個人情報をいかに保護するかが現在、市場経済運営が順調に進むに伴い、多くの中国人が頭を痛める社会問題となりつつある。「喜ぶべきなのは、国務院の関係機関が『個人情報保護法』の立法手続きを既に始めたことだ」。全人代第3回会議に出席中の代表、広州弁護士協会の陳舒秘書長はさらに会議で、現在の混乱状態を緩和させるため、この法律が早急に制定されることを期待すると語った。
個人情報の保護と言えば、中国人は往々にしてプライバシーを想像する。これについて陳秘書長は「『個人情報保護法』が規定する保護の範囲は単に公民のプライバシーだけではなく、個人の携帯電話番号や住所、医薬関連のカルテから職業なども、法的保護の範囲に属するべきである。こうした考え方は大多数の中国人にとってはまだ、全く新しい分野のものだ」と指摘した。
経済が発展するに伴い、中国人が日常生活の中で、企業や政府機関に提供しなければならない個人情報が増え続けている。自動車や住宅の購入、診療、保険加入、証明書や銀行カードの手続き、また求職やインターネットアクセスの際にも、詳細で正確な個人情報を記載しなければならない。一方、こうした情報は巨大なビジネスチャンスを意味することが多い。そのため、特定のサイトに市民をおびき寄せて詳細な個人情報を入手したり、コンピューターウイルスを利用した不正アクセスで個人情報を盗み取ったりするケースがあるほどだ。
「現行の法律から言えば、元々、プライバシーの保護は民法通則にある名誉権の保護の一部に過ぎない。まして成文化された法律の中には、プライバシー権という概念はない」と陳秘書長。「『個人情報保護法』では、例えば、個人の履歴を採用会社に手渡した場合、双方は個人情報を保管する義務を持ち、相手側が他人にこうした情報を取得させた場合には、故意または過失であっても、相手側の違法とするなど、個人情報の範囲はプライバシーより拡大させるべきだ」と強調した。
さらに陳秘書長は「企業は営業対象の個人情報の取得を要求する権利を持つ、と法律で規定してもいいが、自社の目的を公開し、さらに適切な保護措置を講じて、第三者への漏出を確約させなければならない。同時に、行政機関が個人情報を利用する場合は、一定の手続きと方法に基づき、その情報が乱用されるのを防止しなければならない」と提言した。
2005年2月1日に正式施行された『広西チワン族自治区の行政許可の実施に関する若干の規定』は、「申請者の同意を得ないプライバシー関連の申請書類は、行政許可機関は転送または公告してはならない」と規定した。だが法律専門家は、『個人情報保護法』は個人の権利を保護する一方で、また正常な情報の流動をも阻止してはならない、と指摘する。立法作業に参与している中国社会科学院法学研究所の周漢華研究員は「両者の利益関係のバランスをいかに図るかが現在、立法を考慮する上で重点となっている」と話した。
「チャイナネット」2005年3月10日
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