21 世紀の最初の 20 年に、中国はいくらかゆとりのある社会を全面的に建設する新しい時期に入る。中国政府は、人口の基数、人口の年齢構造、人口の移動および社会経済発展のプロセスなど諸々の要素の影響を受けて、 21 世紀の最初の 20 年間に中国は就職面で依然としてかなり大きな圧力に直面することをはっきり認識している。今後の 20 年に中国の 16 歳以上の人口は年平均 550 万人の規模で増加し、 2020 年になると、労働適齢人口総数は 9 億 4000 万人に達する。第 10 次 5 カ年計画期( 2001 年〜 2005 年)の労働適齢人口の増加が最も速く、年平均 1360 万人増加している。労働適齢人口が増加し続けると同時に、目下、 1 億 5000 万人にのぼる農村の余剰労働力は移動する必要があり、 1100 万人以上の一帰休者は再就職する必要がある。労働力需給総量の矛盾が先鋭化すると同時に、労働力の資質がポストの要求に適応しない構造的失業問題は日ましに突出している。
21 世紀の前期に、中国の就職問題解決にも多くの有利な条件が存在していることも見てとるべきである。これらの有利な条件は、中国政府は就職問題を高度に重視し、あくまで人を本として、全面的な、協調する、持続可能な発展観を樹立して、経済・社会と人の全面的な発展を促進し、就職問題をよりよく解決するために思想認識基礎を提供したこと、長年の模索と実践を経て、就職問題解決の大方針が決定され、方向が明確で、措置がワンセットになり、市場を方向とする就職メカニズムが初歩的に形成され、これらは就職問題を立派に解決するために政策とメカニズムの保障を提供していること、経済が持続的、快速、協調的、健全な発展を保ち、財政収入の増加がわりに速く、経済構造調整が順調に推し進められ、企業の経済収益が明らかに好転し、第三次産業の発展が速くなり、これらはかならず就職を力強く推進すること、あくまで西部大開発を推進し、東北地区などの旧工業基地を振興し、中部地区の興起を促進し、東部地区の発展加速を奨励する地区の協調的発展を促進する戦略の実施および都市化の加速は就職問題の解決に新しいチャンスをもたらすこと、就職促進諸政策のいちだんの実行と整備につれ、政策はいっそう大きな効果をあげ、就職と創業の環境はいちだんとよくなること、WTOに加盟し、対外貿易が絶えず増加して、中国経済は世界経済といっそう緊密につながり、就職問題の解決に良好な外部環境を提供することなどである。
総体的目標
21 世紀の前期に、中国の就職問題解決の総体的目標は、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する総体的要求に基づいて、科学的な発展観を樹立し、実行に移し、人的資源の開発・利用に対する経済社会発展のニーズに適応し、広範な勤労者が労働に参与し、収入のレベルを高める願望を満たし、社会の就職がわりに十分になるように努め、失業率を社会の耐えうる範囲内に抑えること、経済発展と構造改善を通じて、多くの就職ポストを開発し、教育訓練の強化を通じて、勤労者の就職能力開発を促進して、中国の豊富な労働力資源を十分に開発し、合理的に利用すること、勤労者が自主的に職業を選び、自由に流動し、自主的に創業するいっそう良好な環境をつくり、安定した就職促進政策と制度を形成し、都市と農村が統一し、内外に開放し、平等に競争する、規範的で秩序立った労働力市場を健全にし、就職ルートが滞りなく通ずるように保つこと、社会失業率と平均失業周期を社会の耐えうる範囲内に抑え、労働能力と就職願望のある勤労者に平等な就職のチャンスを与えるかあるいは積極的に就職を準備する状態に置くことである。 2020 年になると、就業総量は 8 億 4000 万人に達し、失業率は社会が耐えうるレベルに抑えられる。大多数の人は就職のチャンスにめぐまれ、少数の失業者は基本的生活が保障されるとともに、就職の準備をし、社会は全体としてわりに十分な就業状態に置かれる。
主要な措置
――経済のわりに速い成長を引き続き保ち、就職と再就職作業をいっそう際立つ位置に置く。内需拡大の方針を堅持し、国民経済の持続的な、快速の、健全な発展を保ち、就職拡大に強大な原動力を提供する。経済成長と産業調整政策を制定する時、就業のポストをつくり、就職を拡大する戦略的目標を突出させ、より多くの就職チャンスをつくることを重要な発展目標とし、国民経済と社会発展計画、産業政策、財政・税務政策、投資政策、金融・通貨政策などのマクロ経済政策を制定する面で積極的に具現し、国民経済の快速かつ健全な発展と十分な就職の促進という 2 つの目標を実現する。
――経済構造調整と就職構造改善を協調的に推し進め、就職容量を拡大する。産業構造、所有制構造、企業構造の調整にいっそう力を入れる。労働集約型産業の発展を重視し、労働力を就職させる面でその重要な役割をいっそう十分に果たさせる。第三次産業を今後の就職拡大の重点的方向とし、特にサービス業の社会的ニーズが大きく、発展の見通しが明るいという強みを利用して、その就職拡大の役割をいちだんと発揮させる。非公有制経済の発展を引き続き支持し、導いて、中小企業と多種所有制経済の発展を奨励する諸政策・措置をいちだんと貫徹、実行し、投融資、納税、技術サービス、市場開発、情報諮問、人員養成などの面で扶助にいっそう力を入れ、それらの企業が就職と再就職を促進する面でより大きな役割を果たすのを支持する。国有企業改革を引き続き深める中で、主要業務と補助業務の分離、補助業務の体制転換を実行することを通じて、余剰人員をほかのポストにつけ、国有企業改革、経済構造調整と就職構造調整を協調的に推進する。
――あくまで都市と農村の経済と社会を協調的に発展させ、都市と農村の就職を統一的に按配する。あくまで大中小都市と町を協調的に発展させ、中国の特色をもつ都市化の道を歩ませ、都市化の発展に不利な体制と政策の障害を取り除き、農民のためにより多くの就職チャンスをつくり出す。都市に行って就職する農民に対する制限的な規定を取り消し、都市と農村の労働力市場をちくじ統一し、指導と管理を強化し、都市と農村の勤労者が平等に就職する制度を形成する。法に依って農民労働者の合法的権益を守り、農村の余剰労働力の平穏かつ秩序立った移転を導く。郷鎮企業の改革と調整を推進し、県内の経済を大いに発展させ、農村の就職空間を積極的に開拓する。
――勤労者の自主的就職を主導とし、政府の法律制度を基礎とする市場就職メカニズムを構築し、それを完全なものにする。労働力資源配置の面で市場メカニズムに基礎的役割をいっそう十分に果たさせ、特に勤労者の自主的就職を主導とする新しい枠組みを形成する必要がある。雇用ニーズ多様化の形勢に順応し、柔軟で多様な就職形態を情勢に応じて有利に導いて推進し、創業の環境を改善し、個人の創業を奨励し、創業で就職を促進し、政府の公共就職サービス機構の建設を全面的に強化し、職業紹介、職業指導、職業訓練を強化し、優れた就職サービスを提供する。法制建設を強化し、政府の就職促進責任を明確にし、企業の雇用行為と労働力市場の秩序を規範化させ、勤労者の平等な就職権利の実現を保障する。労働力市場の育成と発展を速め、勤労者の自主的就職を主導とし、市場による就職調節を基礎とし、政府の就職促進を原動力とする就職メカニズムを構築する。
――教育レベルを高め、職業訓練を強化し、人的資源能力建設レベルを経済発展の要求に適応させる。各種の教育資源にその役割を十分に果たさせ、人的資源能力建設を強化し、力を入れて資質教育を推進し、実践能力の培養を重視し、教育の質的向上に努め、社会主義現代化建設のために数億にのぼる高資質の勤労者、数万にのぼる専門人材、数多くのすぐれたイノベーション人材を育成する。市場のニーズと勤労者の資質向上の要求に適応し、基礎教育を強化し、大学教育を積極的に発展させ、職業教育、成人教育、その他の継続教育を大いに発展させ、社会化した終身訓練・終身教育システムをちくじ形成する。経済発展と科学技術進歩が勤労者の知識レベルと労働技能に出したますます高くなる要求に適応し、職業教育構造をいちだんと調整し、投入を増やし、現代職業教育システムを確立し、技術労働者、特に高級技術労働者と技師の育成を大いに強化する。農村の経済構造調整と農村の余剰労働力移転の要求に適応し、農民の基礎教育と各種専門技能訓練を重視する。労働準備制度と就業許可制度を全面的に推進し、青年勤労者の就業能力増強と労働力供給の調節という 2 つの目標を実現する。職業資格証明書制度を確立し、それを完全なものにし、学歴証明書と職業資格証明書を同等に重視する制度を大いに推進し、社会で技術的職業の職種は残らず職業資格証明書制度を実行し、学校教育と社会就職の緊密な連結を実現する。
――社会保障と就職を合理的に按配し、困難を抱える人びとに基本的生活保障と就職援助を提供する。失業保険制度と都市住民最低生活保障制度をたえず整備することを通じて、困難を抱える人びとの基本的生活を確実に保障する。引き続き就職援助を大いに実施し、困難を抱える人びとの特徴に適する就業のポスト、特に公益の性格をおびる就業のポストを開発し、優遇政策で企業の従業員募集を奨励し、無料で就職サービスを提供するなどの政策と措置を通じて、困難を抱える人びとの再就職実現を促進する。
――対外開放レベルを高め、中国の労働力資源の強みを発揮する。強みを持つ労働集約型農産物の生産と加工に力を入れる。ハイテクを多く使用し、付加価値の高い工業製品の輸出をたえず増やすと同時に、労働集約型製品の輸出競争力と市場のシェアを高めることに努め、これによって国内の就職のためのポストを保ち、増やす。外国業者が労働集約型製品あるいは労働集約型と資本集約型が結合する産業に投資するように合理的に導き、就職のためのポストをできるだけ多く増やす。「世界に進出する」戦略を積極的に実施し、国際労働力市場を開拓することに努める。
図1 都市と農村の就業人数の推移 単位 万人
図 2 都市部の就業人口の推移 単位 万人
|
図 3 1990 年の第一、二、三次産業の就業構造
第一次産業 60.1%
第二次産業 21.4%
第三次産業 18.5% |
2003 年の第一、二、三次産業の就業構造
第一次産業 49.1%
第二次産業 21.6%
第三次産業 29.3% |
図 4 1990 年から 2003 年までの都市部の登録失業率(%)
図 5 1990 年から 2003 年までの都市・農村住民の収入 単位 元 / 年
都市部住民の可処分所得 農民の一人当たり純収入
図 6 失業保険金領収人数の推移 単位 万人
|