鈸は民間の打楽器の一つであり、昔は同鈸、銅盤と呼ばれ、西暦4世紀頃に天竺音楽とともにインドから伝わってきたものである。
鈸は銅製の、円形のもので、一組は二枚からなり、盛り上がるようになった中心部は鈸の碗と呼ばれ、鐃鈸(にょうばち=シンバル)のそれよりいくらか大きく、碗の真中に穴が一つあり、穴の上に皮のヒモや絹のヒモが結び付けられ、演奏の際、皮のヒモまたは絹のヒモを親指以外の指に縛り付けるか手でそれをつかんで二枚の鈸をぶつかり合うように操作して、音を出すわけである。鈸の音は高らかで明るく、多くは大銅鑼、小銅鑼、小さな銅拍子と太鼓などと組み合わせて使い、リズムにアクセントをつけ、雰囲気を盛り上げるためのものである。現在、大鈸、中鈸などの種類がある。
鐃鈸と鈸の形と構造はよく似でいるが、違いもある。それらはみんな銅製の円形のもので、中心部に泡のように盛り上がったものがあり、一組は二枚からなり、演奏の際、二枚がぶつかり合うようにして音を出すのである。形と構造においては、鐃鈸と鈸の中心部の盛り上がった部分の大きさが異なり、鐃鈸の盛り上がった部分は小さく、鈸のそれは大きい。音質においては、鐃鈸の音はかなり高らかで、長く響く。鈸の音はかなり厚みがあり、それほど長くは響かない。音の高さは、大体同じ大きさの鐃鈸と鈸の音を比べるならば、鈸の音の方がかなり高い。明・清の時代以来、民間ではやってきた十番鑼鼓曲は、楽器の組み合わせにおいて、往々にして鐃鈸と鈸のそれぞれの長所を十分に生かして豊かな音響効果を作ることにしている。
「チャイナネット」2004年12月