中国21世紀の人口と発展


四、 行動計画




計画出産とリプロダクティブヘルスでの優れたサービス提供    

    13、低い生育レベルの安定。現行の計画出産政策を安定させ、既定の効果ある人口と計画出産の活動方針を堅持し、社会主義市場経済体制に適応した調整システムと管理メカニズムを確立する。末端層での基盤となる活動を強化し、条件作りに力を入れ、人口と計画出産活動を社会区域末端組織の管理体制と総合サービスシステムに組み入れる。当地の事情に適した措置をとり、類別して指導することを堅持し、農村、特に中部・西部の農村の計画出産活動を重点として効果的に進め、異なる地区での活動が均衡に繰り広げられるようにする。人口と計画出産活動での目標管理責任制に改革を加え、その完全化をはかり、計画出産活動の構想と進め方の転換を促す。    

    14、優れたサービス提供に力を入れる。広報啓発教育を主とし、避妊を主な目的として、経常的に活動を進め、科学的知識を普及させ、生産、生活と出産の面で優れたサービスを大衆に提供し、計画出産とリプロダクティブヘルスでの大衆の要求を最大限に満たし、人間の全面的発展を促す。

    15、リプロダクティブヘルスとその関連産業の開発に力を入れ、リプロダクティブヘルス製品の品質とその科学技術応用度を高め、科学技術の成果の商品化を加速させる。リプロダクティブヘルス技術の研究開発と産業拠点の建設を加速させ、新技術と新製品を普及し、製品構造の最適化をはかり、市場への管理と市場行動の規範化を強化する。

国民の全体的素質の増強

    16、出生人口の素質を高め、女性と児童に対する保健事業を発展させ、その健康レベルを向上させる。健康な子を産んで立派に育てることについての知識を普及させ、婚前の医学的検査、出産前の診断、遺伝に関するコンサルタント、新生児疾患への選別検査と小児病への総合管理など予防技術サービスを提供する。妊娠中と産前の保健に力を入れ、病院での分娩と母乳を嬰児に与えることを提唱する。女性と児童の保健レベルを高め、出産による傷害を少なくし、出生での欠陥発生率を下げる。

    17、人口の健康素質を高め、農村の初級医療保健を重点にして、医療衛生サービスネットワークをつくり、その総合サービスシステムを形成し完全なものにしてゆき、健全かつ多くの形式を持つ農村初級医療保健制度を確立する。農民に健康管理についての啓発的教育を行ない、自分で健康を守ることに対する意識を高めさせる。全国的範囲での健康保持運動を展開し、人民の体質と健康のレベルアップに努める。住民の居住条件を改善し、心理的コンサルタントサービスを提供し、人々の生理的、心理的健康を促し、青春期、妊娠中と産前、更年期、高齢期での健康サービスを強化し、人々の暮らしを豊かにしていく。エイズとその他感染する性病の予防・治療と撲滅に力を入れる。

    18、科学的、文化的素質を高め、基礎教育を広め、職業教育、成人補習教育と老人教育を発展させ、読み書きできない人口を減らし、未成年者、女性、少数民族、身体障害者と貧困人口など特殊な人々の教育を受ける権利を保障する。教育改革を深化させ、素質向上教育を推進し、人々の創意的意識と実践能力の育成を重視し、人材養成の内容を良くする。引き続き九年制義務教育を普及させて青年・壮年の識字率を高め、高級中学教育と高等教育の規模を拡大し、継続教育制度の完全化と継続をはかり、生涯教育システムを逐次確立する。

    19、思想道徳の素質の向上。人々の法的意識と法秩序的観念を強める。古い風俗習慣を改め、過去の決まりやしきたりをなくし、立ち遅れた考えを捨て、正しく進歩した価値観、規範的道徳意識、文化と世論、社会的気風をつくりだす。青少年の健康な成長に心を配り、豊富多彩な文化教育活動を繰り広げ、青少年の道徳的修養を強め、その危険な行為の発生防止に注意を払う。

女性と児童の権益保障

    20、女性の労働権益の保障。女性の男性と平等である生産経営の権利を保障し、女性の経済的地位を高め、女性の就職先を増やし、就職のチャンスを多くし、就職の内容を良くする。女性の賃金報酬、休息と休暇、労働条件と社会保健など労働権益を保障し、女性職員への特殊な労働保護措置を着実に実施する。

    21、女性の政治的、社会的、文化的権利を保障し、性別からくる差別視をなくし、男女平等と女性の地位向上の環境最適化に努める。女性の社会政治活動への参与の権利と教育を受ける権利を保障し、女性が自尊心を持ち、自信を失わず、独立し、自らが努力して向上をはかることを奨励し、女性の管理と政策決定参与のための条件づくりに努める。平等で、モラルが高く、睦まじい新しい家族関係を提唱し、働く女性の家事負担を軽くし、未成年者、高齢者と障害を持つ女性の特殊な権利を保護し、暴力による女性への侵害、女性の誘拐と売買及び売春買春など違法犯罪行為を取り締まり、女性の人身保護の権利と財産所有の権利を確保する。

    22.法に基づく女性の出産権利の保障。女性の保健意識を強め、結婚と出産に対する女性の考えの転換を導き、法に基づき、女性のもつ結婚後の家庭の権益、出産の権利及び生理期、妊娠期間、出産期間、哺乳期の権益を保護する。男性の計画出産と育児責任履行についての広報教育を強め、女性の家庭での決定権を強め、女性への身体検査と婦人病予防措置を定期的におこない、女性が全生命周期に必要な健康サービスを受けられることを保障し、多くの資金ルートを通じて、女性の避妊、産児制限、出産の費用を解決し、女性が出産期間に必要な医療保健を受けられ、合理的な経済手当てを得られるよう保障する。女児を産んだ女性、不妊症の女性への差別視と虐待を禁ずる。

    23、貧しい女性の貧困からの脱出を扶助し、科学技術の習得や識字のための訓練及び貧困撲滅プロジェクトを事情に応じて実施し、女性に働くための技量を習得させ、貧しさから抜け出し豊かになる能力を身につけさせる。都市部の法的に扶養義務を果す者もなく、労働能力をもたず、まったく収入のない孤児と障害を持つ女童や身寄りのない女性高齢者の扶養に力を入れる。

    24、少年児童の権益の保障。児童の生存の権利、発展する権利、保護を受ける権利、参与する権利を保護する。少年児童の成長する環境を良くし、徳育、知育と体育を養い、正しい審美観を持つようにする。全社会を動員し、女童、障害児童、両親の離婚した児童、特に困難な児童、流浪児に心を配り、援助の手を差し伸べ、親が自ら生児を殺したり、嬰児を捨てたりすることを禁止し、少年児童を虐待し、傷害し、誘拐する違法犯罪行為を厳しく取り締まる。

労働力資源の配置最適化

    25、積極的かつ確実に都市化を推進する。都市部のインフラ施設とサービス施設の建設を強化し、都市建設の質を高め、都市の産業構造の最適化をはかり、町を重点的に発展させ、小型・中型都市の発展にも力を入れ、区域的中心都市の機能改善を進め、大都市の輻射作用を発揮する。都市部と農村部の企画を統一し、町と農村住民地点を合理的に配置し、その農村地域での経済と文化の中心的役割を発揮させ、町の建設では集約的発展を促し、大中小都市と町が協調して発展していくという全国的システムを完備させていく。

    26、人口の秩序ある移転と流動を促す。統一し、開放的で、競争力をもち、秩序ある労働力市場を設置し、都市部の戸籍管理制度を改革し、大中都市の戸籍移転政策を逐次調整し、公民の正常な移転と職業選択の権利を保障し、都市と農村や区域の間での人口の合理的な流動と分布を促し、人的資源を合理的に配置し、管理体制を改革して、属地化管理を主とする効果的な管理とサービスのネットワークを構成し、流動人口に多方面のサービスを提供する。

    27、就業機会を増やす。労働就業制度を改革し、都市と農村での就業ルートを増やし、就業構造を改善する。労働集約型産業の発展に一層力を入れ、集団企業と個人企業を大いに増やし、より多くの就業の場を提供する。段階的な就業制度を確立し、柔軟性のある就業形式を実施する。労働力市場の拡大をはかり、就業サービスシステムを完備させ、就業訓練を強化し、市場の動きに応じた就業メカニズムを構成する。都市部にすべての労働者をカバーする社会保障制度を確立し、労働者の自力による成長に有利な社会環境を構成する。

貧困現象の緩和と減少

    28、西部大開発戦略の実施。経済の発展と人口の抑制という二つの政策実施に力を入れることを堅持し、人口の増長抑制、人口の素質向上、人口の合理的配置と人的資源の開発を西部大開発戦略の全般的企画に組み入れる。東部の西部支援、都市部の農村部支援、先進地区の後進地区への専門に合った援助という措置を実施する。異なる時期と地区の貧困の原因に基づき、適当な貧困脱却扶助政策を制定し、扶助活動の内容を貧困人口の衣食問題解決から貧困地区の経済発展レベル向上へと転化させる。傾斜開発政策を実施し、貧困脱却扶助への度合いを強め、財政移転による支払い、プロジェクトへの投資、科学技術教育の発展、生態環境の改善、労務の輸出など多くのルートを通じて、貧困地区の経済と社会の発展を促し、貧困地区の自力による発展能力を逐次強めていく。

    29、農村の貧困人口を少なくする。開発的な貧困脱却扶助方針を堅持し、農村での貧困脱却扶助における難関突破の度合いを強め、経済、科学技術、教育、計画出産など多くの手段を講じ、貧困人口のもつ伝統的観念及び生産様式と生活様式を改め、子供を少なく産んで早く豊かになるよう励ましていく。最低所得人口を貧困脱却扶助と開発活動の主な対象と主要目標として、低所得の貧困人口が比較的集中した地区を重点的に扶助し、その生産と生活条件を改善する。農業開発での科学技術応用度を高め、市場を開拓し、市場の必要としている製品を生産する。教育を普及させ、医療保健レベルと人口素質の向上をはかり、自力で成長していく能力を強める。条件のある地方では、社会保障制度を徐々に確立し、またも貧困状態に戻る比率を下げる。

    30、都市部の人口貧困化の防止。都市全体の貧困脱却扶助メカニズムを確立して、その健全化をはかり、再就職プロジェクトを実施し、就業ルートを幅広く増やす。一般の養老保健、医療保健、失業保健、都市住民の最低生活保障制度の健全化をはかり、各職場に職員の公傷保険と出産保険制度を確立し、職業リスクを分散させ、職員健康回復活動を展開し、公傷で怪我をしたり不具になった職員の労働能力回復を推進する。大衆による互助活動と慈善事業実施を奨励し、多くの商業保険を設置して、多くの社会保障の安全網を構成する。

高齢者の権益保障

    31、養老保障システムの確立とその健全化。在宅扶養を主に、その地区の福祉サービスに頼り、社会福祉機構を補完とした高齢者福祉サービスシステムを構成する。町には一般の養老保険制度を確立し、農村では在宅扶養を主とすることを変えず、社会救済と食事、衣類、居住、医療保健と死後の葬儀という五つのことを保障する"五保"扶養制度を一層健全なものにし、国、社会、家庭、個人を組合せた養老保障メカニズムを構築し、高齢者人口の健康レベルを高め、高齢者が豊かで楽しく暮せるようにする。

    32、高齢者の権益を保障できる良好な社会環境を作り出す。高齢者の権益を保障する法律法規と政策を制定し、その完全をはかり、法の執行を徹底化させ監督を強化し、老人を虐待、遺棄、迫害する違法行為を取り締まる。中華民族の老人を尊敬し愛する伝統的な美徳を広め、高齢者への経済的扶養、医療保健、世話や慰め、学習会などへの参加及び文化生活と娯楽を保障し、楽しく、暖かく、和やかな雰囲気のある養老環境を形成する。高齢者の科学知識と基礎知識の習得を奨励し、社会生活参与の潜在力を発揮させ、高齢者の自立と自助を唱導、奨励する。  

    33、高齢者産業を大いに発展させ、高齢者の必要とする物質的、精神的商品を研究、開発、生産し、高齢者用品市場の発展を奨励し導き、産業化へ発展する軌道にのせる。都市部と農村部の養老社会化サービスを拡大し、高齢者に対するサービスの施設とネットワークを設置し、その充実をはかる。税収、信用貸付などの優遇措置を講じ、多くのルートを通じて資金を調達し、社会の資源を充分利用し高齢者産業を発展させる。

居住生態環境の改善

    34、人口資源環境の協調した発展という意識の強化。人口増長の抑制、環境保全と資源利用に対する全般的企画を強化し、人口、資源、環境のもつ経済発展への支えとなる能力を強める。資源、環境に対する人々の伝統的思考と行動方式を変え、予防を主とし、汚染者に賠償金などを支払わせ、環境管理を強化するなどの措置をとり、環境悪化の状況を一変させ、都市部と農村部の環境の質を著しく改善する。自然資源の有償使用と資源更新への経済的補償制度を完全なものにし、資源の総合利用率と経済効果を高め、資源の破壊的開発を抑制し、人口、経済成長と資源の有限性との矛盾を緩和させる。  

    35、生活様式と生産様式の転換。過度に資源を消耗し、汚染度が高い上に持続できない生活様式と生産様式を改め、資源の節約と環境の保護に有利な消費構造と生産様式を構成し、持続可能な発展を促す。  

    36、重点的区域的生態環境の保護。人口と環境資源との矛盾が鋭い区域の生態環境を重点的に保護し、その改善をはかる。都市の機能区域の科学的企画と合理的配置に努め、都市の生活廃水とゴミの集中処理率を高め、清潔なエネルギーの使用を広め、空気を浄化し、緑化を強化する。土地、とりわけ耕地資源を合理的に節約し利用し、都市部の環境基盤施設の建設に力を入れ、産業の構造と配置を企画し、先に汚染を出して、後で処理するという古いやり方を止め、流域の汚染処理を強化し、住民の飲用水の安全性を保障し、略奪的な経営開発方式を改め、計画的に耕地をもとの湖、森林や草原に戻し、植樹造林を大いに行ない、水土の流失を処理し、砂漠化を防止して、生態農業を作り上げ、耕地、水資源、森林、草原、種などの自然資源と生物多様性の保全を強化する。