重慶市気象局は9月1日から、全国で初めてとなる酸性雨監視ネットワークの試験運用を開始した。監視地点は市内35カ所。管轄区内の酸性雨に関するデータを毎日収集し、分析・処理を行って市民に汚染状況を予報する。
重慶市は全国でも酸性雨汚染が深刻な地区の1つ。1986年の酸性雨発生率は93.7%に達し、PH平均値は4.35で、1988年にはPH平均値が4.21に達した。この数年来、市政府が一連の対策を講じてきたことから、汚染は軽減されつつあり、2003年に発生率は40.0%、PH平均値は5.00となったが依然、酸性雨は収まっていない。市気象局の杜順義局長は「酸性の雨や霧による汚染の被害は大きく、土壌を酸化させ、農作物や森林などの植生生態系に害をもたらす。市区の近くにある南山では、アカマツがかなりの範囲で酸性雨の浸食によって病虫害に見舞われたことがあり、枯れた木は全体の20%にも達した。また水を酸化させるなど水資源の環境を汚染し、魚類などの水生動植物にも危害を与える。建築物や橋梁、鉄塔、工業関連設備、通信設備、パイプライン、タンクなどの腐食も速まり、様々な面で安全へのリスクをもたらす。人の皮膚や粘膜を刺激し、病気を引き起こすこともある。監視と予報、影響評価などを進めることで、酸性雨による害を軽減し、住民の健康を守り、生態環境などを有効に保護し改善するための重要な科学データが得られる」と説明している。
監視地点は従来の4カ所に加え、全域をカバーする31カ所に設置し、気象局に構築された通信ネットと接続されている。正式運用は10月1日から開始する予定。「山の都市」と呼ばれる重慶の市民は、天気予報とともに酸性雨汚染の予報を毎日知ることができるようになる。
「チャイナネット」2004/09/08