中国の知的所有権保護の新たな進展


七、税関の知的所有権保護



中国は1994年9月から知的所有権に対し国境保護を実施し始めた。現在、中国の税関はすでに通関申告書の審査、輸出入貨物の検査、所有権侵害貨物の拘留・調査、違法輸出入業者の処罰、所有権侵害貨物の処理などを含む一連の完備した知的所有権法律執行制度を制定している。

1995年10月、中国は「税関知的所有権保護条例」を初めて公布、実施し、WTOの規則に合致する国境における知的所有権保護制度を確立し始めた。2000年、全国人民代表大会常務委員会は「中華人民共和国税関法」を改正し、法律面から税関の知的所有権保護の職能を確定した。2003年12月、中国政府は改正後の「税関知的所有権保護条例」を公布し、税関の知的所有権侵害貨物を調査、処理する権力を強化し、知的所有権所有者が税関に保護を求める負担を軽減し、税関と司法機関、その他の行政機関の職責を明確にした。つづいて、税関総署は新条例の「実施規則」を制定し、その中で新条例の商業秘密保全、国際登録商標の記録・保存、保証金の受け取りと払い戻し、知的所有権所有者の関係費用負担などを明確に規定している。2004年9月、中国政府は「行政処罰実施条例」を公布し、輸出入貨物の知的所有権侵害に対する行政処罰を明確に規定した。2004年12月に最高人民法院と最高人民検察院が公布、実施した「知的所有権侵害刑事事件を処理するにあたって具体的に応用する法律の若干の問題に関する説明」は、知的所有権侵害貨物の輸出入を代理した刑事責任をはじめて明確にしている。これで、経済・社会発展の必要に適応する税関の知的所有権保護の法律システムが基本的に確立された。

中国は税関の知的所有権保護の法律執行メカニズムを構築し、健全にした。一は税関の知的所有権保護を中央部門で記録にとどめる制度を確立した。知的所有権所有者が事前に知的所有権を税関総署で記録にとどめさえすれば、開港の税関は記録にとどめた知的所有権を侵害する輸出入貨物を拘留する権力がある。2004年末現在、税関総署が税関の知的所有権保護を記録にとどめることを審査し、許可した件数は6257件に達した。二は主動的保護と受動的保護を結びつけた保護のパターンを実行した。税関は知的所有権所有者の申請に基づいて所有権侵害容疑のある輸出入貨物を拘留するばかりでなく、職権により自ら進んで所有権侵害貨物を輸出入する違法行為を調査、処理する。三は法律執行機構を設立し、健全にし、知的所有権法律執行陣づくりを強化した。2004年末現在、全国の各直属税関に知的所有権保護を管理する関係部門が設立され、専門の知的所有権保護機構を設立した税関が11あり、条件の整った一部の税関は業務現場に知的所有権活動の連絡係を配備している。税関総署、直属税関、隷属税関という3クラスの知的所有権法律執行システムが初歩的に形成されている。

輸出入段階の知的所有権侵害と不法複製行為を抑えるため、中国各開港の税関は税関の法律執行の重点として、輸出入する偽造品と海賊版の製品を調査、処理している。1996年から2004年までに、全国の税関は各種の輸出入貨物の知的所有権侵害事件4361件を調査、処理し、金額は6億3000万元に達した。2000年以後、税関が毎年摘発した事件は30%前後増加した。こうして、輸出入貨物の知的所有権侵害の不法行為が厳しく取り締まられ、開港の秩序が整頓され、知的所有権所有者の利益が守られた。

中国の税関は国境での知的所有権保護を実施する過程で、知的所有権所有者および知的所有権所有者協会との連絡と呼応を強化し、知的所有権主管部門との疎通と協力を強化し、その他の国の国境法律執行部門との協力と交流を強化している。現在、中国の税関はすでにアメリカ映画協会など知的所有権所有者組織と知的所有権保護協力覚書を締結し、すこぶる成果のある協力を繰り広げている。また、知的所有権管理部門、公安部門など知的所有権の行政・刑事法律執行部門と何回も法律執行協力を行って、知的所有権を侵害する違法犯罪行為を効果的に取り締まっている。さらにはEU、アメリカなど諸国の税関と税関の知的所有権保護の内容を含む行政法律執行取決を結び、その他の国の税関と知的所有権保護の情報交換と法律執行協力を積極的に繰り広げている。