朝鮮族は主に吉林、黒竜江と遼寧の3省に暮らしている。
『農楽踊り』
中国北東部の長白山のふもとに住んでいる朝鮮族の人たちは歌と踊りに長じている民族であり、新年やめでたい日に、労働の合間のひと休み、家庭での集いを問わず、老若男女はしばしば太鼓のリズムと朝鮮の筝の音に合わせて踊り出す。その中でも、よく知られているのは『農楽踊り』である。
農作業をもとにして創作されるとともに、古代の祭祀の要素をも持っている朝鮮族の人たちの代表的な民間の伝統的な踊りである『農楽踊り』は、一般に二つのパターンに分かれている。1種は踊りと無言劇の形でストーリーを演技で表現するものであり、いま1つは新年の初めと豊作を喜び祝う時の、さまざまな伝統的な踊りを内容とする大衆的演技活動である。
『農楽踊り』の演技は12の部分からなる。
まず「小さなどら」による異なったリズムに合わせて、若い男性が「小太鼓踊り」を踊り、それを『農楽踊り』の様式化の序幕の出し物とし、それに続いて、多数の児童の踊り手が音楽の伴奏の下でスピーディーな旋回の動作でさまざまな隊形の転換と演技を行う。
踊りの進展につれて、踊りの芸術性もますます濃厚になる。多数の人で踊る「扁鼓踊り」は男女のすべてが参加できる「太鼓踊り」である。男性が踊るとき、多数の人たちが一緒に踊る踊りを主とし、踊り手は激しくて狂喜しているような太鼓の音の中で走ったり、跳んだりし、男性の力強くてたくましさを思う存分に見せる。体に扁平な太鼓を結び付けている女性のソロダンスは優美な踊りの姿以外に、多様で円熟した太鼓を打ち鳴らす技巧を表わすものである。
続いては「長鼓踊り」であり、踊り手は長い太鼓を体に結び付けてそれを打ち鳴らしながら踊る。この踊りは男女のいずれもが踊れるものがあるが、よく見かけるのは女性によって踊られるものである。「長鼓」は胴体が長く、胴体の腰のところが細くなっており、両端に張った皮から出る音色もさまざまで、太鼓のばち、太鼓のムチ、手の指が組み合わさって太鼓をたたき、豊かな表現力を持ち、長い太鼓は音色の美しい楽器であるばかりでなく、踊りの道具でもある。抑揚のある朝鮮の筝の伴奏の下で、一列の身に白い上着ともも色の長いスカートをまとって、胸の前に長い太鼓を結び付けている女性の踊り手たちが軽くて柔らかなステップを踏んで舞台の上を流れるように回り、彼女たちは右手に長さ30センチの竹の「ムチ」を持って、左手の指の裏の組み合わせの下で、太鼓の左右両端から異なる音をたたき出す。スローなリズムのたたき方を経てから、踊り手はいま一本の木質のばちを持ち出して強くて急速なリズムをたたき出し、踊りも太鼓の音と伴奏に伴って豪放で急速な旋回に入る。この時になると、踊り手たちは次々とそれぞれの太鼓をたたきながら踊るテクニックと得意芸を誇示し、演技の雰囲気をクライマックスに押し上げるのである。
「長鼓踊り」の後では、多数の踊り手が大きな花模様入りの扇子を手にして古代の祈とう師の踊りから発展してきた「扇子踊り」を踊り始め、踊り手は一本の扇子或いは二本の扇子で図案と造型をつくり出す演技をくり広げる。
それから、動物の動きをまねる踊りであり、踊り手が扮した首の長い美しいツルの頭と二つの黒いつばさのある一群れのタンチョウヅルが軽快に大きな歩幅で「ツル踊り」を踊り始め、人々のために今後の吉祥と安寧を祈祷する。
「像帽踊り」は従来から人々に注目され、人々を興奮させる踊りである。彩色の晴れ姿で、頭にカラーフルなリボンのついた帽子をかぶった若い男性たちは、体でさまざまな動作をしながら頭部のカラーフルなリボンを水平、垂直、傾斜の方向へと円いアーチ形に振り、技芸の優れたものは踊り場の中央に立って長さ20メートルにも達する高難度のカラーフルなリボンのテクニックを示すことになる。この時、小さな太鼓を手にして、体に扁平な太鼓と長い太鼓を結び付けた踊り手が再び登場し、カラーフルなリボンが舞い乱れる中で再び踊り出し、『農楽踊り』はそこで終結する。
豊富で熱気に満ちた『農楽踊り』の後、人々は自分たちで踊って自分たちで楽しむ踊りで、喜んで祭日を過ごし続けるのである。
「チャイナネット」2005年6月10日