一、二〇〇四年度の中央と地方の予算執行情況
二〇〇四年、各地区、各部門は中央の定めた方針、政策及び第十期全国人民代表大会第二回会議で提起された関連決定、決議を真剣に貫徹し、経済建設と諸般の社会事業は新しい発展をとげ、人民の生活はいっそう改善された。中央と地方の予算執行情況も比較的良好であった。
全国の歳入は二〇〇三年度に二兆元台に乗せてから、さらに大幅に伸びて、二兆六三五五億八八〇〇万元に達し(債務収入は含まず、以下同じ)、前年度に比べ四六四〇億六三〇〇万元増え、二一・四%増となり、予算の一一一・八%を達成した。全国の歳出は二兆八三六〇億七九〇〇万元で、前年度に比べ三七一〇億八四〇〇万元増え、一五・一%伸び、予算の一〇五・九%を達成した。収支を差し引くと、歳出は歳入を二〇〇四億九一〇〇万元上回った。
中央と地方を分けてみてみると、中央の歳入は一兆五〇八一億五四〇〇万元であり、前年度に比べ二一五〇億七一〇〇万元増え(新たに増えた輸出による租税還付金一二七五億三二〇〇万元を控除)、一六・六%増となり、予算の一〇九・一%を達成した。中央の歳出は一兆八二七四億三九〇〇万元であり(地方への租税還付と助成支出一兆三七八億七七〇〇万元を含む)、前年度に比べ二一四五億八八〇〇万元増え、一三・三%伸び、予算の一〇七・四%を達成した。中央財政の赤字は三一九二億八五〇〇万元で、第十期全国人民代表大会第二回会議で承認された三一九八億三〇〇〇万元より五億四五〇〇万元減となった。地方の歳入は二兆二二五八億五三〇〇万元で(中央からの租税還付金と補助金を含む)、前年度に比べ四一四七億一四〇〇万元増え、二二・九%伸び、予算の一一二・六%を達成した。地方の歳出は二兆一〇七〇億五九〇〇万元で(中央への上納支出六〇五億四二〇〇万元を含む)、前年度に比べ三二二二億一八〇〇万元増え、一八・一%伸び、予算の一〇六・六%を達成した。収支を差し引くと、剰余金或いは繰越明許費は一一八七億九四〇〇万元である。これらの数字は、決算編成集計後にいくらか変わることもある。
二〇〇四年度中央の予算執行と財政活動の主な状況は次の通りである。
(一)法にもとづいて予算の執行を組織し、増収の部分を合理的に運用した。
二〇〇四年、党中央、国務院の正しい指導の下で、全国人民は不屈の闘志を発揮し、刻苦奮闘を重ね、中央の定めた方針、政策を積極的に貫徹し、国民経済の主な指標はいずれも所期の目標よりはるかに良好であった。国民経済の持続的で、テンポの速い健全な発展、企業業績の大きな好転が財政収入の大幅な伸びをもたらす強固な基盤となり、広範な納税者が法に従って誠実に納税し、財政・税務・税関部門が管理を強化したことが財政収入の増加をもたらす強力な保障となった。二〇〇四年度全国の歳入は四六四〇億六三〇〇万元増えたが、もしこれまでの還付金未払問題を解決するために追加した一二七五億三二〇〇万元を加えると(財務手続き上収入から差し引いて処理している)歳入増収の数値は五九一五億九五〇〇万元に達し、二七・二%という高い伸び率となる。主要税収の達成状況は次の通りである。国内付加価値税収入は前年度比一七八一億一八〇〇万元増え、予算より一〇〇二億三一〇〇万元増収した。税関が代行徴収した輸入税の収入は前年度比九〇〇億七九〇〇万元増え、全般的に増収となった。企業所得税収入は前年度比一〇三〇億七八〇〇万元増え、予算より七一〇億三〇〇〇万元増であった。個人所得税収入は前年度比三一七億八七〇〇万元増え、予算より一一五億九一〇〇万元増収した。国内消費税、営業税収入は前年度比それぞれ三一九億五〇〇万元と七三六億一六〇〇万元増え、予算より二五一億三一〇〇万元と三五〇億六一〇〇万元増収した。二〇〇四年度上述した六つの主要税収の増収額は合わせて五〇八五億八三〇〇万元であり、実際の増収総額五九一五億九五〇〇万元の八六%を占めている。
但し、その増収分のうちほぼ二〇〇〇億元が特殊的もしくは一時的要因によるものであるということも見て取らなければならない。一つは二〇〇四年度の一部業種の投資が過熱し、物価も上昇したことによって、一部の収入がもたらされたのである。わが国は生産型の付加価値税制度を採用しているが、その徴収が主に工業分野で行われたので、投資及び工業の付加価値税が過度に伸びたため、例年より七〇〇~八〇〇億元も増えたのである。二つは二〇〇四年度の輸出による租税還付メカニズムの改革により租税還付額は例年より1・四半期分が少なくなった上、輸出による租税還付率を平均して三ポイント引き下げたので、それに応じて本年度の還付金が一〇〇〇億元近く減少した。三つは税務機関が過渡的口座を整理したことにより、約三〇〇億元の増収をもたらした。
二〇〇四年度、中央の歳入は実質的に予算を二五三七億七一〇〇万元上回った(新規増加した輸出による租税還付金を控除していない)。科学的発展観を真剣に貫徹、実行するという党中央、国務院の主旨にしたがい、また『中央予算の審査・監督強化に関する全国人民代表大会常務委員会の決定』及び第十期全国人民代表大会第二回会議で採択された関連決議の要請に基づき、さらには増収したかなりの部分は経済運営における特殊的、一時的要因によって生じたもので、経常支出の拡大に用いるべきではないという考えから、二〇〇四年度の中央歳入の増収分は主として歴史的な借りの穴埋め及び経済・社会の協調発展のための追加支出に振り向けた。その具体的な配分は次の通りである。輸出による租税還付金を新たに一二七五億三二〇〇万元追加し、これまでの一部未払金の還付にあてた。車両購入税の増収分三五億七〇〇〇万元は規定により特別資金として用途を限定した。関連法律、法規及び財政体制的規定に基づいて、教育や科学への支出、地方への租税還付、一般的移転支出、少数民族地区への移転支出を三二一億三〇〇万元増やした。農村の租税・費用改革と食糧生産支援に一五六億四〇〇万元、耕地を樹林へ復元させたことによって生じた食糧の累積赤字の解消に四〇四億八五〇〇万元あてた。企業の退職者の基本養老年金と都市部住民の最低生活保障手当を三二億五〇〇〇万元増やした。全国社会保障基金に一四八億五六〇〇万元、企業の閉鎖・倒産の補助支援に三〇億元振り向けた。災害の対策・救済などの支出を一三三億七一〇〇万元増やした。このように資金を計上したことによって、後先のことを熟慮し、リスクを防ぎ止め、人間本位を旨とし、全面的でバランスの取れた持続可能な科学的発展観を具現させるとともに、一般的支出を制限して、マクロ規制と経済・社会の協調発展をサポートすることができた。中央財政収入の中の予測を上回った部分の用途については国務院がすでに全国人民代表大会常務委員会に報告している。地方財政の増収分は地方に運用させ、主として県・郷の財政難の緩和や科学技術・教育・文化・医療衛生、農業支援及び歴史的な債務の解消などに振り向けた。
(二) 全面的な措置を講じ、科学的発展観を積極的に具現した。
1.一連の政策・措置を講じて食糧の増産や農民の収入増を促進した。二〇〇四年度中央財政の予算配分は、「農業、農村、農民」への支援を首位に置き、その資金の投入を増やし、一連の優遇策をとった。三月下旬、党中央、国務院はマクロ経済運営の新しい状況、とくに食糧の生産に見られる新しい情勢に応じて、より強力な措置を講じて「農業、農村、農民」問題の解決に取り組んでいくことを決めた。財政部は大局に順応し、大局に奉仕するため、八方手を尽くし、困難を乗り越えて、農業補助金を一五六億四〇〇万元追加した。各級財政部門は積極的かつ能動的な措置を講じて、「二つの免除と三つの補助」という政策を着実に具現化させた。葉タバコ以外の農業特産物税を撤廃したうえで、さらに吉林などの八省では農業税を免除もしくは基本的に免除した。河南省などの一一の食糧主産地及び広東省で農業税率を三ポイント引き下げ、もしくは自主的に引き下げた。山西などの一一省の農業税率は一ポイント下がった。二九省(自治区、直轄市)で食糧作付農家に直接補助を与えた。河北省など一三の食糧主産地では稲、小麦、トウモロコシ、大豆などの農作物に対して良種栽培補助金を支給した。中央直轄開墾地や六六県の食糧主産地に大型農機具の購入助成金を与えた。「二つの免除と三つの補助」政策を実施するため、中央財政は補助金計三一三億二〇〇〇万元を交付した。それと同時に、中央財政はまた下記のように積極的な農業支援策・措置をとった。一つに、自主的に農業向けの国債依存プロジェクト資金を上方修正した結果、二〇〇四年度三八〇億元にのぼり、当年度新規増加した国債依存プロジェクト資金総額の三四・五%を占めた。二つに、食糧など基本食品価格の高騰が生活保護者の生活にもたらす影響を軽減させるため、二〇〇四年度下半期より企業定年退職者基本養老年金の基準引き上げのための支出を二二億五〇〇〇万元増やし、都市最低生活保障の補助金として一〇億元追加した。三つに、農業総合開発資金を新たに増やし、これは主として食糧主産地に運用され、さらに、農業生産条件改善に充てた六三億一六〇〇万元の資金を全額有償使用から無償投入に切り替えた。四つに、教育、衛生、文化への新規増加支出を主として農村に振り向ける政策及び農業生産手段価格の安定化をめざす優遇政策を真剣に実行した。五つに、一〇数項目の農業行政の賦課を撤廃、免除、軽減した。六つに、二〇〇万人余りの農村労働力の移動や育成訓練をサポートし、そのうち約八〇%の者を就職させた。総じて言えば、二〇〇四年度は中央財政による「農業、農村、農民」支援に多年来最も大きな力を入れた年であった。政策が良く、天候に恵まれ、農民自身が努力した結果、食糧生産は好調で、農民は実利を手にし、物価の上昇傾向も食い止められたことは、「農業、農村、農民」支援から着手してマクロ規制の強化、充実化を図るという中央の目標を実現させていく強固な基盤となったのである。
2.財政投資の方向や度合いを調整し、一部業種の投資過熱を効果的に緩和させた。「五つの協調(都市と農村の発展、地域間の発展、経済と社会の発展、人間と自然の関係、国内の発展と対外開放を協調させること)」の要請に則り、国債依存プロジェクト資金の運用方向の調整に能動的に呼応し、保障すべき項目は保障し、規制すべき項目は規制を加え、建設中の重要なプロジェクトや農業・林業・水利、教育・科学技術・文化・医療衛生、エネルギー資源、県・郷の自動車道路などの方面のニーズを重点的に保証し、他の投資項目については延期できるものは先に延ばし、とくに一部の過熱業種の投資項目については予算の資金投下を先送りした。これをふまえて国債資金依存プロジェクトの予算の管理を確実に強め、審査を厳しくするとともに、必ず工事の進度にもとづいて資金を給付した。全年度の国債依存プロジェクト資金の繰越総額は四五六億九二〇〇万元にのぼった。このほか、不動産業種関係の税収減免政策を適時に調整するとともに、土地譲渡による収益と支出構成の調整により、一部の土地譲渡金を農地開発に用いる等の措置を講じて、農業支援の度合いを大きくすると同時に都市拡張のテンポを抑えた。これらの措置はマクロ規制を効果的に実施し、経済・社会の調和のとれた発展を促進する上で、積極的な役割を果たした。
3.就業・再就業や社会保障作業を大いにサポートし、社会の調和のとれた発展を促した。就業や再就業に関する中央の諸般の財政・租税優遇策を真剣に実行し、引き続き「大学生の西部へのボランティアサービス計画」の実施をサポートするため、二〇〇四年度、中央財政は再就業助成金を二二億二五〇〇万元増やした結果、五四・六%増となった。地方財政もそれに応じて資金を計上し、就業・再就業を大きく促進した。引き続き「二つの確保(国有企業一時帰休者の生活費と定年退職者の年金を期日通り支給することを確保する)」と最低生活保障事業をしっかり行い、困難を抱えている大衆の基本生活の保障に努めた。中央財政は補助金一四四億元を一時帰休者の基本生活保障に振り向け、彼らの基本生活費を期日通り全額支給することを確保するとともに、一時帰休者の基本生活保障を失業保険へ移行するよう積極的に推進した。中央財政は五二四億元を養老保険特別移転支出資金に振り向けたことにより、企業の定年引退・退職者の基本養老年金を期限どおり全額給付することを確保した。その一方で、吉林、黒竜江両省の都市部の社会保障システムの充実化をはかるテスト作業の展開をサポートした。
地方の新しいタイプの農村合作医療テストを穏当に行うために中央財政は二億九六〇〇万元を補助するとともに、宝くじ公益金から三億元を割いて農村医療救助制度の整備に充てた。特別移転支出資金一五億元を計上し、地方財政もそれ相応の資金を捻出して、一部企業に再就職した退役・除隊軍人幹部の生活難を緩和する財政保障メカニズムを確立した。大洪水防御・旱魃対策補助金や増水期の応急対策資金に一七億一〇〇万元、大規模な自然災害対策の生活救援補助金に四〇億元を充て、地方財政もそれ相応の資金を拠出した。これは被災者の生産と生活難の問題をいち早く解決しただけでなく、自然災害に対応する応急支出メカニズムが打ち立てられ、救援物資や装備をかなり充実させることができた。
4.教育・科学技術・文化・医療衛生諸事業への投入を増やし、社会諸事業の発展を促進した。二〇〇四年度全国の教育支出は四二一億八九〇〇万元増え、一四・四%増となった。そのうち、中央財政の教育支出は四三億二三〇〇万元増え、一五%伸びている。農村基礎教育における学校運営条件を積極的に改善し、全国の小中学校老朽化校舎改築プロジェクト、「二つの基本(九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年の非識字者の基本的一掃)」の難関突破計画、農村の小中学校向け現代遠隔教育、農村における小中学校の配置調整など重点プロジェクトの展開をひきつづきサポートした。主として農村の貧困家庭の小中学生に対し教科書を無料配布し、雑費の徴収を免除し、寄宿生に生活補助費を支給し、大学学資ローンと特別貧困な大学生に生活費を補助するという内容の国家財政による就学援助システムが初歩的に形成されてきており、中西部農村の義務教育段階における貧困家庭の学生二四〇〇余万人に無料で教科書を提供したことは、学生や父兄及び社会の好評を得ている。基礎研究、ハイテク研究、社会公益研究及び非営利的科学研究機構に対する投入を増やし、国の科学技術の基礎条件としての基盤整備、中国科学院の「知識イノベーション・プロジェクトのテスト」などを助成し続けている。二〇〇四年度、全国の科学技術支出は九八億五〇〇〇万元増え、一三・七%伸びた。そのうち、中央財政の科学技術支出は一一・九%増の五二億三四〇〇万元増えた。ひきつづき全国の文化情報資源の共有化プロジェクト、図書を農村に届けるプロジェクトなどをサポートしたので、末端の文化施設の整備が強化された。公共衛生特別資金として四〇億元計上して、疾病予防・対策システム、医療救助システム、医療衛生への法的監督システム、農村の医療衛生サービス・システムの機能強化、及びエイズ、結核病、住血吸虫症、地方病など被害の大きい疾病の予防・対策と救助作業を援助した。二億元近くの補助資金を計上し、「農村における一部の計画出産家庭に対する奨励・扶助制度」を実施するテスト作業をおこなった結果、農民が国の計画出産政策を実行する意欲が一段と高まった。二〇〇四年度、全国で計八億四八〇〇万元の経費を捻出し、そのうち中央財政が二億七五〇〇万元を割いて、高病原性鳥インフルエンザの予防・対策に必要な経費を効果的に保障するとともに、一連の財政・税制による扶助政策を実施した結果、鳥インフルエンザが家禽養殖業を営む家庭や関連企業にもたらした損害を大きく軽減させることができた。
5.行政・公安・検察・司法への投入を増やし、政権の建設を促進した。二〇〇四年度中央財政は公安・検察・司法特別補助金として三一億三〇〇〇万元計上し、貧困地区における末端司法機関の案件処理条件の改善をサポートした。四億元の特別経費を計上し、深?、珠海、広東、北京、天津、上海などの「大通関」の建設をサポートした。二億五〇〇〇万元を全国第一次経済調査の実施にあて、九億二〇〇〇万元を一四省(直轄市)の刑務所体制の改革テストにあてた。また公務のために殉職した公安人民警察官に補助金と特別慰問金を給付する政策を打ち出した。これにより正気が発揚され、広範な人民警察官が激励を受けて、社会の安定と人民の安全を維持するために献身的に奉仕するという積極的な役割を発揮した。また積極的にインセンティブメカニズムと制約メカニズムを探求し、地方の各クラス財政が司法経費を保障するメカニズムの確立と完備を支援し、これを推し進めるために、中央財政は絶えず投入を増やした。渉外突発事件緊急対策メカニズムなどの創出に参画することを助成し、海外駐在機構と中国国民の安全とテロ対策に関する需要が保障されることとなった。
(三)改革を着実に推し進め、企業の発展と経済体制の整備を促した。
1.輸出による租税還付メカニズムの改革は段階的な成果を収めた。「未払い現象が新たに生じないようにし、累積未払金を清算し、還付メカニズムを完備させ、地方と中央が還付金を共同で負担し、改革を推し進め、発展を促進する」という改革の原則に基づいて、各クラスの財政部門は関連部門と共同で改革の状況を綿密に追跡し、輸出による租税還付金を十分計上し、積極的に協調をはかり、適時に関連措置を充実させることによって、改革の順調な展開を確実に保証した。適時に当年度の輸出による租税還付金(免税金)二一八七億七四〇〇万元を整理し、通常のニーズを確保し、「未払い現象が新たに生じない」ようにしたほか、増収した資金及び国庫集中支払制度への改革で生じた中央国庫資金残高を利用して、これまで累積してきた企業や地方に返済すべき租税還付金を全部清算した。この改革が成功裏に推し進められたことによって、国の信望が高められ、政府のイメージが確保された。また、輸出企業と地方財政の資金の緊張状況が効果的に緩和され、輸出企業の財務コストが軽減され、企業の競争力と発展能力が増強され、輸出の大幅な伸びを促した。さらに、財政収入体制の健全化を促進し、輸出による租税還付の管理に参与する地方政府の意欲が高められた。
2.付加価値税の消費型への転換などの改革テストは順調に実施された。東北地区では生産型付加価値税を消費型付加価値税へ転換させるテストを一部の業種で展開しているが、これは東北地区などの旧工業基地の振興という中央の戦略を実施する重要な政策・措置であるだけでなく、企業の競争力を高め、技術改良と製品グレードアップを加速する上でも必要なことである。二〇〇四年度この改革を推し進める際に、財政収入がいくらか減少し、投資の伸びを刺激するといった二つの矛盾に直面していた。財政部門は経済と財政の長期的発展を促す戦略に着眼し、積極的に関連部門と共同で入念に計算、分析し、科学的に方案を作成した上で、当分の間投資過熱の業種をテストに組み入れず、また付加価値税の増加分を控除するなどの方法を講じて、上述の矛盾を比較的よく解消することができた。国務院の許認可を経て、二〇〇四年七月一日から、東北地区のプラント製造業などの八大業種において付加価値税の消費型への転換テストを行い、テスト対象の企業が新規に購入する機械設備に含まれる付加価値税については、その増加分を控除するやり方が認められた。同時に、東北地区の工業企業の固定資産と無形資産に対し、現行の減価償却年限をふまえて、四〇%以下の割合で減価償却年限を短縮し、さらに国内企業従業員一人当たりの税込賃金の源泉所得税控除基準を、一律に月給一二〇〇元まで引き上げた。東北地区の省クラス人民政府は中央から与えられた権限範囲内で一部の鉱山や油田企業の資源税の税額を調整することができるようになった。付加価値税の消費型への転換などの改革案を適時策定し、順調に実施したことによって、東北地区における旧工業基地の振興を効果的に促し、付加価値税の消費型への転換の改革を全国までおし広げ、経済と財政規模を拡大していく基礎を固めただけでなく、財政の調節・コントロール機能を十分に発揮する貴重な経験を積み上げた。
3.積極的に国有企業と金融の改革をサポートした。政策的閉鎖や倒産を宣言した国有企業への補助資金として中央財政は遅滞なく一九九億四七〇〇万元を交付し、計五三万七五〇〇人の職員・労働者を配置した。社会事業運営機能を中央所属企業から分離させる第一回目のテスト作業を積極的に推し進め、それを完遂させた。鉄道部門の家屋不動産税と都市部の土地使用税の税制を調整し、鉄道体制の迅速な改革を促進した。中国銀行、建設銀行、交通銀行の財務再編と体制改革による上場をサポートし、中国人民保険、中国生命保険両社の上場のための所得税還付政策を着実に実施し、改革のテストを行う一部地区の農村信用協同組合に対し租税優遇策とインフレプルーフ定期預金の補填政策を実施した。これらの措置は国有企業改革と金融改革の不断の深化を強力に促進することとなった。
(四)管理を強化し、法に基づく財政管理のレベルを一段と高めた。
引き続き部門予算の改革を深化させ、定額基準体系を完備化させ、人事部など五つの中央部門において実物費用の定額テストを行い、また前年度より繰り越された重点支出項目の効果や効率について評価を行うテストを進めた。情報産業部など七つの中央部門を「収支二本立て」管理と総合予算改革のテスト・ケースに追加し、地方でもその改革の度合いを強めた。一四〇の中央部門及びその管下の二六〇〇余りの末端予算部門は国庫集中支払の改革を行った。全国の政府による買付規模は二〇〇〇億元を上回り、資金節約率は一〇%前後となった。『財政違法行為に対する処罰・処分条例』を制定し、すでに国務院より公布施行された。行政による審査・許認可事項を全面的に整理し、財政部が三回に分けて行政の審査・許認対象から除外したのは計三八項目であるが、審査と許認可に調整を加えたのは六項目であり、さらに各財政行政による許認可事項の条件、手順、期限及び監督検査について具体的な規定を設けた。財政監督を強化し、とりわけ重要な財政資金運用の効果に対する監督を強化した。それにより問題資金八九五億二〇〇〇万元が摘発された結果、中央財政支出が三九億八〇〇〇万元減少し、中央財政収入は七六億三〇〇〇万元増やすことができた。
総じて言えば、二〇〇四年度予算の達成状況は所期の目標より良好であり、活動においてもいくらか新たな成果が収められた。にもかかわらず、予算執行過程で見過ごしてはならない問題がなお一部存在することも冷静に見て取っている。一つは、一部の地方の末端機構は財政難に陥っており、末端政権の運営保障と公共サービス能力の向上が急務である。二つは、経済発展における矛盾と問題が財政に皺寄せし、集積される傾向が見られ、特に金融と地方政府の債務に潜在するリスクが増大しているため、財政のリスク回避と解消の任務が非常に重いことである。三つは、科学的発展観の要請に照らして、早急に強化すべき多くの経済・社会発展の脆弱な部分に対する保障がまだ十分とは言えないことなどである。上述した問題に対し、国務院は高度に重視し、財政部と関係部門及び地方政府も効果的な措置を講じて、改革の深化に力を入れ、支出構成を最適化させ、大いに仕事に取り組んできた。一部の問題については二〇〇五年度の予算編成や関連作業をする際にすでに適切な措置を講じており、また一部の問題については積極的にその解決の方法を検討している。このほか、会計検査署が二〇〇三年度中央予算の執行状況及びその他財政収支に対して行った検査結果が示すように、財政資金の損失、無駄遣い現象が依然としてかなり深刻であり、その運用効率を早急に向上させなければならず、それに対する監督・管理もいっそう強化しなければならない。これらの問題に対し、国務院は、関係部門と地方政府が確実に全人代の関連決議と会計検査の意見にしたがって、会計検査によって摘発された問題を整頓、改善し、法に基づく財政管理と人民のための財政管理を真剣におこない、財政資金の運用の全過程に対する監督・管理を強化し、その内部規制メカニズムを健全化させ、絶えず財政・財務管理活動の規範化を推し進め、様々な税制・経済法規違反問題の発生をメカニズム及び制度から防ぎ止めるよう要求している。統計によると、目下八七件の制度・規定が整備され、延べ七五四人が党規律や行政規律にもとづく処分を受け、または送検された。年度初頭に部門予算に組み入れられない中央代行編成の予算については、財政部が国務院と全人代に報告する制度を設け、それの執行にあたって規定通りに即時下達するようにしている。整頓・改善の状況については、国務院はすでに全国人民代表大会常務委員会第十三回会議にまとめて報告をしている。
「人民網日本語版」2005年3月17日
|