板鼓(ばんこ)  
 

打楽器の一つで、単皮、班鼓とも言う。板鼓の枠は堅くて厚い木材で作ったもので、片面に皮を張っているため、板鼓は単皮鼓ともいわれている。演奏の際、ヒモを張った竹製または木製の台の上に板鼓を置き、二本の竹で作った細い棒でそれを叩く。

板鼓には数種類のものがあり、表面の大きな板鼓は音が低く、小さな板鼓は音が高く、それぞれ異なる役割を果たす。例えば、中国南部の十番鼓曲の中で使われる板鼓の表面はかなり大きく、京劇やその他のいくつかの地方芝居の中で使われる板鼓の表面はかなり小さい。鼓芯とふちが異なる板鼓は音の高低も違う。演奏の際、点撃法を取り、細い棒の先で板鼓の表面を叩く時と細い棒で板鼓を水平に叩く時には、異なった音が出る。優れた演奏者は叩く力の強弱、リズムの密度の違いと緩急を結び付けて、多種多様な変化を表現することができる。

板鼓の体積は小さく、鼓体の木板はかなり厚く、5枚の色木、カバノキ、えんじゅの木またはクワの木の板をつなぎ合わせたものである。鼓体の直径は25センチであるが、板鼓の表面のほとんどの部分は木質の枠からなり、振動によって音を出すことのできる真中の部分(鼓光と呼ばれる)はわずか5-10センチしかない。板鼓の胴(中空のもの)は「八」字の形を呈し、ふちの高さ(厚さ)は9.5センチ、板鼓の表面にはブタの皮またはウシの皮を張り、その皮は板鼓の表面にしっかりと張るだけでなく、鼓体の底部まで包み込み、数多くのクギでそれを固め、底部には鉄のたががはめられている。鼓光は叩けば音の出るところである。

伝統演劇の楽隊の中で、板鼓と拍子板(短冊形の板を3枚合わせて作ったもの)は一人で演奏する二つの打楽器であり、指揮したり演奏をリードしたりするもの。演奏者は「鼓佬」、「鼓師」と呼ばれ、さまざまな身振りと打撃音によって楽隊を指揮する。同時に、板鼓は拍子板とともに節回しのリズムを表現し、俳優のさまざまな身ぶりと動作に合わせて伴奏し、銅鑼と太鼓の演奏の起伏を増やし、舞台の雰囲気を盛り上げ、人物のイメージを浮き立たせる。板鼓を演奏する時、ヒモを張った木製の支え台の上に板鼓を置き、2本の藤または竹で作った細い棒で叩き、板鼓の中心部とふちから出る音の高低が違うばかりでなく、点撃法を取り、細い棒の先で板鼓の表面を叩くまたは細い棒で板鼓を水平に叩く時に出る音も異なる。たたき方には双打(2本の棒で同時に叩くか代わりがわりに叩くこと)、単打(左手の棒で板鼓を叩き、右手で拍子板を打ち鳴らすこと)、悶打(右手の棒で板鼓の表面を押さえ、左手の棒で板鼓の表面を叩き、くぐもるような音を出すこと)などのテクニックがある。民間器楽合奏、例えば「十番鼓」、「十番鑼鼓」楽曲の中で銅鼓と併用し、一人で演奏し、演奏をリードする役割を果たすものである。

「チャイナネット」2004年12月