「昨年の後半以来、国内の食糧価格は急に上昇し、主な食糧産出地域の小麦価格は1トンあたり40元ないし80元、トウモロコシの価格は1トンあたり80元ないし120元、米の価格は10ポイント値上がりした」と、袁隆平全国政協委員はこの一連の「値上がり」を重要な話題として発言を始め、「食糧安全の問題に対し高度の重視を与えなければならず、それは食糧の安全が国の安全にかかわるものだからである」と語った。
袁隆平委員は「食糧の価格上昇の直接的な原因は食糧の需給関係が日ましに緊迫化していることにある」と分析し、さらに次のように語った。
1998年の中国の食糧総生産量は5億1200万トンという史上最高のレベルに達した。その後、5年連続して低下し、2003年には4億3100万トンまで下がり、一人当たり年間食糧保有量は1996年の414キロから2003年の333キロに下がった。生産量の大幅な減少により、昨年の食糧の不足分は5000万トンに達した。ここ数年間は全く倉庫に貯蔵している食糧に頼って食糧需給のバランスを維持してきたのである。
袁隆平委員は湖南省政治協商会議を代表して次の4点を提案した。
一、 自力更生を主とする食糧安全の戦略を堅持し、われわれの国際情勢におけるイニシアチブを確保すること。食糧が足りないなら国際市場で買えばすむではないかという見方について、袁隆平氏は、13億の人口の大国として、もしも食べることさえも外国に頼るなら、他のものの制約を受けることになるに違いないと反論した。
二、 食糧の安全に対する科学技術の保障的役割を十分に生かすこと。耕地面積を増やしにくい状況の下で、科学技術は中国の総合的食糧生産能力を向上させる根本的な原動力である。改革開放政策実施以後、中国の人口が増え、耕地が減ったにもかかわらず、食糧の面で基本的に需給のバランスを保ってきた。これは主として科学技術に頼って食糧の単位面積生産量を大幅に高めたことにある。
三、 一定の規模の食糧作付面積を確保すること。食糧の総生産量の大幅な減少の最も重要な直接的原因は穀物の作付面積が低下し続けていることにある。ここ数年間、穀物生産の収益が相対的に低く、ひいては赤字となったため、多くの地域では、農業の構造調整の中で栽培業の構造調整を、食糧作物を少なく栽培すればするほどよく、栽培しないなら最もよいと一方的に受けとめられることになった。一部地域では、「開発区」、「工業パーク」を盲目的に建設し、よい耕地をたくさん占用し、徴用した。
四、 農民の穀物作付の積極性を確実に保護すること。ここ数年間、「食糧価格が低いため、農民を傷つけ」、税金・料金コストが高すぎ、穀物を作付けしても利益がない状態になっていた。2000年から2001年までに湖南省の農民は50キロの早場米を生産するごとに、6.77元の赤字となった。2002年に料金を税金に改めた後、50キロの早場米ごとに含まれる税金コストは58.54元にも達し、農民は50キロの早場米を生産するごとに12.77元の赤字となった。
現在、中央政府は100億元を出して穀物作付に直接的な助成を与えることをすでに決定しており、温家宝総理も「5年以内に農業税を撤廃する」ことを打ち出した。これについて、袁隆平委員は、現在の問題のカギは監督・査察への取り組みを強化し、穀物を作付けする農民の手に助成金をタイムリーに全額支給することを確保し、農業税撤廃という目標の円滑な実現を確保することにあると見ている。
「チャイナネット」2004年3月9日
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