中国の就職状況と政策


四、農村労働力の就職



    農村人口は中国人口の大多数を占め、中国政府は農村の就職問題を高度に重視している。中国政府はあくまで大中小都市と町が協調的に発展する中国の特色をもつ都市化の道を歩み、都市と農村の経済と社会の発展を統一的に按配し、農業と農村の経済構造を調整し、農村の就職容量を拡大し、さまざまな措置をとって農村余剰労働力の非農業産業への移転を推進し、都市化の発展に不利な体制と政策の障害をちくじ取り除き、農村労働力の合理的かつ秩序立った流動を導いている。

    農業と農村の経済構造を調整する

    中国政府は農業と農村の経済構造を積極的に調整し、伝統的な栽培業以外の農業産業を大いに発展させ、農業の総合的開発を拡大し、農業の総合的効果を高めている。国は農業の産業化経営を大いに推し進め、農産物の加工、販売、貯蔵・運輸、鮮度保持などの産業を発展させ、農業の産業チェーンを延長している。また財政、納税、貸付などの面で優遇政策を実行し、一部の重点的な先導企業の発展加速を援助している。さらに農業サービス機構の刷新を奨励し、仲買人の隊列を育成し、農業の社会化サービスを全面的に発展させている。中国政府は郷鎮企業の発展を農村余剰労働力の就職を解決する重要な活路としている。 20 余年来、体制刷新、技術改造、配置最適化、産業のグレードアップを通じて、郷鎮企業の市場競争力をたえず高めてきた。現在、郷鎮企業はすでにかなりの規模と経済総量を持っており、農村経済を繁栄させ、農民の収入を増やす重要な力と農村の余剰労働力を就職させる主要なルートとなっている。 2003 年、全国の郷鎮企業の達成した生産額は 3 兆 6686 億元で、国内総生産の 31.4 %を占め、国民経済の重要な支柱となった。郷鎮企業は農村の余剰労働力を 1 億 3600 万人吸収したが、その人数は農村労働力の 27.8 %に相当する。

    農村労働力の合理的かつ秩序立った流動と就職を導く

    2003 年、中国の農村労働力が郷以外のところに流動して就職する人数は 9800 万人を上回り、 1990 年の 1500 万人の 6 倍以上である。 1990 年代以降、都市へ行って働く農民の数は年平均 500 万人前後の規模で急増し、農村労働力移転の主要なルートとなっている。 90 年代以来、中国政府は都市へ行って働く農民労働者に対し、「公平に扱い、合理的に導き、管理を完全にし、サービスをよくする」という方針を実行し、都市へ行って就職する農民に対し指導とサービスを強化し、労務協業制度、就職サービス制度、重点的監督制度など効果的な管理・サービス制度を確立し、情報と方向誘導、管理とサービスの面で政府の機能を十分に発揮させている。これを踏まえて、公共就職サービス機構の建設を大いに強化し、労務雇用情報ネットワークを確立し、健全にし、雇用情報調査を展開するとともに、企業の求人情報をタイムリーに分析、発表している。また農村労働力の職業訓練を強化し、「 2003 年から 2010 年までの全国農民労働者訓練計画」を制定し、 7 年内に移動する予定の 6000 万の農村労働力に対し指導的訓練と職業技能訓練を行い、農民労働者の総体的資質と就職能力を高めるようにしている。中国政府は国民経済と社会発展の全局から出発し、積極的に措置をとって、都市へ行ってから、必要に応じて秩序立って流動、就職するよう農民を導いている。

    農民労働者の合法的権益を守る

    中国政府は都市へ行って働く農民に対する労働契約管理をちくじ健全にし、雇用部門は農民労働者を募集する場合、法に依って労働契約を締結し、部門と農民労働者の権利と義務を明確にしなければならない。労働力市場の整理と整頓を強化し、雇用部門、仲介機構に対する監督・検査にいっそう力を入れ、賃金支給、労働条件などに対する管理を強化し、農民労働者の権益を保障する面の法律執行状況を集中的に検査し、不法な職業紹介と偽りの求人情報をでっち上げて農民労働者を陥れる行為を厳しく取り調べ、処分し、農民労働者の合法的権益と労働力市場の秩序を効果的に守っている。農民労働者の社会保険を発展させる方途を積極的に模索し、広東、福建、北京など主要な労務輸入地区は社会保険の適用範囲を農民労働者にまで広げ、相応の政策と法規を制定して、農民労働者の公傷、医療、養老などの社会保険加入作業を積極的に展開している。

    農村労働力の開発と就職を試行する

    1991 年以来、中国政府は一部の地区で農村労働力の開発と就職を試行し、自然、経済、社会などの条件が異なる状況の下で農村労働力の開発と就職の具体的な方途、実現方式、政策・措置を模索し、各種の就職方式とワンセットになる社会化サービス・システムと組織管理形態を構築し、都市と農村の就職を政府が統一的に按配、管理する政策、法規、マクロ規制方法を検討し、農村労働力の就職を促進している。現在、都市と農村の就職の統一的按配、帰郷創業、農村労働力の移動と訓練、西部開発による就職推進を主要な内容とする試行作業が、全国の 26 省・市の 98 県・市で掘り下げて行われている。