近く離任する中国の陳健駐日大使は、明暗相半ばする当面の中日関係を始終心にかけており、3年間の任期における自らの考察に基づいて「中日関係は大切にすべきである」と各界の人々に言葉を寄せた。
陳健氏は次のように語った。
中日関係と言えば私は喜んでいるところもあれば、憂慮しているところもある。ここ3年来、両国の指導者が頻繁に会談し、平和と発展に向けた友好協力パートナーシップを確立した。両国の経済貿易協力は未曾有の規模に達し、昨年の貿易額は831億6千万ドルの歴史記録を更新した。人的交流の形も豊富なものとなり、幅広い参加が得られ、昨年はさらに5000人規模の日本交流訪中ミッションの壮挙さえ出現した。両国の対話と交流も安全分野ひいては地域および多国間事務の協調にまで拡大している。ところが、昨今は中日関係の政治的基盤にかかわる歴史問題と台湾問題をめぐって重大な支障が現われており、中日関係における政治的雰囲気を悪化させた。
50年余り経っている今でも、日本は軍国主義の行為を粉飾する歴史教科書の出版を認め、首相がA級戦犯の位牌が祭られている靖国神社を参拝しようとする問題が現われており、これは中国の国民にとってなかなか理解できないことである。中国の反応は日本の内政への干渉だととらえる日本国内の輿論もあり、両国国民の感情が疎遠になりつつあることが懸念されている。
中日米の関係について陳健氏は、アメリカのブッシュ政権が主観的に中国を戦略的競争相手と位置付けている。このほど、アメリカ国務省と国防総省の高官が訪米した日本与党三党の幹事長らと会見した際、中国はアジア太平洋地域の安全にとって最大の不安材料であるとし、日本に明確な態度表明を求めたという。小泉首相も近く訪米するが、この3国間関係の重要な問題について日本の出方次第で中日関係は大きく影響されるだろう、と指摘した。
陳健氏は、中日関係の将来を悲観視してはいないとするとともに、両国が政治的には相手国の民族感情を重視し、尊重し合い、安全面においてはお互いをアジア太平洋地域の平和と安定にプラスとなる要因と見なし、経済的には地域の繁栄と発展を促す協力パートナーにならなければならないと強調し、これに向けて努力するよう両国の有識者に呼びかけた。
陳健氏は1998年6月に7代目の中国駐日本大使に就任し、来月には離任して帰国する予定である。
「チャイナネット」2001年6月21日