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今年の「二つの大会」ではいま一度GDPの伸び率予測に熱中することはない

2004年の「二つの大会」が開催されたが、往年と異なるのは、人々がいま一度本年度の国内総生産(GDP)の伸び率予測に熱を上げなくなくなったことである。今期の党と国家の新しい指導者たちが「全面的で、バランスのとれた、持続可能な、科学的な発展観」を打ち出してからは、中国はより科学的で、より理性的な姿勢でGDPを見直し、「人を本とする」発展を目指している。

先月、中国共産党中央が開設した省・部クラスの主要な指導幹部が参加した「科学的な発展観を確立し、それを実行に移す」という特別研修班において、曽慶紅国家副主席・中央党校校長は、総合的な経済考課の指標としてGDPだけを念頭に置くことには「無視することのできない欠陥」があり、必ず科学的な精神、科学的な姿勢、科学的な思考方法で現有のGDP計算制度を対処し、いかなる「一方的な、絶対的な」やり方も防ぎ止めなければならないと指摘した。

最近、中国の各地方で次々と開かれた「二つの大会」は軒並みにGDPの目標を大いに強調しなくなった。新しいラウンドの高速成長期に入った広東省は今年のGDP期待伸び率を9%と決め、前年より4.6ポイント減となった。浙江省湖州市はもうGDPの伸び率によって区・県クラスの幹部を考課することはしないと公表した。新聞にも『われわれはいったいGDPをどのように見るべきか』、『GDPを中心としないように』と題する反省的な文章が現れた。

許憲春国家統計局国民経済計算司司長は『二つの大会』の開催を前にし、記者に次のことを語った。国家統計局と国家発展改革委員会、国家林業局、国家環境保護総局などの部門は中国の国情に適したグリーンGDP計算体系の研究を急いでおり、それによって経済発展の過程における資源、環境の代価を測定することにした。中国はなによりもまずエネルギー資源、土地、鉱物などの自然資源の『実質保有量』の増減状況に対し統計を行い、条件が整ってからさらにグリーンGDPの計算を行うことになっている。

観測筋は、これは中国が20世紀80年代中期からGDPという指標を取り入れて以来、人々が初めてこれ以上GDPの伸び率を盲目的に信じなくなったことを示すものであると指摘した。正確に言えば、中国の新しい指導グループが「全面的で、バランスのとれた、持続可能な、科学的な発展観」を打ち出してから、GDPは見直されるようになったのである。

昨年10月に開催された中国共産党16期3中総では、「人を本とし」、「全面的で、バランスのとれた、持続可能な、科学的な発展観」を確立し、経済、社会と人間の全面的な発展を促すことがはっきりと打ち出された。会議は、発展は「五つの全般的に考慮すること」、つまり都市と農村の発展を全般的に考慮し、各地域の発展を全般的に考慮し、経済と社会の発展を全般的に考慮し、人間と自然とのバランスのとれた発展を全般的に考慮し、国内の発展と対外開放を全般的に考慮することを上手に処理しなければならないと強調した。

著名な国情研究専門家の胡鞍鋼氏はこの新しい発展観を中国の「第二世代の発展戦略」と称している。胡氏は新華社記者のインタービューを受けた際に、次のように語った。いわゆる「第一世代の発展戦略」とは1978年以後に鄧小平氏が真先に打ち出したものであり、そのメーンテーマは発展とアンバランスの発展を加速し、「一部の人たちが先に豊かになる」ことを唱えたことであり、その改革の目的は生産力を解放し、発展させることであった。「第二世代の発展戦略」は発展の全面性、バランスのとれたこと、持続可能性をさらに強調し、共同で発展し、共同で分かち合う「共同裕福論」を唱え、五つのバランスのとれた発展戦略を実施し、特に「人を本とする」ことを際立たせ、「発展の目的は何か」という問題を解決した。

SARSの影響とその大きな教訓を汲み取って、中国は第一世代の発展戦略から第二世代の発展戦略への転換を速めた。2003年に、中国ではひどいSARS禍に見舞われ、公共医療・衛生システムのぜい弱さがあますところなく露呈した。経済に現れた過熱の現象も同じように人々を憂慮させている。鉄鋼、セメント、電解アルミなどの業種があまりにも拡張しすぎたため、エネルギー資源、原材料の供給がひんぱんに急を告げることになった。新しいラウンドの「土地を徴用する運動」は土地資源の大幅減をもたらし、食糧の安全も脅威にさらされるようになった。

それにもかかわらず、昨年の中国のGDP伸び率は依然として9.1%に達し、アジアの金融危機以後の最高の伸び率となった。この事実は中国では上から下に至る人々にGDPの欠陥――品物と労務の増加だけを重視し、経済成長で環境、資源にもたらされた損失および人々の福祉をおろそかにしたことを見直させることになった。全国政協委員で、著名な経済学者でもある呉敬璉氏は、「これまでの一時期において、GDPの伸びを重視し過ぎ、ひいては発展と伸びを同列視したため、回避できない、どうしても解決しなければならない経済、社会と政治の問題を残すことになった」、これらの問題には都市と農村および地域間の発展の格差が広がったこと、貧富の格差が大きくなったこと、経済の発展と社会の発展のバランスが崩れたこと、資源、環境と発展のバランスがとれないことなどが含まれていると語った。

胡鞍鋼氏は次のように語っている。政権党である中国共産党が「人を本とする」という発展の理念を打ち出したことは、きわめて大きな貢献である。「人を本とする」という理念が中国の社会で確立されることによって、一連の問題が解決されることになる。例えば、就業と農民の収入増加を促すなどの人々の生活問題にかかわる指標が発展の優先的地位に置かれること、公務員の治績観もあらためて設定され、昇進のためにあらゆる手段を尽くしてGDPを増やそうとする現象が抑制されることがそれである。

GDPについての反省と討論は今年の「二つの大会」のホット・スポットの話題の一つとなるのを予見することができる。しかし、はっきり言えるのは、GDPの見直しは中国が経済の発展を中心とする方針を放棄したことを意味しないということである。「二つの大会」に出席するために来た一部の委員・代表が語っているように、「人を本とする」ことは発展の目的であり、経済の発展を中心とすることはこの目的を達成するための手段である。

「チャイナネット」2004年3月5日


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