朱建栄氏
1957年上海生まれ。1986年に来日、学習院大学政治学博士号取得。現在は東洋学園大学教授、日本華人教授会議代表。専門は国際政治と日中関係。『毛沢東の朝鮮戦争』『中国第三の革命』など多数の著書がある。
日中両国間の矛盾と衝突には二つの深層要因がある。一つは急速な交流拡大に対して相互理解がはるかに追いつかないこと。もう一つは史上初めて対等の大国になったが、双方とも心理的にこの現実に慣れていないことだ。
ただ長期的には、楽観的に見ていいのではなかろうか。21世紀の世界に、両国とも新しい覇権国家になり得ないので、友好協力の選択肢しか残っていない。運命共同体になりつつある経済関係も政治関係の改善を促していくに違いない。時間はかかるが、二大国たる日本と中国は必ずアジアと世界に対する責任を認識し、また共同でそれを果たしていくだろう。