上海交大正源企業コンサルティング会社と日本能率協会がこのほど、ダイキン、オムロン、住友、三井化学など、数十社の日系企業に勤務している1万人以上の社員を対象に、「日系企業の給与・福祉に関する調査」を行い、卒業生の初任給、一般社員と管理職の給与から見て、日系企業のほうが欧米の企業を大いに下回っていることがわかった。
博士号取得者は4000元、マスターは3200元、本科生は2200元という日系企業の初任給に対し、欧米企業では、それぞれ7800元、4700元、3000元となっている。労働者の年収からみると、日系企業では1.6万元であるが、欧米企業では2万元。また、一般の社員の年収は、日系では3.2万元で、欧米系の4.5万元の60%に相当。ポストが高くなればなるほど、日系と欧米系の給与の差が開くことになる。主任のポストでは、日系での年収は5.8万元、欧米系では8万元。社長のポストでは、日系での年収は12万元だが、欧米系での年収は23万元に達し、日系の2倍となっている。また、同調査によると、2004年の日系企業の平均給与の伸び率は8.24%で、欧米企業の9.4%より低い。
日系企業と欧米系企業の給与の格差について、同調査を実施した責任者はつぎのように見ている。在中日系企業のほとんどは、エレクトロニクスと機械製造分野に集中し、中国をその生産基地としており、中国に研究開発部門を設けていない企業もたくさんある。そういうことで、従業員のレベルに対する要求も割合に低い。ところが、欧米企業のほうでは、中国で最高レベルの人材を物色し、彼らが厳しいビジネスの競争の中でもまれるようにし、高給をインセンチブ手段とするのが一般的なやり方である。
同調査は、日系企業の人材の流失率についても調査を行い、日系企業の平均流失率は24.3%で、欧米系企業の14.8%を上回っていることがわかった。日系企業の管理職と技術者の退職の原因は、「個人がさらに伸びようとするため」というが最も多いが、一般社員、労働者、営業マンの退職の主な原因は、「給与と福祉」と関連がある。同調査の担当者は日系企業の人材流失の原因について次ぎのように分析している。日系企業が中国に進出した後も、日本国内の管理モデルを利用し、チームワークを提唱し、社員の個性の発展を重視していない。また、大部分の日系企業は福祉の面で、中国の社会保障部門が規定する保険費納入率に基づいて保険料を計上する以外、福祉が非常に少ない。また、多くの日系企業では、部長、ひいては課長以上のポストを日本人のみのものとしているため、もっと大きな個人の発展の空間の獲得をめざす中国の管理人材や技術者を引き止められないのも自然なことである。
「チャイナネット」2005年4月11日