土地徴用に対し重要な改正を行った憲法改正案草案の中では、国は公共利益の必要のために法律の規定に照らして土地を徴収するかまたは徴用するとともに、補償を与えることができるということがはっきりと打ち出されている。
現行憲法と比べて、今回の憲法改正案草案は土地徴用の条項に9つの漢字しか書き添えなかったが、「土地の徴用」「補償を与える」などのカギとなる表現とかかわるものであり、これは憲法の形で農民の土地を耕作する権利を保護する上でこの9つの漢字がどれくらいの重みをもつものかを物語っている。今回の憲法改正につれて、農民と直接的な関係のある土地管理法の改正も年内に着手されることになると見られている。
全人代代表・江蘇省農林庁庁長の劉立仁氏は「公共利益が明確ではなく」、土地の所有権と経営権がはっきりしないことは、むやみやたらに耕地を占用する現象の氾濫をもたらした原因の一つであると見ており、「草案の中で『徴収』と『徴用』という二つの形が規定されており、どちらも法定のプロセスを経なければならず、どちらも補償を与えなければならないとはいえ、徴収は主に所有権の変更であり、徴用は使用権だけの変更である。このように改正することは市場経済条件下の土地徴収、徴用によって生まれる異なった財産関係を明確にし、それをすっきりさせることにプラスとなるものである」と語った。
今回の憲法改正の土地徴用制度に関する改正は、「人間本位」の理念と「補償を与える」原則を導入し、農民の切実な利益と農民の土地に対する権利の保護を高度に重視したものである。
外国の法律はあまねく、国が土地を徴用するのは、必ず公共利益のためでなければならないと規定しているとともに、国防、政府施設および直接的な公共事業、例えば公共交通、環境保全などのプロジェクトに限定している。中国の土地制度についての憲法改正は、公共利益の目的から出発するという国の要求に符合していても、必ず公民の財産権を十分に尊重、保障し、公民に合理的な補償を与えなければならないことを示している。
今回の憲法改正の土地制度に対する整備に伴って、今期の政府も「むやみやたらに耕地を占用し、むやみに耕地を使用することを断固と食い止める」ことと「土地徴用のプロセスと補償メカニズムをさらに充実させる」ことを当面の仕事の重点とすることになった。2003年以来、開発区の整頓、大学タウン建設の停止からゴルフ場開設に対する審査・認可の一時停止まで、中国はむやみやたらに耕地を占用することを断固として整頓している。孫文盛国土資源部部長によると、省クラス以下の土地に対する垂直管理体制を実行し、これによって国の国土資源に対するマクロ規制を強化することになる。中国の土地制度の改革は今回の憲法改正に伴って進むものと見ることができる。
「チャイナネット」2004年3月10日
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