昨年、西安で、一人の遣唐留学生の墓碑銘が公開されました。それには、阿倍仲麻呂とともに遣唐使節に加わり、開元22年(西暦734年)に36歳の若さで客死した井真成(せい・しんせい)が人格と学業に秀で、時の玄宗皇帝から手厚く葬られたことが記されています。若き遣唐使たちは、律令はじめ盛唐の文化百般を新生国家日本にもたらしました。
日中両国の2000年に及ぶ長い往来の歴史を思うにつけても、日本が近現代の一時期に中国を侵略し、中国の人々に大きな惨禍を与えたことを心に刻み、この不幸な歴史を再び繰り返させてはならないとの思いを新たにします。それには、両国の次代を担う若者たちの交流を大いに進めることです。
東アジアの悠久の歴史にしっかり根ざして、両国の人々が東アジア共同体構築の志を一つにするなら、目の前の障害を乗り越え、理想を現実に変えることができると信じます。 |