新中国の成立前、少数民族地区の生産力レベルが低く、経済、社会、文化の発展がかなり立ち遅れ、近代的な工業・教育・医療がほとんどなく、インフラ建設が悪く、非識字者が人口の圧倒的多数を占め、ペスト、天然痘、マラリアなど各種の伝染病が流行した。少数民族の大衆は主に在来の農業と牧畜業に従事し、一部の地区はまだ焼畑耕作の原始的状態にあり、鉄器が広く使われない地区が一部あった。大衆の生活は非常に苦しく、特に広大な山岳地帯および砂漠・アルカリ地区の少数民族は、ほとんど毎年のように数カ月間食糧が尽きることがあった。少数民族の発展はひどく阻害され、絶滅に瀕する民族もあった。
新中国の成立後、特に改革・開放以来、民族自治地方の各民族人民は、国と発達地区の大きな援助と支持の下で、自らの強みを生かし、自力で事を運び、大いに奮起し、自己発展能力をたえず増強している。50余年の努力を経た今日では、中国の民族自治地方の各民族人民の生存と生活環境が明らかによくなり、経済と社会諸事業が急速に発展し、民族自治地方の各民族人民は全国人民とともに国の現代化建設のもたらす発展の成果を享受している。
(一)経済が急速に成長する
2003年、中国の民族自治地方の国内総生産(GDP)は1兆381億元に達し、初めて1兆元の大台を突破した。1994年から2003年までの民族自治地方のGDPの年平均成長率は全国平均水準より約1ポイント高い9.87%に達した。民族自治地方のGDPが全国のGDPに占める比重は、1994年は8.5%だったが、2003年は8.9%に上昇した。1994年の民族自治地方の1人当たりGDPは全国の1人当たりGDPの63.5%であったが、2003年は66.3%に上昇した。2003年、民族自治地方の完成した地方財政収入は1994年比2.3倍増の674億元に達した。
2003年、新疆地区の総生産は1993年比0.06ポイント増の1877億6100万元に達し、全国GDPの1.60%を占め、チベット地区の総生産は1993年比0.04ポイント増の184億5000万元に達し、全国GDPの0.16%を占めた。新疆の1人当たりGDPは9700元で、全国の1人当たりGDPの106.58%に相当し、チベットの1人当たりGDPは6871元で、全国の1人当たりGDPの75.5%に相当するものであった。
(二)人民生活水準が著しく向上する
2003年、民族自治地方の農民家庭の1人あたり純収入は1895元に達し、1994年より1.31倍増加した。新疆の農民家庭の1人あたり純収入は2106.19元で、全国農民家庭の1人当たり純収入の80.32%に相当し、チベットの農民家庭の1人当たり純収入は1690.76元で、全国農民家庭の1人当たり純収入の64.48%に相当するものであった。
2003年、民族自治地方の住民の住宅条件は引き続き改善され、都市部住民の1人当たり居住面積は19.8平方メートル、農村部住民の1人当たり居住面積は22.9平方メートルに達した。2003年末現在の民族自治地方の各種の預金残高は1兆1750億元に達し、そのうち、都市・農村住民の貯蓄預金の年末残高は7353億元で、1994年より3倍増加した。
(三)インフラ施設が著しく改善される
2003年、民族自治地方の社会固定資産投資は4734億元を完成し、1994年より2.7倍増加し、そのうち、基本建設投資は2837億元を完成し、1994年より3.2倍増加した。2003年末現在、民族自治地方の固定電話ユーザーは2273万戸に達し、そのうち、都市部住民の電話ユーザーは1532万戸、携帯電話ユーザーは2307万戸に達した。2003年の民族自治地方の国有鉄道の営業距離は1万5100キロで、1952年より3倍近く増加し、道路の開通距離は54 万7800キロで、1952年より20倍増加した。内蒙古、寧夏、新疆などの都市化レベルは全国平均レベルを上回っている。
(四)伝統的文化が保護、発揚される
1950年代から1980年代にかけて、国は3000余名の専門家と学者を組織して、『中国の少数民族』、『中国少数民族略史叢書』、『中国少数民族言語簡誌叢書』、『中国少数民族自治地方概況叢書』、『中国少数民族社会歴史調査資料叢書』など5種類の少数民族叢書の編集・出版作業を完成した。叢書は合計403冊、9000余万字に達し、合計50余万冊を発行した。現在、中国の55の少数民族はいずれも自民族の文字で記載された略史がある。
中国の55の少数民族のうち、回族、満州族が漢語を使用するほか、残りの53の民族はいずれも自民族の言語がある。蒙古、チベット、ウイグル、朝鮮、イなどの少数民族文字はコードアルファベット、フォント、キーボードの国家基準がある。蒙古、チベット、ウイグル、朝鮮などの少数民族文字ソフトはすでにWindowsシステムでの運行とレーザー製版を実現した。民族文字を応用した各種のソフトウェアが次々と開発され、民族文字の識別とコンピューターによる補助翻訳も多くの科学研究成果をあげている。
国は専門機構を設けて、「ゴザール」(チベット族民間の講談体の長編英雄史詩)、「ジャンゴール」(蒙古族の英雄史詩)、「マナス」(キルギス族の伝記史詩)など少数民族の三大英雄史詩について、計画的、組織的に収集・整理・翻訳・研究作業を行っている。ここ10年来、国はチベット語の『大蔵経』合計160冊の校勘、出版を支持するため、3000余万元を支出した。国は多額の資金を投じてラサのドブガイ寺、セラ寺、カンタン寺、青海のタル寺、新疆のキズル千仏洞など多くの国家級重点文化財・古跡を修繕している。1989年から1994年にかけて、国は資金5500万元、金1000キロを投じて、有名なポタラ宮に対し第1期の修繕を行った。2001年から、国はまた3億3000万元の特別資金を支出して、ポタラ宮の第2期修繕などのプロジェクトを実施した。
国の援助と民族自治地方の努力の下で、2003年現在、少数民族文字で出版された図書は4787種、印刷部数は5034万冊、雑誌は205種、印刷部数は781万冊、新聞は88種、印刷部数は1億3130万部に達し、民族自治地方所属の芸術公演団体は513、図書館は566、博物館は163ある。2003年、民族自治地方に民族言語で放送する放送局が122、民族言語で放映するテレビ局が111あり、これらの放送局とテレビ局はそれぞれ15種と11種の少数民族言語で番組を放送、放映している。ほかに放送局が73、ラジオ送信所が523、テレビ局が94、テレビ送信所が830、ラジオ・テレビ衛星受信中継システムが25万4900ある。
(五)教育レベルが著しく向上する
2003年、民族自治地方に各級と各種の学校が8万3726校あり、在校生が2943万人で、1952年より5倍、1984年より29.7%、1994年より10.6%それぞれ増加し、各種の専任教師が154万1000人で、1994年より16.0%増加した。教育事業の発展で、少数民族が教育を受ける年限は著しく長くなった。2000年の第五回全国国勢調査によると、朝鮮族、満州族、蒙古族、カザフ族など14民族の教育を受ける年限は全国平均レベルより長いものである。
(六)医療衛生事業が持続的に進歩する
2003年末現在、民族自治地方に医療衛生機構が1万5230カ所、ベッドが38万床、医療衛生技術者が46万人あり、1952年と比べてそれぞれ12倍、約66倍、約25倍増加し、衛生防疫機構と特別予防治療施設が934、婦女子保健所(ステーション)が371ある。2003年現在、民族自治地方の農村に郷診療所が7234カ所、ベッドが5万5000床ある。医療事業の発展により、少数民族人口の予想寿命が著しく長くなり、そのうち全国の平均水準71.40歳より長い少数民族が13あり、漢民族の73.34歳より長い少数民族が7つある。
(七)貿易と観光業が急速に発展する
2003年、民族自治地方の輸出入総額は136億ドルに達し、そのうち、輸出額は79億ドル、輸入額は57億ドルであり、外資企業は3263社あり、年間の外資実際利用額は20億ドルに達した。国内観光者数は延べ1億2333万人で、観光収入は563億元に達し、国際観光者数は延べ215万人で、観光による外貨収入は6億ドルに達した。