中国の鉱物資源政策


五、鉱物資源開発と環境保全の協調的発展を実現




    鉱物資源の探査・開発は鉱山周辺の生態環境を変え、それに影響を及ぼす。中国政府は、鉱物資源を開発、利用する時の環境保全と汚染防除を非常に重視し、鉱物資源開発と環境保全を同時に発展させている。中国がこれまで公布、施行した法律と法規は、鉱山の環境保全、汚染防除、土地再開墾について明確な規定を行っている。中国政府は引き続き鉱山の環境保全を強化し、次のいくつかの面の活動にいっそう力を入れる。

    ――鉱物資源の開発・利用と生態環境保全を共に重視し、予防を主とし、防除を結合する方針を引き続き堅持する。鉱山環境影響評価レポート制度、土地再開墾制度、汚染物排出費徴収制度を厳格に実行する。鉱山建設と鉱山環境保全施設を同時に設計、施工、使用する「三つの同時」制度を厳格に実行する。企業が鉱物資源を探査、採掘する過程でクリーンかつ安全な生産を行うように積極的に導く。

    ――生態環境にわりに大きな影響を与える鉱物資源の開発を制限する。自然保護区およびその他の生態脆弱地区では、鉱物資源の探査・開発活動を厳格に規制する。自然保護区、重要な景勝地、重要な地質遺跡保護区での鉱物資源採掘を禁止し、生態機能保護区での鉱物資源採掘を厳格に規制する。在来の方法によるコークス化、金属精錬、硫黄精錬、明礬精錬などを厳格に禁止し、硫黄含有量が1.50%を超す炭鉱の新規建設と改造を制限し、硫黄含有量が3%を超す炭鉱の新規建設を禁止する。地質災害の起こりやすい地区での鉱物資源の採掘を制限し、地質災害の危険がある地区での鉱物資源の採掘を禁止する。認可なしで鉄道、幹線道路両側の一定距離以内で鉱物資源を採掘してはならない。

    ――鉱物資源開発プロジェクトを新たに実施するに当たって、その生態環境に及ぼす影響について論証を行い、生態環境保全措置をとって、空気、水、耕地、草原、森林、海洋などに与える不利な影響と破壊を避けるかまたは減らすようにすべきである。鉱物資源の開発・利用案には、水土保護案、土地再開墾実施案、鉱山地質災害防除案、地質環境影響評価レポートが含まれ、規定に従って上級に報告して認可を得るべきである。鉱山の「三廃」整備に対する監督・管理を強化し、厳格に国の定めた基準で廃気の排出を規制し、鉱山の有毒・有害廃水と汚染物に対する監督・管理、調査・処分にいっそう力を入れる。

    ――鉱山環境に対する調査、モニターリング、災害防除を強化する。国は全国の鉱山生態環境に対する調査・評価を行う。鉱山企業は鉱山の開発過程で誘発する可能性のある災害に対する調査、モニターリング、予報と事前警戒を強化し、すかさず効果ある防除措置をとるとともに、現地政府の主管部門にモニターリング・レポートを提出しなければならない。情報ネットワークを確立し、前もって災害防止・減少案をちゃんと作成し、突発的災害の発生を最大限に避けるようにする。

    ――多次元の鉱山環境保全投資メカニズムを確立する。鉱山環境保全と土地再開墾約束実行保証金制度を確立し、政府の指導と市場の運営を通じ、鉱山環境の効果的回復と整備を確保する。廃棄鉱山と旧い鉱山に対しては、国はプロジェクトを公開する基礎の上で、生態環境の回復、整備にいっそう力を入れ、また社会資金の投入を奨励する。生産を行う鉱山では、鉱山企業を主とする環境整備投資メカニズムを確立する。新規建設する鉱山では、企業が整備資金を負担する。