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中国におけるアンチ・ドーピング

ドーピング使用はなが年来、世界のスポーツ界を困らせてきた主要の難問となっている。近年、中国が「スポーツ強国」へ向って進軍するにつれ、アンチ・ドーピングの闘いも激くなっている。このほど、元国家体育総局運動医学研究所所長、アジア医学連合会アンチ・ドーピング委員会主席である張長久氏はチャイナネットのインタビューに応じ、中国におけるアンチ・ドーピングの現状と展望を語ってくれた。

チャイナネット:第十回全国競技大会が今年10月江蘇省の南京市で開催される予定であるが、これまで、全国競技大会ではドーピング使用の案件が頻出したが、その原因は何か。

張長久氏:先ず、第九回全国競技大会を顧みることにしよう。当時、八件のドーピング使用の案件が摘発された。指摘しなければならないのは、第九回全国競技大会でのドーピング・コントロール(禁止薬物検査)は国際慣例に従い、つまり、発見したら直ちにあばきだすというやり方がとられた。そのため、毎日にドーピング使用の案件があばき出されたというイメージがまだ脳裏に残っている。実は、第九回全国競技大会の禁止薬物検査はスポーツ界におけるみにくい現象を厳しく取り締ることともなった。

全国競技大会に参加する各省はいずれもすばらしい成績を目指していた。そのために、アンチ・ドーピングの措置を強化しなければならなかった。これまでの全国競技大会では、ドーピング検査は国家代表チームの優秀な選手たちのみを対象にしたものであったが、今後、検査を受ける選手の範囲はさらに広げられることになっている。中国アンチ・ドーピング委員会の指標によると、全国競技大会に参加する選手全体が検査を受ける可能性もある。

チャイナネット:2004年1月13日、温家宝総理が「アンチ・ドーピング条例」に署名した。2004年3月1日から実施されたこの条例に基づき、中国のアンチ・ドーピングの進展ぶりはどうか。

張長久氏:1995年10月1日から実施した「体育法」ではドーピング禁止を明確に規定されている。「体育法」に基づき、この10年来、中国政府のスポーツ関連部門は30項の法規・法令を次々と発布し、アンチ・ドーピングの法律メカニズムを構築してきた。例えば、「国家体育運動委員会のアンチ・ドーピングの措置を強化することについての意見」、「スポーツ活動でドーピングの使用を厳しく禁止することについての規定(暫定)」、「ドーピングを使用する選手のコーチへの処罰方法(暫定)」、「アンチ・ドーピングの検査規定に違反する行為を厳しく処分する実施細則」など。また、「薬品管理法」、「保健食品管理方法」、「税関法」、「従業医師法」など現行の法律・法規はアンチ・ドーピングに、よりいっそう効果のある法律的なサポートを提供している。

特に指摘したいのは、2004年3月1日から正式に実施された「アンチ・ドーピング条例」は中国のアンチ・ドーピングの仕事を法律化の正しい道へと導き、中国のスポーツ市場を浄化し、「フェアプレー」のスポーツのマラルにより積極的かつ深遠な影響を及ぼすこととなった。「アンチ・ドーピング条例」の実施においては、公安部門、税関、医療衛生機関、医薬部門との協力を必要とし、薬物の生産、携帯、輸送と購買を徹底的に禁止することがよりいっそう重要になっている。

中国のアンチ・ドーピングの技術レベルについて、次のいくつの例を挙げよう。IOCには競技興奮剤検査グループが設置されており、五輪大会のドーピング検査の監督・検収を担当している。同グループは三人の専門家からなり、国家興奮剤検査測定センターの呉侔天主任もそのうちの一人である。2004年には、中国の6人のドーピング検査測定の専門家が国際アンチ・ドーピング機構の招請でアテネ五輪大会のドーピング検査測定に参加することとなった。

今や、中国のドーピング検査測定の技術レベルはすでに世界をリードするものとなっている。中国興奮剤検査測定センターは1989年にIOCの認可を得て以来、IOCによる厳格なテストを15年続けてパスしている。現在、中国は「アイソトープクロマトグラフ質量分析計」、「高分解能キャピラリーガスクロマトグラフ質量分析計」などの先進的な検査方法を掌握しており、2008年の北京五輪では、これまで世界でまだ行われたことのないドーピング検査の課題の達成を目指している。

チャイナネット:スポーツ選手にとって、栄養剤を飲むことは普通のことである。栄養剤とドーピングの関係はどうなっているのか。この問題をどのように扱うのか。

張長久:栄養剤の服用は確かに複雑なことである。実は、中国衛生部は栄養品についての規定を発布しており、疲労解消やダイエットのための栄養品は興奮剤の検査をパスしている以上、市場に出荷してもよい。栄養剤にドーピングが含まれていれば、人体にとって有害である。

選手たちは栄養剤服用に関連するすべての責任を自ら負うべきである。スポーツチームはこれについて厳格な教育を行っている。選手はドーピングを含む栄養剤を服用すれば、必ず処罰を受けることとなる。「確かに誤って服用したもの」と認定されるまではさまざまの証拠が必要である。専門家の認定をパスすれば処罰が減軽されるが、処罰の取り消しはあり得ない。

チャイナネット:サッカー、陸上競技などの激しい動きの種目以外に、他の種目においてはドーピング使用も普遍的ですか。

張長久:IOCの規定によると、すべての種目にはドーピングの使用が禁止されており、すべての種目においては「ドーピングを使用しない」という内容の取り決め書に署名しなければならない。例えば、武術はオリンピック大会の正式種目として認可されれば、「アンチ・ドーピング」の取り決め書に署名しなければいけない。もちろん、サッカー、陸上競技など激しい動きのスポーツ種目でドーピング使用の案件は頻出しているが、他の種目にはめったに見られない。例えば、現在までのところ、中国の卓球、飛び込みなどの種目ではドーピング使用の案件が暴き出されたことはない。

チャイナネット:中国のドーピング検査のやり方とレベルをどのように引き上げるのか。当面、EPO、THGの検査ができるのか。

張長久:当面、中国の三つの実験室がIOCに認可されており、いずれも国際基準に達した実験室である。

中国のドーピング検査の正確率とレベルは年ごとに大幅に向上している・検査レベルからみれば、なか年の経験を積めば、われわれは検査の法則、検査項目そのものの法則と検査を行う時間を掌握している。つまり、検査を行う時間は同種目の選手がドーピングを使用しようとする時間である。これに通じて、毎年3500点の検査用試料の利用率を向上させ、限られた経費を十分に生かすことにしている。毎年、われわれは3500点の試料を試合後の検査と抜き取り検査に用いている。

現在、中国ドーピング検査センターの実験室は17人の従業員からなり、その1/3は博士号取得者で、2/3はマスターである。これは熟練した科学研究チームであり、国家科学技術進歩一等賞も獲得している。北京五輪の開催を前にして、大会のニーズを満たすため、スタッフの規模をさらに拡大することとなっている。

EPO、THGなどのドーピングは真っ先にアメリカの実験室で発見されたものである。関連報道を目にすると、われわれは直ちにサンプルの提供を求め、すぐに検査方法を確立した。EPOの検査方法は2000年のシドニー五輪で解決され、EPO血液試料を検査する方法は中国などの五ヵ国の専門家の協力によって完成された。中国はすでにドーピング検査の新技術、新方法をすべてマスターしたと言えるだろう。

チャイナネット:数多くの人はドーピングへの処罰に詳しくないが、例えば、出場停止の処罰は二年であることも終身であることもある。それはどういうことか。

張長久:当面、中国のドーピングへの処罰は国際の基準と一致するものであり、そのうえで一部の基準はより厳しいものとなっている。中国の規定によると、ドーピング使用の案件が明るみに出れば、監督、チームドクター、クラブは責任を逃れることはできない。この面から見れば、中国の処罰は国際基準よりも厳しいものである。出場停止について、ドーピング使用の類別に基づいて決定するものである。A類の薬物、つまり、男性ホルモン、蛋白同化ステロイドなどの使用は出場停止四年の処罰となっている。B類の薬物は効力が弱いので、その処罰は比較的に軽い。誤って服用した証拠があれば、処罰はかなり軽くなる。なぜなら、B類の薬物は効力が軽い上に、選手の病気を治す効能があるかもしれない。六月間から二年間までの出場停止というB類の処罰は国際基準に合わせたものである。

チャイナネット:アンチ・ドーピング、特に中国選手のドーピング禁止について、2008年北京五輪においての仕事の重点は何だろうか。

 張長久:2008年北京五輪の準備において、アンチ・ドーピングとドーピング検査の任務は非常に重いものであり、中国選手のドーピング使用へのコントロールを強化し、「明るみに出れば直ちに処罰を与える」というアンチ・ドーピングの主旨を断固として堅持する。いま一つの重要な任務は北京五輪に参加する選手へのドーピング検査であり、このような集中的かつ数多くの試料検査はこれまでに見られないことであろうとわれわれは考えている。そのため、当面の任務は主に三つの方面からなる。一、オリンピックスポーツセンターに5000平方メートルの実験室を設立し、アジア競技大会の際につくった3000平方メータルの実験室に隣接させ、検査センターを形成させること。二、北京五輪のために最も先進的な器具を十分に購入すること。三、科学技術の面で新機軸を打ち出すこと。当面、研究の中心はバイオロジーチップの開発である。この技術さえあれば、最も短い時間で最も少ない試料量の検査を完成することができると見られている。「バイオロジーチップ」はバイオロジーとITを結びつけた成果として、国際アンチ・ドーピングの科学研究の最新のブレークスルーとなっている。それと同時に、蛋白同化ステロイド、成長ホルモンなどの検査での突破を目指している。これらの技術は世界でも空白点である。

張長久氏のプロフィール:元国家体育総局運動医学研究所所長、中国重量挙げ協会副主席、アジア医学連合会アンチ・ドーピング委員会主席、2008年北京五輪ドーピング検査リーダーグループの責任者。

「チャイナネット」 2005/04/28

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