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北京の五輪招致のテーマと行動
唐元ガイ

 北京の2008年の五輪招致活動は「グリーンのオリンピック、科学技術のオリンピック、人文のオリンピック」という三大テーマをめぐって展開されている。

 グリーンの約束

 北京が建設を計画している「オリンピック・パーク」の緑地面積は計画用地全体の62.55%を占めている。 このパークの敷地総面積は約1215ヘクタールで、これには760ヘクタールの森林緑地が含まれる。そのうち1.6万人のスポーツ選手とコーチの住むオリンピック選手村は緑におおわれる。

 オリンピック・パークには44%のオリンピックの競技場や体育館、サービス施設および記者村、報道センター、国際放送・テレビ・センターなどがつくられる。環境の緑化のほかに、最も先進的な環境保護技術が採用され、オリンピック選手村は地熱などのクリーン・エネルギーを利用し、太陽エネルギーによる照明を使い、ごみの完全無害化処理を行い、生活廃水は処理されてパーク・緑地に再利用される。

 「北京市民の最も関心を持つ社会問題」についての調査によると、環境保護は北京人の最も関心を持つ問題(76.4%の市民が「環境保護問題」を第1位に置くべきとしている)となっている。

 シドニーは2000年オリンピック大会で初めて「グリーンのオリンピック」を実践し、好評を博した。「グリーンのオリンピック」は国際オリンピック委員会の新しい理念となり、各招致都市は「グリーンの切り札」を打ち出している。北京五輪招致委員会は環境保護局と水利部の環境、生態の専門家から構成される環境生態部を設け、主にオリンピックの環境計画と環境保護活動を組織することになる。

 北京市政府はすでに1998年に2002年までの環境保護計画を提出した。オリンピック招致は疑いもなくこの計画の実施の過程を速めている。

 北京市政府は環境資源開発・利用を都市の各種施設の配置・建設と結びつけ、環境整備に力を入れている。市民の積極的な参与は、グリーンのオリンピックの大きな原動力となっている。

 現在、北京市の18の区、県の1150の小学校の83万人の生徒のあいだで、再生紙を使って宿題を書くことが流行っている。住民の社区(コミュニティー)ではますます多くの人びとが意識的にごみを分類し、省エネの照明、節水の蛇口、無フッ素の電器を多くのの家庭が使うようになっている。グリーンの社区、グリーンのキャンパス、グリーンの企業、グリーンの観光、グリーンの家庭の提唱は大きな共鳴を得ている。

 1998年から2007年まで、北京市は財政予算から1000億元を支出して環境保護プロジェクトに用いるが、この額は同時期の北京のGNPの3.8%を占める。

 現在、北京は汚染されている河川を引き続き整理し、地下水の水質を保護している。太陽エネルギーと地熱エネルギーの開発を奨励し、天然ガスのパイプ網を拡大し、コークス、セメント、鋼鉄などの汚染部門に閉鎖、停業、減産を指令し、引き続き市街区の企業の移転と調整を進め、冶金、電力、建築材料、化学工業などの重点業界の汚染管理に力を入れ、主要汚染物の排出総量を更に30%以上減らす。住民や商業企業では廃棄物の循環利用を行うと同時に、北京市はますます増える工業、生活の廃水を処理するため、市街区の汚水排出システムを積極的に改善し、廃棄物の減少、廃物の再利用と無害化の処理を奨励している。2005年末に、北京市街区の家庭ゴミの無害化処理を実現する。

 北京2008年オリンピック招致委員会主席である劉淇北京市市長によると、2005年には、北京の環境の質は根本的に改善され、市民の生活の質は大いに高まり、環境が美しく、空気が新鮮で、生態が良好な国際大都市の基本的な枠組みができあがることになる。

 北京はまた生物の多様性の保護を強化し、山間地帯の森林被覆率を70%以上に、平原地区の森林被覆率を25%以上に、市街区の緑化隔離地域を125平方キロにし、3つのグリーンの生態の障壁を形成させることにしている。

 春季の砂嵐を軽減するため、緑の植物を増やし、郊外や道路の両側などの緑化をすすめている。

 北京環境保護局の余小萱副局長は2008年の北京の環境保護について次のような青写真を描き出している。汚水処理能力は2000年の120万トンから280万トンに、汚水処理率は現在の42%から90%に、天然ガス使用量は現在の11億立方メートルから50億立方メートルに、ごみの無害化処理は現在の80%から100%になり、90%のバス、70%のタクシーがクリーンエネルギーを使い、車の排気ガス量はヨーロッパ3号基準に達し、700ヘクタールの緑化ベルトが北京市をめぐり、都市部の緑化カバー率は40%に達し……、ひと言で言うと、2008年の北京は空がさらに青く、水がさらに清い、世界レベルのガーテン都市になる。

 科学技術の保障

 北京のオリンピック体育館やその付近の建物は最大限度に太陽エネルギーを利用し、水資源の再利用をはかる。先ごろ、改造プロジェクトを完成したばかりの首都体育館、オリンピック体育センター体育館と労働者体育場は、環境保護、省エネ、科学技術と芸術などが有機的に結合されている。

 最近、中国では、「ナノメートル」、「クローン」、「ヒトゲノム」、「バイオチップ」などの言葉がしきりに各種のメディアで使われているが、改革・開放と社会の絶え間ない進歩に伴って、こうした科学技術用語が専門辞書の中から「抜け出し」、ますます人びとの日常生活の中に入り込んできている。オリンピック大会はハイテクを展示する舞台でもあり、ナノテクなどの20世紀90年代に誕生したばかりの科学の成果は、すでに北京のオリンピック招致の具体的な行動に生かされている。

 首都体育館はすでにナノテクを使った材料で新しく修繕された。吸音板などにこれらの材料が使われ、水や油が表面につかず、変形もせず、バクテリアにも強い。扉、窓と汚水排出パイプはナノメートルのプラスチックを使用し、さらに摩擦と腐食により耐えられるようになり、喫煙室のナノメートルの空気浄化器はたばこの煙を吸収して無害な気体に分解することができる。

 北京市建築設計研究院の李銘陶建築士長はオリンピック施設の設計にハイテクの内容、たとえばデジタル化の広域通信、電子情報などコンピューター技術を使用している。そのほか、設備のモデルチェンジ、建築の省エネ、節水技術、太陽エネルギー技術を広く採用し、新しいタイプの建築材料、電子情報処理システムを施設の設計にもり込んでいる。2008年にオリンピック大会を北京で催すことができたなら、その時はすべての記者の席上にインターネットに接続するコンピューターが置かれる。

 北京オリンピック招致委員会の計画に基づいて、オリンピック大会では37の競技施設と58のトレーニング施設が使われるが、すべての施設は厳格に各国際種目別スポーツ機構の要求に基づいて設計される。37の競技施設のうちの32は北京に、あとの5は他の都市に設けられる。

 北京労働者体育場のそばに太陽エネルギーを利用したトイレがあるが、紹介によると、この便所は節水、省エネ、衛生的で、太陽エネルギーの電池板は1000ワットの電気を提供し、照明、動力、室外の広告に使用されている

 北京オリンピック招致委員会は今後施設建設で地熱で暖房、風力で発電し、科学技術で環境保護を促す内容をいっそう豊かにすることを考えている。

 そのほか、北京の東にある高碑店汚水処理場、間もなく建設される朝陽区の高安屯ごみ発電所およびクリーン燃料カーの広範な使用も、「科学技術のオリンピック」の趣旨に沿ったものである。

 デジタル情報は、オリンピック大会における情報交換とリアルタイムの伝送を行う重要な手段であり、オリンピック招致の審査の重要な指標の一つでもある。これまでの10年間、中国の電信は毎年43%のスピードで成長し、電話専用回線は1.62億回線に、電話加入者は1.29億人に、全国の光ケーブルは全長100万キロに達している。

 北京の電信事業は急速な発展をとげ、衛星システムは全世界をカバーし、同時に30チャンネルの衛星放送中継信号を送受信することができ、北京はすでに全世界のテレビ放送能力を備えている。

 現在、中国の電話網、移動電話網、インターネットのユーザーは世界二位で、北京電信ネットワークは全部自動制御交換を採用し、伝送システムのデジタル化を実現している。地上光ケーブル、海底光ケーブル、国際通信衛星を通じて、北京電信はすでに世界各地との接続を実現し、音声、データ、映像周波数情報およびハイビジョンテレビ信号の伝送を行っている。

 2000年のシドニーオリンピック大会で、北京電信は初めて国際同業者と手を携えてこの盛会を全世界にテレビ放送し、その衛星通信によるテレビ放送面で世界一流の技術の設備を示した。

 国際近代5種競技連盟のある高官は北京を視察した後、北京電信の発展から見て、2008年のオリンピック大会の必要を完全に満たすことができ、電信分野で、中国は先進国の行列に入っていると語った。

 新しい技術はまた交通建設の中に応用され、先進的な衛星位置測定装置を使用され、事故の発生、交通渋滞の場所に速やかに駆けつけることができるようになる。

 人文の舞台

 北京は新規建設の施設、オリンピック選手村、報道センター、交通、通信、宿泊などのインフラおよび競技スケジュールなどの面で、どのようにスポーツ選手、審判員、役人、記者、協賛業者、観光客と現地の市民に奉仕するかをまず考慮に入れている。選手のために快適な生活環境、理想的なトレーニング、試合の環境を作り出し、記者のために最もよい仕事の条件、最も先進的な通信手段を提供し、数十万の観光客に満足してもらうことができるようにする。

 オリンピック大会の開催は平和と文明を促進し、近代的な人文精神を発揚することにつながる。

 中華民族の文化は歴史が長く、内容がきわめて豊富で、東方文明の主な構成部分となっている。物質的文化の面で、中国の「四大発明」はかつて世界の歴史のプロセスを変えた。精神的文明の面で、「人を本とする」という思想と「和を貴し」とする平和と発展の思想は、個人と社会、人間と自然、道徳と生命の関係を解決するために大きく貢献した。中国の学者たちは、グローバル化が進んでいる今日に、国と国の間の交流で文化交流がますます重要になり、独特な役割を果たし、中国は全世界に強大な凝集力を持つ中華文明を十分に示し、同時にオリンピック招致、オリンピック開催の機会に人類文明の精華を吸収し、発揚すべきだとしている。

 3000年余りの都市建設史をもつ北京は、中華の伝統的文化の典型的な代表であり、もしオリンピック大会がここで行われるなら、東西の文化が世界人口の5分の1の国(12億9500万の人口)で融合することになる。改革・開放によって発展する新しい北京は、世界のために新しいオリンピックを開催し、新世紀におけるオリンピック運動の発展に新しい動力を与えることができることを願っている。

 教育はオリンピック主義の出発点と終着点であり、教育家としてのクーベルタンはオリンピック運動の本当の目的はスポーツを通じて青年を教育することにあるとしている。北京は2008年オリンピック大会を通じていろいろな措置をとってスポーツと教育を結び付け、学校教育、メディアで全中国と全世界にオリンピック運動の趣旨を宣伝し、オリンピックの精神を発揚することにしている。

 そのほか、北京はオリンピック大会を迎えるため、市民のあいだで英語を学ぶ活動を広く展開ている。

 北京のオリンピック招致のスローガンは「新しい北京、新しいオリンピック」(New Beijing,Great Olympics)であり、その主要な内容は、3000年余りの歴史と文化をもつ北京は新しい姿で新世紀に入り、全世界のスポーツ選手と友人を熱烈に歓迎し、共にオリンピック盛会に参与することである。

「北京週報」2001.No.21より

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