かつて中国人民解放軍の看護婦を務めた、山梨県日中友好協会の北浦佐都子副会長がこのほど、中国・武漢市で生まれた娘2人を伴って、娘らの出生の地を訪れた。

北浦副会長は旧日本軍による東北占領後の1941年、「日本開拓団」に参加した父母とともに中国を訪れた。戦乱の中で両親を失い孤児となった後、1946年、自らの意思で看護婦として中国人民解放軍に参加。軍隊と共に中国各地を奔走し、「遼瀋の戦役」や「平津の戦役」などでの活躍により、「華北解放紀念章」「東北解放紀念章」「解放勲章」を贈られた。この間、人民解放軍の中で知り合った日本人の兵士・北浦精一さんと結婚し、女の子2人をもうけた。1953年、子供を連れて故郷・日本山梨県へ帰国。帰国後は中日の民間友好交流のために力を尽くし、10回にわたり中国を訪問するなど、懸け橋としての役割を担ってきた。75歳の高齢となった今も、現役の副会長として活躍を続けている。

北浦副会長は近年、娘2人のために生地を探したいという思いを強めていた。そこで、在中国日本大使館や武漢市政府の助けを借り、2人の子供の生まれた病院が広州軍区武漢総医院、第161医院であることを調べあてた。

娘2人と共に病院を訪問した北浦副会長を待っていたのは、病院側がプレゼントとして準備した54年前の出産時のカルテだった。カルテには、北浦副会長の当時の中国語名「黎静」の文字が残っており、当時の出産・治療の全過程が、毎日の検温記録に至るまで詳細に記録されていた。感激の涙を流しながらカルテを受け取った北浦副会長は、カルテを握りしめ、娘2人に「中国人のわたしたち一家への恩を永遠に忘れないで」と言い聞かせた。

「人民網日本語版」2005年7月1日