中国の知的所有権保護の新たな進展


三、商標の保護



中国が1979年11月1日に商標の統一的登録を回復して以来、商標保護は大きな発展をとげた。「商標法」は1983年3月1日から実施し始めた。中国政府は同法の実施に呼応するため、1983年3月に「商標法実施細則」を公布し、1988年に一回目の改正を行った。1993年2月、全国人民代表大会常務委員会は「商標法」を初めて改正し、サービス商標を商標保護範囲に入れ、商標をめぐる権利侵害・模倣行為取締りを強化し、商標登録手続きをいちだんと整備した。1993年7月、中国政府は「商標法実施細則」に対し二回目の改正を行い、集団商標と証明商標を商標の法的保護の範囲に入れ、「公衆のよく知っている商標」を保護する規定を増加した。

2001年10月、全国人民代表大会常務委員会は「商標法」に対し二回目の改正を行い、立体的商標と色を組み合わせた商標を商標の保護範囲に入れ、有名な商標に対する保護を強化し、商標制度で地理標識を保護することを規定し、商標の権利確定手続きの司法審査を増加し、商標をめぐる権利侵害・模倣行為の取締りをいちだんと強化し、中国「商標法」の関係規定をWTOの「貿易関連知的所有権協定」の原則と一致させた。2002年8月、中国政府は「商標法実施細則」を改正し、「商標法実施条例」に改名した。

「商標法」と「商標法実施条例」の規定に基づいて、国家工商行政管理総局は前後して「商標評価審議規則」、「有名商標認定保護規定」、「集団商標と証明商標登録管理規則」、「商標の国際登録に関するマドリッド協定の実施規則」、「商標印刷制作管理規則」など部門の規則を制定するか改正した。

ここ数年来、中国の商標法制のたえまない整備と全社会の商標意識の日ましの向上に伴い、中国の商標登録出願件数が急増した。1980年の商標登録出願件数は2万余件しかなかったが、1993年は13万2000件に達した。2000年から2004年までの5年間に、商標登録出願件数はそれぞれ20万件、30万件、40万件、50万件の四つの大台を越え、出願総件数は190万6000件に達し、1980年から1999年までの20年間の出願総件数よりも25万6000件多く、1980年から2004年までの25年間の出願総件数の53.6%を占めた。2004年の商標登録出願件数は約30%伸び、前年より13万6000件多い58万8000件に達し中国がWTOに加盟した年の2.17倍である。2004年末現在、中国の登録商標総数は224万件に達した。

中国の投資環境のたえまない整備に伴い、特にWTOに加盟してから、外国が中国に出願、登録する商標の数量がたえず増えている。中国における外国の商標登録出願件数は1982年は1565件であったが、1993年は2万件を超え、2004年は6万件を上回った。1979年以前に中国に商標を登録した国と地域は20しかなく、登録した商標は5130件であったが、2004年末現在、中国に商標を登録した国と地域は129に増え、登録した商標は累計40万3000件に達し、1979年と比べて79倍近く増加し、中国の登録した商標総数の約18%を占めた。

中国は「工業所有権の保護に関するパリ条約」に加入してから、有名商標を保護する国際義務を積極的に履行し、国家工商行政管理総局は前後して商標異議事件、商標争議事件および商標管理事件で400余りの有名商標を認定し、法によって国内外の有名商標権所有者の合法的権益を保護した。2004年だけでも、国家工商行政管理総局は前後して153件の有名商標を認定、保護したが、その中に、外国企業の有名商標が28件ある。同時に、中国の各クラス工商行政管理機関は有名商標を商標保護活動の重点として、その保護を強化し、その権益を侵害する各種の違法行為を厳しく取り締まった。

長年来、中国の各クラス工商行政管理機関は、商標行政法律執行ネットワークがよく整えられ、手続きが簡単で効率が高いという強みを十分に生かし、登録商標専用権の保護を核心として、行政法律執行の職責を積極的に履行し、多くの商標権侵害・模倣事件を調査、処理し、広範な商標権所有者の登録商標専用権を効果的に保護し、広範な消費者の合法的権益を確実に守っている。2001年から2004年にかけて、全国の各クラス工商行政管理機関は各種の商標違法事件16万9600件を調査、処理した。そのうち、一般の商標違法事件は5万6600件、商標権侵害・模倣事件は11万3000件(渉外商標権侵害・模倣事件1万2000件を含む)で、商標権を侵害し、商標を模倣した商標5億2900万件が没収され、廃棄処分にされ、286件の商標と300余人が司法機関に移送して刑事責任を追及された。特に2004年では、国務院の知的所有権保護特別行動および国家工商行政管理総局の登録商標専用権保護行動展開案の按配に基づいて、全国の工商行政管理機関は有名商標と渉外商標保護、食品と薬品の商標権侵害事件の調査・処理を重点として、3回にわたって登録商標専用権保護特別整備行動を繰り広げ、登録商標専用権を効果的に保護した。統計によると、2004年に全国の各クラス工商行政管理機関は各種の商標違法事件5万1851件を調査、処理した。その中に渉外商標事件が5494件あり、2003年と比べて1.6倍増加した。調査、処理した5万1851件の商標違法事件のうち、一般の違法事件は1万1680件、商標権侵害・模倣事件は4万171件で、2003年より51.66%増加し、没収し、廃棄処分にした商標の違法標識は3895万1800件、没収した商標権侵害に用いる鋳型、版木などの道具は28万800件、没収、焼却した商標権侵害物品は5638.53トン、司法機関に移送して刑事責任を追及する事件は96件、人数は82人である。