フェンシングと自転車はオリンピックで中国が潜在的強みを有する競技だ。過去、各クラス別の試合で好成績をあげている。アテネオリンピックが間もなく開幕するが、フェンシングなどの競技種目の準備状況はどうか、誰を派遣するのか、どんな目標を定めているのかなど、国家スポーツ総局自転車・フェンシング運動管理センターの蔡家東主任に聞いた。
CIIC 自転車・フェンシング運動管理センターの基本的な状況について説明していただけますか? 今年のアテネオリンピックでは、金メダル獲得が主要な課題なのでしょうか。
蔡主任 我々センターが主管するのは、自転車にフェンシング、近代5種、トライアスロンと馬術で、オリンピックではこの5競技で、合わせて38種目あります。
フェンシングと自転車はセンターが重点とする競技で、国家スポーツ総局のオリンピックの戦略的競技でもあり、潜在的な強みを持っています。フェンシングでは1984年のオリンピックで金メダル、1992年のバルセロナ大会では銀メダルを獲得しました。自転車競技は長い間遅れていましたが、スポーツ総局が支援、重視する中、長年にわたり努力を重ねてきたおかげで、実質的に向上、発展し、とくにシドニーオリンピックでは姜翠華選手が女子種目で銅メダルを手にして、歴史的な突破口が開かれました。
姜翠華選手は30歳、いま1人の江永華選手は31歳と、2人ともベテランの選手で、今回の大会ではある程度の収穫をあげる、と非常に期待を寄せています。もちろん、金メダルは大変難しいですがね。
CIIC わが国は自転車大国ですが、自転車スポーツのプロ化の発展はむしろ非常に緩慢です。これについてはどう考えていますか?
蔡主任 客観的に言えば、自転車スポーツは中国では遅れている競技です。
自転車のプロ化、といった問題に関しては、プロ化はどんな競技にも適している、というものではなく、また、どんな競技でも実施できる、というものでもない、と言うべきでしょう。プロ化を実施するには、なければならない条件が必要だからです。例えば、国が発展する社会的環境、経済的条件、その競技の普及度など。ですから、自転車でプロ化を実現するにはまだ長い時間がかかるでしょう。
CIIC フェンシングは最も人気があり、また関心が寄せられている競技の1つです。シドニー大会では、ベテラン3人が出場した男子フルーレ団体で、1剣の差で銀メダルと、涙を飲みました。今回はどんな計画があるのでしょう。
蔡主任 シドニーの男子フルーレ団体は銀メダルで、残念ではありましたが、このメダルは重みがありました。中国のこの種目での総合力を示すものだからです。帰国後、王海濱選手は大学に入り、その途中でフランスに留学しました。葉冲選手と董兆致選手はコーチも兼任していて、彼らは非定期的にナショナルチームに来ては、アテネに向けトレーニングをしています。シドニーの1剣の差については、選手3人ともへこたれてはいませんよ。彼らの能力や経験、気持ちの強さ、技術の安定性から見れば、アテネでの課題はやはり100%達成できます。アテネに向け、3選手はすでに問題点を克服したと言っていいでしょう。
最後の“1剣”、これについては、我々は特別な戦術を持ってはいますが、“軍事機密”ですので、申し訳ありません。トレーニングの状況についても、いろいろあります。それぞれの状況、それぞれの段階、それぞれの細かな段階をも念頭においたトレーニングを行っています。男子ではフルーレだけでなく、サーブルやエペ、といったその他の種目も研究しています。過去、往々にしてハイレベルの試合では、最後の選手に1剣を託する、という受け身な状態になると、選手はむしろ解き放たれて果敢に闘うことできました。けれど、リードしている状態、とくに、これでリードするという局面になると、そのチャンスを捉えることができなかった。選手のレベルに大差がないときには、往々にして“1剣”が勝負を決定します。この“1剣”については、心理的なもののほかに、技術、戦術面からも研究する必要があるでしょう。この数年、とくにオリンピックに向けて、これが解決すべき重要な問題になっていました。
CIIC フェンシングチームに新人が3人加わりましたが、ベテラン選手とどんな類似点、あるいは相違点があるのでしょう。
蔡主任 ベテラン3人は技術の安定性から、コート上での臨機応変に対処する能力、それに心理面での安定性、試合に臨む姿勢も含めて完全に成熟しています。なかでも葉冲選手はアテネを含めると5回、オリンピックに参加するベテランのベテランです。王海濱選手は3回目、董兆致選手も2回目になります。フェンシングは純粋に体のエネルギーを使うという競技ではなく、知恵と勇気を競うものだと考えられています。取り組み合う競技であっても、両者が互いにじかに触れ合うわけではありません。剣を使って様々な技術、戦術を運用するので、戦術や技術の変化は非常に複雑であり、非常に微妙であり、方法を講じて長所を生かし、方法を講じて短所をカバーしなければならないため、経験が非常に重要となります。この面で、3人のベテランには大きな強みがあります。新人3人は若いですが、いろいろな技術を身につけていて、果敢に闘える、これが彼らの主要な特徴です。技術面では、さらに向上する余地が大きく、フェンシングの技術と戦術も世界的に絶えず発展していますが、3人はこの面で優位性があります。
CIIC 女子選手の状況はどうでしょう。金メダルを狙える可能性はどのくらいでしょうか。
蔡主任 女子エペも急速に伸びてきました。1996年以前は非常に遅れていました。シドニーオリンピック後、団体では世界トップスリーのレベルを維持しています。チームの平均年齢は23歳未満で、なかでも李娜選手は前回のオリンピックに参加していて、主力となる選手です。アテネで入賞できるか、メダルを手にすることができるかは、彼女たちに掛かっています。
肖愛華フルーレ選手はシドニー大会後、結婚して子どもを産みました。我々センターはオリンピックに向けて準備ができるかどうか、検討しました。けれども、彼女はベテランですし、フェンシングを生涯の友としているので、復帰してのトレーニングも非常に積極的に取り組んでいます。ただ問題は復帰して間もないために、オリンピックに向けて準備する機会が非常に少ないことです。今の状況から見ると、出場の可能性は少ないかも知れません。
「チャイナネット」2004/07/13