵戦車に乗って移動、作戦をし、山地歩兵、オートバイ歩兵、機械化歩兵(装甲歩兵)からなっている。装甲兵(戦車兵)は戦車およびその他の装甲車、保障車両を基本装備として、地上突撃任務を遂行する。砲兵は各種の火砲、対戦車砲、対戦車ミサイルおよび戦役戦術ミサイルを基本装備として、地上の火力突撃任務を遂行する。防空兵は高射砲、地対空ミサイルなどを基本装備として、対空作戦任務を遂行する。陸軍航空兵は攻撃型ヘリコプター、運送用ヘリコプターおよびその他の専用ヘリコプターと軽型固定翼航空機を装備して、空中移動と地上作戦を支援する任務を遂行する。工兵は工事保障任務を担当し、工兵、舟橋、建築、偽装、野戦給水工事、工事保護などの専門部隊(分隊)からなっている。対化学戦兵は対化学戦保障任務を担当し、対化学戦、噴火、発煙などの部隊(分隊)からなっている。通信兵は軍事通信を担当し、通信、通信工事、通信技術保障、航空兵の航路誘導および軍事郵便勤務などの専門部隊(分隊)からなっている。陸軍はその担当している任務に基づいてさらに野戦機動部隊、海岸防衛部隊、国境警備部隊、防衛警備部隊などに分けている。野戦機動部隊の編成序列は一般には集団軍、師団(旅団)、連隊、大隊、中隊、小隊、分隊である。海岸防衛部隊、国境警備部隊、防衛警備部隊は、その担当している作戦任務と地理的条件に基づいて編成方式を確定する。
人民解放軍海軍は1949年4月23日に創建され、独自であるいは陸軍、空軍と共同で海上から敵の侵入を防御し、領海の主権を保全し、海洋の権益を守ることを主な任務としている。海軍は潜水艦部隊、水上艦艇部隊、航空兵、海岸防衛兵、陸戦隊などの兵種と専門部隊(分隊)からなっている。海軍は北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊の3艦隊と海軍航空兵部を管轄している。艦隊は基地、水域警備区、艦艇支隊、艦艇大隊などを管轄している。潜水艦部隊は常規動力潜水艦部隊と原子力潜水艦部隊に編成され、水中攻撃とある程度の核反撃能力を持っている。戦略的核反撃任務を担当している原子力潜水艦部隊は、中央軍事委員会に直接指揮される。水上艦艇部隊は戦闘艦艇部隊と勤務艦船部隊に編成され、海上で対艦艇戦、対潜水艦戦、防空、水雷戦、対海岸攻撃などの作戦能力を持っている。海軍航空兵は爆撃航空兵、戦闘・爆撃航空兵、戦闘航空兵、攻撃航空兵、対潜水艦航空兵、偵察航空兵などの部隊および警戒、電子対抗、運送、救護、空中給油などの勤務保障部隊(分隊)に編成され、偵察、警戒、対艦艇攻撃、対潜水艦攻撃、防空などの作戦能力を持ち、その編成序列は、航空兵部、艦隊航空兵、航空兵師団、連隊である。海岸防衛兵は海岸艦艇ミサイル部隊と海岸砲兵部隊に編成され、海岸防御作戦能力をもっている。海軍陸戦隊は陸戦歩兵、砲兵、装甲兵、工兵および偵察、対化学戦、通信などの部隊(分隊)に編成され、水上と陸上の両方から作戦を実施する快速突撃力である。
人民解放軍空軍は1949年11月11日に創建され、主な任務は、国土の防空を組織し、国の領空と重要な目標の空中安全を守ること、相対的に独立した空中進撃作戦を組織すること、共同戦役では、独自であるいは陸軍、海軍、第二砲兵と共同で作戦を行い、空中から侵入する敵に抵抗、反撃するか、あるいは空中から敵に打撃を加えることである。空軍は空中打撃と空中防御を一体化した体制を実行し、航空兵、地対空ミサイル兵、高射砲兵、降下兵および通信、レーダー、電子対抗、対化学戦、技術偵察などの専門部隊(分隊)からなっている。空軍は瀋陽、北京、蘭州、済南、南京、広州、成都の7軍区の空軍を管轄し、重要な方向と重要な目標区には軍あるいは軍に相当する基地が設置されている。航空兵は戦闘、攻撃、爆撃、偵察、運輸航空兵および勤務保障部隊(分隊)からなり、一般に師団、連隊、大隊、中隊の体制で編成されている。航空兵師団は一般には二つか三つの航空兵連隊と駐屯地、飛行場を管轄し、航空兵連隊は基本的な戦術単位である。兵器・装備とその担っている任務の違いによって、各種航空兵連隊の航空機の数量が異なり、一般には20機ないし40機であり、航空機と搭乗員(グループ)の比は、一般には1:1.2である。地対空ミサイル兵、高射砲兵は一般には師団(旅団)、連隊、大隊、中隊の体制で編成される。降下兵は軍、師団、連隊、大隊、中隊の体制で編成される。
人民解放軍第2砲兵は1966年7月1日に創建され、地対地戦略核ミサイル部隊、戦役戦術常規ミサイル部隊および相応の勤務保障部隊(分隊)からなっている。戦略核ミサイル部隊は一定の規模と実戦の能力を持つ主要な核反撃作戦力であり、中央軍事委員会に直接指揮される。戦略核ミサイル部隊は地対地戦略核ミサイルを装備し、主な任務は敵の中国に対する核兵器使用を抑制し、敵が中国に対し核襲撃を発動した時、最高司令部の命令に従い、独自であるいはその他の軍種の戦略核部隊と共同で、敵に対し効果的自衛反撃を実施する。戦役戦術常規ミサイル部隊は常規の戦役戦術ミサイルを装備し、常規ミサイルの火力突撃任務を遂行する。
人民解放軍予備役部隊は1983年に創建され、現役軍人を中堅とし、予備役人員を基礎とし、規定された体制に従って編成される部隊である。予備役部隊は統一的編成を実行し、師団、旅団、連隊に番号と軍旗を授与し、人民解放軍の条令、条例を実行し、人民解放軍の序列に編入され、平時は省軍区(衛戍区、警備区)に指導され、戦時は動員されて指定した現役部隊に指揮されるかあるいは単独で作戦任務を遂行する。平時は規定に従って訓練を行い、必要のある場合は法律の規定に基づいて社会秩序の維持に協力することができ、戦時は国の発布した動員令に基づいて現役部隊に編成がえされる。
人民解放軍の香港、澳門駐在部隊は中央軍事委員会に所属する。香港駐在部隊は陸軍、海軍、空軍などの部隊からなり、澳門駐在部隊は主に陸軍部隊からなり、機関に海軍と空軍の要員が少数編成されている。
中国人民武装警察部隊
中国人民武装警察部隊は1982年6月19日に創建され、内部防衛部隊と金、森林、水力発電、交通などの部隊からなり、公安と国境警備、消防、警備部隊も武装警察に編入される。内部防衛部隊は各総隊と機動師団からなっている。武装警察部隊は人民解放軍の創建思想、主旨、原則に基づき、その条令、条例および関係規則・制度にしたがい、武装警察部隊の特徴と結び付けて建設を進め、「中華人民共和国兵役法」を実行し、人民解放軍と同等な待遇を享受する。武装警察部隊の基本的任務は、国の安全と社会の安定を維持し、国の重要な目標を守り、人民の生命・財産の安全を守り、戦時は人民解放軍の防衛作戦に協力する。
武装警察部隊は国務院の編成に属し、、国務院、中央軍事委員会の二重指導を受け、統一的な指導、管理と級別指揮を結び付ける体制を実行する。武装警察部隊は総部、総隊(師団)、支隊(連隊)の3級の指導機関を設けている。武装警察総部は武装警察部隊の指導・指揮機関であり、内部防衛部隊と金、森林、水力発電、交通などの部隊を指導、管理する。中国の各級行政区画では、省クラスには武装警察総隊、地区クラスには武装警察分隊、県クラスには武装警察中隊がそれぞれ設けられている。公安任務遂行と関係業務建設の面で、武装警察部隊は同級の公安部門の指導と指揮を受ける。
平和時期においては、武装警察部隊は主に固定目標の当値、突発事件の処置、反テロなどの任務を担当し、国の経済建設を支援する。固定目標の当値は、主に警備、守衛、守護、留置、看守、パトロールなどの勤務を担当する。具体的には、国の指定した警備対象と来訪する外国要人、省クラス以上の党・政府指導機関、各国の中国駐在大使館、領事館および国際的、全国的な重要会議、大型文化・スポーツ活動の現場に対する安全警備、刑務所と留置場の周辺に対する武装警戒、重要な空港、放送局および国家経済、国防建設など重要部門の機密・緊要部門あるいは緊要部位に対する武装防衛、鉄道の主要幹線にある重要な橋梁、トンネルおよび特定の大型道路橋に対する武装防衛、国の指定した大中都市あるいは特定地区に対する武装巡察警戒を担当することである。突発事件の処置は、主に反乱事件、騒乱と暴動事件、集団的治安撹乱、凶器を持っての乱闘事件など突発的な国の安全あるいは社会の秩序に危害をもたらす違法事件に対し、法によって処置することである。反テロは主に反襲撃、反拉致、反爆発である。国の経済建設を支援し、主に金地質探査、森林防火・消火、国のエネルギー、交通などの重点プロジェクト建設に参加する。重大な災害が発生した時は緊急救助に参加する。
民兵
民兵は生産を離れない大衆武装組織であり、人民解放軍の予備軍であり、現代条件の下で人民戦争を行う基礎である。民兵の活動は国務院、中央軍事委員会の指導の下で、総参謀部が主管する。民兵は軍事機関の指揮の下で、戦時は常備軍との合同作戦、独自作戦、常備軍の作戦に対する後方勤務保障提供および兵員補充などの任務を担い、平時は戦備勤務、災害救助、社会秩序維持などの任務を担当する。
「中華人民共和国兵役法」の規定に基づいて、兵役に服する条件に適合する18歳から35歳までの男子公民は、現役に服している者を除き、すべて民兵組織に編入され、予備役に服する。民兵は基幹民兵と普通民兵に分ける。28歳以下の除隊兵士、軍事訓練を受けた者、および軍事訓練参加に選ばれた者は基幹民兵に編入され、その他の予備役に服する条件に適合する18歳から35歳までの男子公民は普通民兵に編入される。必要に応じて、女子公民を基幹民兵に参加させることもできる。農村の郷・鎮、行政村、都市の街道および一定の規模をもつ企業・事業体は民兵を創建する基本的単位である。基幹民兵は単独に編成され、県クラスの行政区域内の民兵軍事訓練基地で集中的に軍事訓練を行うが、現在は応急分隊と高射砲、高射機関銃、携帯式防空ミサイル、地対空砲火、通信、対化学戦、工兵、偵察など専門技術分隊が編成されている。
有事の時に、民兵をすぐ集められるようにするため、中国政府は民兵戦備制度を確立し、定期的に民兵の中で国防観念強化を目的とする戦備教育を展開し、状況に応じ、戦備計画に基づいて演習を行い、任務遂行能力を高めている。
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