中国は積極的な就職政策を実行し、「勤労者が自主的に就職し、市場が就職を調節し、政府が就職を促進する」という就職方針を確定した。中国政府は、あくまで経済発展、経済構造調整、改革深化、都市・農村経済の協調的発展、社会保障体制整備を通じて就職を促進し、各種の効果的措置をとり、百方手を尽くして就職を増加し、就職の規模を拡大し、失業率を社会の耐えられる程度以内に抑えるように努めている。
経済を発展させ、構造を調整し、積極的に就職ポストをつくり出す
――経済の発展を通じて就職を拡大する。中国政府は終始就職促進を国民経済と社会発展の戦略的任務とし、失業率の抑制と就職ポストの増加をマクロコントロールの主要な目標として国民経済と社会発展計画に組み入れ、あくまで内需拡大の方針を実行し、積極的な財政政策と穏健な通貨政策を実施し、国民経済の平穏でわりに速い発展を維持し、経済構造を積極的に調整し、就職に対する経済成長の推進力を高めている。
――第三次産業を発展させ、就職ルートを拡大する。中国政府はあくまでサービス業の発展を就職拡大の主要な方向とし、地域社会のサービス、飲食、物流、観光などの業種を発展させて、これら業種の就職ポストをより多く増加するのを奨励する。 2002 年、中国政府は、第三次産業を大いに発展させ、在来のサービス業分野の就職ルートを開拓し、観光業などを発展させて就職ポストを増やす扶助政策を制定し、重点を地域社会の公益的就職ポストを開発し、一時帰休者とその他の就職が困難な人たちの再就職を援助、促進することに置いている。
――多種所有制経済を発展させて、就職ルートを拡大するのを奨励する。中国政府は労働力資源の強みを発揮することを重視し、強みがあり、市場が必要とする労働集約型産業と企業、特に就職容量の大きい私営と個人経営企業および中小企業の発展に力を入れ、吸収した労働力は都市部の就職増加人数の約 80 %を占めた。 2002 年 8 月、中国は「中小企業促進法」を公布し、中小企業の発展をいっそう規範化させ、推進した。
――多様な就職形式を発展させ、就職ルートを増加する。中国政府は勤労者が多様な方式で就職を実現するのを奨励し、労務派遣機構と就職基地を積極的に発展させ、多様な就職にサービスと援助を提供している。政府は、非全日制雇用、臨時就職者医療保険などに関する政策を制定し、労働関係、賃金支給、社会保険などの関連制度を確立し、多様な方式で就職した人の合法的権益を保障している。
公共就職サービス・システムを整備し、労働力市場を育成し、発展させる
――市場を方向とする就職メカニズムを構築する。中国政府は労働力市場を積極的に育成し、発展させ、企業を労働力市場の雇用主体とし、勤労者を供給主体とする地位をちくじ確立した。同時に、社会保障制度、住宅制度、戸籍制度などの改革を調整、推進して、労働力市場発展の客観的な環境が明らかに改善され、市場メカニズムが労働力資源配置の中で基礎的な役割を果たしている。
――公共就職サービスシステムを発展させ、整備する。 1990 年代後半以来、中国政府は労働力市場の科学化・規範化・現代化建設、公共就職サービス制度の確立に大いに力を入れている。現在、大中都市および一部の条件が整った小都市では、市と区で公共職業紹介所を窓口とする総合的サービス施設が広く設立され、地区クラス以上の都市では、地域社会に労働保障施設がほぼ設立され、末端の就職サービス組織ネットワークが整備した。全国の 100 近くの大中都市では、労働力市場情報ネットワークがつくられ、市と区の就職サービス機構間のコンピューターによる情報ネットワーク化が実現され、一部の都市では、情報ネットワークがすでに地域社会に接続している。全国の 89 の大中都市は四半期ごとに労働力市場の職業需給に関する分析情報を発表し、労働力資源の合理的配置と職業訓練事業の発展を促進する面で指導の役割を果たした。政府はまた民間職業紹介所の発展を奨励し、規範化させている。 2003 年末現在、全国に各種の職業紹介所が合計 2 万 6000 カ所あり、そのうち各クラスの労働と社会保障部門の運営する公共職業紹介所が 1 万 8000 カ所ある。公共職業紹介所は毎年延べ 2000 万人に就職サービスを提供し、延べ 1000 万人を就職させている。
――失業保険制度を整備する。 1980 年代の半ばに、中国は失業保険制度を確立し、失業者による失業救済と失業医療補助金を提供し、失業者を管理し、サービスを提供し、失業保険に就職と再就職促進の役割を果たさせている。 1999 年 1 月、中国政府は「失業保険条例」を公布し、失業保険制度をいちだんと整備した。労働と社会保障部の統計によれば、 2003 年の全国の失業保険基金の収入は 249 億元、支出は 200 億元で、繰り越し残額は 304 億元である。 2003 年末現在、全国の失業保険加入者数は 1 億 373 万人、年末の失業保険金受領者数は 415 万人に達した。
一時帰休者の再就職を促進する
中国が長期にわたり労働力の供給が過剰するという背景の下で、経済構造の不断調整につれて、在来産業の従業員の多くが一時帰休し、 1998 年から 2003 年までの国有企業の一時帰休者は合計 2818 万人に達した。ここ数年来、中国政府は一連の一時帰休者再就職促進政策を打ち出し、就職ポストを大いに開発し、再就職サービスを着実に提供し、再就職資金の投入を増加し、再就職のための技能訓練を強化し、一時帰休者が就職観念を転換するように積極的に導いている。 1998 年から 2003 年にかけて、中央財政は、国有企業の一時帰休者のために基本的生活保障と再就職資金を 731 億元支出した。 2003 年に、全国の各クラス政府の共同努力を経て、 440 万人の一時帰休者が再就職したが、その中に男性は満 50 歳以上、女性は満 40 歳以上の就職が困難な人が 120 万人いる。
――再就職サービスセンターを設立する。中国政府は各方面の力を動員して一時帰休者を抱える国有企業で再就職サービスセンターを設立し、一時帰休者に基本的生活保障を提供し、彼らに代わって養老、医療などの社会保険料を納付し、また就職指導を 1 回、就職情報サービスを 3 回、無料の職業訓練を 1 回提供している。
――税金・費用減免と小額担保貸付けの扶助政策を実行する。一時帰休者が自分で職を探し、個人経営に従事する場合、関係税金・費用の徴収を 3 年間免除する。自分で職を探し、自主的に創業する一時帰休者に小額担保貸付けを提供し、政府が担保基金を設け、財政から利息補助金を提供する。
――社会保険補助金と税金減免政策を実行する。ポストを増やして国有企業の一時帰休者を雇用する各種のサービス型企業と商業貿易企業に対し、政府が社会保険補助金を提供する。企業が一時帰休者を多く雇用するのを奨励するため、その年にポストを増やして新規雇用した人の中に一時帰休者が 30 %以上に達したサービス型企業、商業貿易企業、労働就職サービス企業の中の加工型小企業および地域社会の小型加工企業に対し、税金を 3 年間減免する。
――再就職援助を通じて就職が困難な人を援助する。就職能力と就職意欲のある、男性は満 50 歳以上、女性は満 40 歳以上の就職が困難な一時帰休者を就職援助の主要な対象として、即時ポスト援助など多種の援助を提供する。政府が投資して開発した公益的ポストは優先的に就職が困難な高齢者を就職させる。地域社会の開発した公益的ポストは、もとの国有企業の就職が困難な高齢者を就職させ、政府は社会保険補助金とポスト補助金を支給する。
――国有大・中型企業の余剰従業員配置変えを奨励する。国有大・中型企業が主要業務と補助業務を分離し、補助業務の体制を転換して、余剰従業員を配置変えするのを奨励する。体制を転換した企業とその経営する経済実体が配置する余剰従業員が一定の割合に達した場合、企業所得税を 3 年間免除する。
――一時帰休者に対する就職サービスを強化する。各クラスの公共職業紹介所は、一時帰休者に求職登録、職業指導、職業紹介、社会保険関係移転などの「一括式」サービスを提供し、職業紹介と職業訓練を無料で行い、現代的情報ネットワークを利用して、一時帰休者に就職情報をすかさず的確に提供する。自分で職を探し、自主的に創業する一時帰休者に対し、条件のあるところは特別窓口を設けて、商工業登録、納税業務、労働保障事務代理など「一括式」サービスを提供する。一時帰休者の就職能力を高めるため、多段階、多形式の再就職訓練を行う。開業の条件をもつ人に対しては、創業訓練と開業指導を行い、プロジェクト・コンサルタント、追跡扶助などのサービスを提供し、先頭に立って創業する人を育て上げることによって、より多くの人が就職するように促進する。
社会保障システムを整備し、労働関係の調和と安定を守る
――「三本の保障ライン」制度を確立する。 1998 年以来、中国政府は国有企業の一時帰休者の基本的生活保障、失業保険と都市部住民の最低生活保障を内容とする「三本の保障ライン」制度を確立した。一時帰休者を抱える国有企業で再就職サービスセンターを設立し、一時帰休者は同センターにいる間に最長 3 年間の基本的生活費を受け取ることができる。 3 年の期間が満了してセンターを出た後就職していない一時帰休者とその他の失業者は、失業保険に加入し、定額通りに保険料を納めた場合、規定によって最長 2 年間の失業保険金を受け取ることができる(図 6 を参照)。都市部家庭の一人あたり所得が当地の最低生活保障基準より低い一時帰休者は、規定により都市部住民の最低生活保障基準を享受することができる。「三本の保障ライン」の設立を通じて、一時帰休者の生活保障、社会保障、再就職を緊密に結びつけている。
――社会保障サービスを強化する。中国政府は各種の措置をとって、企業・事業体に所属せず資金源が多元化し、保障制度が規範化し、管理サービスが社会化した社会保障システムの確立を積極的に模索している。 1998 年以来、一時帰休者の社会保険関係接続制度を制定し、一時帰休者の再就職を促進している。一時帰休者が企業を離れる時、それまでの社会保険料納付年限と個人口座は引き続き保留され、再就職後は養老保険に引き続き加入するとともに、規定通りに保険料を納めた人の前後の納付年限を合わせて計算する。非全日制、臨時、弾力的など多様な形式で就職した一時帰休者に対しては、その就職の特徴に適応する社会保険方法と労働管理制度を初歩的に制定した。
――新しいタイプの労働関係協調メカニズムを構築する。中国政府は「双方が自主的に協議し、政府が法によって協調する」という労働関係協調メカニズムの構築、労働契約を通じて労働関係を樹立する制度の確立を積極的に推進している。労働契約制度はすでに都市部の各種企業で広く実施されている。政府は、企業が従業員代表大会と労働組合の機能を絶えず強化し、従業員の民主参与制度を整備し、平等協議を通じて集団契約を締結する制度を積極的に模索、推進するのを奨励している。 2003 年末現在、全国で集団契約が 63 万 5000 件結ばれ、これらの契約は 127 万社の企業と 8000 余万人の従業員をカバーしている。そのうち、賃金に関する集団契約を結んだ企業は 29 万 3000 社で、これらの契約は 3579 万人の従業員をカバーしている。中国は自国の国情に合致する政府・労働組合・企業 3 者協調メカニズムの構築を全面的に始め、労働関係にかかわる重大な問題について交流、協調している。現在、全国の 30 の省・自治区・直轄市で、省クラスの 3 者労働関係協調会議制度が確立され、各クラスの 3 者協調機構が 5062 設立された。それと同時に、中国はまた労働紛争の調停・仲裁・法律訴訟制度を確立し、労働紛争を法によって処理する軌道にのせた。
―― 勤労者の就職権利を保障する。中国の法律は、勤労者の就職は、民族、人種、性別、宗教信仰の違いによって差別されないと規定している。中国の法律は、満 16 歳未満の未成年者の雇用を厳禁し、国は不法に少年工を使用し、少年工に仕事を紹介する行為を厳しく取り締まり、処分する。中国政府は法律執行監督にいっそう力を入れて、企業が法律・法規の平等就職に関する規定を真剣に実行するように督促し、労働力市場の各種差別行為を是正し、メディアに差別的な求人広告を掲載、放送するのを禁止している。同時に、勤労者の権利保護の意識と能力を高め、世論面で良好な雰囲気をつくり出し、勤労者が法律という武器を運用して自身の労働就職権益を守るのを支持、奨励している。中国政府は職業安全と衛生に関する国家基準、業種基準、地方基準をたえず整備し、 1999 年に職業安全衛生管理体系基準を公布し、その認証作業を全面的に繰り広げた。 2003 年、国務院は「労働災害保険条例」を公布し、 2004 年 1 月 1 日から施行し始めた。
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