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過去5年の科学技術の難関突破

 国家科学技術難関突破計画は1982年第5期全国人民代表大会第5回会議で討議、採択された最初の国家科学技術計画で、その主旨はあくまで国民経済の主な方面に目を向け、力を集中して産業のグレード・アップと社会の持続的発展がさし迫って解決する必要のあるカギとなる技術と共通性をもつ技術の難関を突破するというものであり、展望的ハイテク研究を主とする863計画や科学最先端問題の探索を主とする基礎研究計画とともに国家科学技術計画の主体を構成している。

 科学技術部の徐冠華部長は最近、記者会見で第9次5カ年計画(1996年〜2000年)の国家科学技術難関突破計画の実施状況を説明した。それによると、同計画は農業、電子情報、エネルギー、交通、材料、資源探査、環境保全、医療・衛生および災害の防止・軽減などの分野で、あわせて251項目、5100余の特定テーマを設け、中央財政が53億元を投入し、地方の関連提供資金と部門の自己調達資金を176億余元導入した。1000余の研究機構、700余校の大学、5400余社の企業の科学技術者7万余が計画の実施に参与し、2万余件の成果をあげ、そのうち国家クラスの奨励を獲得したものが150余件、国内外の特許権を取得したものが1300余件あり、4500余の実験垂範拠点と生産ラインなどを建設した。また若い学科リーダー5000余人を含めて、2万近くの人材を育成し、総合的経済効果を累計4300億元創出し、そのうち直接経済効果は950億余元、輸出による外貨獲得額は23億5000万ドルである。

 科学技術難関突破計画は終始農業科学技術を最も重要な位置に置いて全面的に配置した。糧食など農産物の有効供給を確保し、農民の収入を増加し、農業の生態環境を改善し、農業の産業化を速めることなどについては、22項目、800余の特定テーマを設け、農作物の新品種664種を育成し、新製品988種を開発し、実験拠点1995カ所、垂範地点4807カ所建設した。難関突破を通じて、農業の科学技術レベルを著しく高め、農産物が長期不足から需給と基本的に均衡を経て豊作の年に余りがあるまでの歴史的転換を実現する上で大きな役割を果たした。

 農業増産技術の集中垂範を通じて国の食糧の安全を確保し、食糧を1億5000万トン新規増加した。国の倉庫で長期保存する生物生殖質数は33万3000種、国の資源苗床で保存する生物生殖質は3万8000種で、あわせて37万種を超過して、世界第2位を占めている。

 工業のハイテク分野は、工業技術の革新能力を大いに高めることを目標として、科学技術難関突破計画は主として次の三方面に182項目、2300余の特定テーマを設けた。一は国の重点プロジェクトの建設と結び付けて、三峡水力発電所建設、高速鉄道のカギとなる技術の開発など多くのカギとなる技術の難関を突破し、多くのカギとなる設備を開発した。  二は業種の技術進歩の必要に応じて、カギとなる、共通性をもつ技術を研究、開発し、普及させた。例えば、高効率の連続鋳造技術のカギとなる設備と技術の開発と応用、CAD技術の普及と応用などがそれである。三は在来工業の完成品の技術応用度を高めると同時に、ハイテク製品を大いに開発し、新興産業を育て上げた。例えば、亜ミクロンと深亜ミクロン技術に適応する高性能のコンピューター、CADシステム―熊猫2000、データテレビのカギとなる技術などを開発した。5年来、多くの難関突破成果の開発と応用は企業の技術革新能力と市場競争能力を増強し、重点的業種全体の技術レベルを高め、産業構造の調整を促し、産業部門の生産技術レベルとプロジェクト建設能力を新たな段階に高めた。

 「中国21世紀議事日程」の全面的実施を主として、科学技術難関突破計画は社会発展の分野であわせて47項目、2000余の特定テーマを設け、次の三つの方面で重点的に活動を展開した。

 一、人民の生存条件の改善と生活の質的向上を際立った位置におき、医薬、環境保全、住宅技術の開発と応用を強化した。

 二、国家経済安全と社会公共安全面から技術支持を提供し、資源探査と総合利用技術の難関突破を通じて、中国の戦略的資源の採掘と利用に理論と重大な技術支持を提供し、国家経済安全の保障能力を高め、税関で応用する多種コンテナー検査観測システムの開発に成功して、ハイテクによる反密輸の強大な抑止力を発揮し、自主的に開発したX線爆発物自動探査設備を上海浦東空港と北京首都空港で使用し、DNAの分析技術とシステムを国際レベルに高めた。

 三、社会事業の全面的発展を積極的に推し進め、グローバル気候変化と関係ある科学問題に対する定量化研究を通じて、中国が気候変化国際行動に参与する案、政策、原則的立場を提出し、国家利益を積極的かつ有効に保護するため、筋の立ったことをおしとおすことができる科学的根拠を提供し、短期気候予測技術システムの研究を通じて、災害の防止・軽減、特に毎年増水期の干害と水害の予報に対し著しい役割を果たし、大地震の中短期予報技術の研究を通じて、18回も災害軽減の実効をもつ地震短期臨時予報に成功し、「夏商周時代区分」難関突破研究を通じて、中国の古代の年代順のなかでの一段のある期間のブランクをうめ、中国のこれまで最も科学的根拠のある夏商周年代表を制定し、中国古代文明の年代史をさらに1200余年も繰り上げて、中華文明の起源を引き続き探究するための基礎を築いた。

 第9次5カ年計画期の難関突破計画は西部地区の科学技術プロジェクトに対する経費面から支持を重視した。統計によると、西部地区の水資源評価、区域的農業の総合的発展、生態環境の建設、石油・天然ガス資源の探査と開発、主要な鉱産物資源の総合的利用などの面で、あわせて難関突破プロジェクト30余件を実施し、中央財政が支持した経費は5億元以上に達し、多くの著しい成果をあげた。例えば、西部地区の水資源開発と利用――社会と経済の発展――生態環境保全の総合的研究を行って、西部地区の水資源の時空分布と埋蔵量を基本的にはっきりさせて、西部地区の水資源の持続可能な利用の総体的戦略と生態、生産、生活用水の科学的な案を提出した。タリム盆地、ツァイダム盆地、ジュンガル盆地など多くの重要な地位を占める大中型の石油・天然ガス田に対する探査と評価を通じて、西部のエネルギー埋蔵状況をはっきりさせ、「西部の天然ガスを東部へ輸送する」重要なプロジェクトを実施するために技術的基礎を築いた。中央が「西部大開発」戦略を打ち出してから、科学技術部は難関突破計画のなかに「西部開発特別プロジェクト」経費を設立し、西部地区の科学技術発展への支持にいっそう力を入れ、西部各省・自治区の異なる類型の科学技術の企画と研究を支持することに重点をおき、特色ある産業を大いに発展させ、東部と西部の技術、人材、情報などの交流を促し、西部地区の科学技術人材の養成とトレーニングを強化した。

 第9次5カ年計画期の国家科学技術難関突破計画は輝かしい成果をあげると同時に、多くの有益の経験を積んだ。一は国民経済建設と社会発展のホット・スポット、難点、重点から出発してプロジェクトを選び、科学技術と経済を根源から密接に結合させたことであり、二はユーザーが先頭に立ち、企業、大学、研究所が連合して難関を突破するメカニズムで、企業が技術革新と投入の主体となり、90%以上の難関突破プロジェクトの実施に参与したことであり、三はあくまで自主的開発が導入、消化、吸収、革新と結びつけ、起点の高い技術難関突破を実施したことであり、四は各方面の積極性を引き出して、社会全体が共同で難関突破の局面を形成したことであり、五は科学技術難関突破を人材建設と結び付け、ハイレベルの難関突破陣を育てあげたことである。

 (筆者:王麗潔)

 「北京週報」2001.No.22より

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